ひろゆきで大流行!YouTube切り抜き動画の台頭と実際にやってみて分かったこと - 放送作家の徹夜は2日まで

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※この記事は2021年06月18日にBLOGOSで公開されたものです

YouTubeの新たなスタイルとして注目されている切り抜き動画。元2ちゃんねる管理人・西村博之氏の動画を切り抜き=再編集した動画は特に人気を集めています。流行っているものはとりあえず試すのが放送作家ということで、私が切り抜き動画にチャレンジした経験も踏まえて気が付いたことを綴ります。

放送作家のおおたけです。

昨今、YouTube界隈で勢力を広げているのが切り抜き動画。他人の動画を勝手に再編集してアップロードするもので、著作権の観点からいえば完全にNG行為です。

しかし、この切り抜き動画が今、大変な人気となっています。再編集のセンスが絶妙で、テロップが付き、尺も短くて見やすく、思わずクリックしたくなるサムネイル。その点だけでいえばオリジナルを凌ぐクオリティです。(もちろんオリジナルがないと作れないのですが…)

そんな切り抜き動画ブームの火付け役といえるのが、元2ちゃんねる管理人・西村博之氏(ひろゆき)のYouTubeチャンネル。このチャンネルは、ひろゆき氏がお酒を飲みながら視聴者からの質問に答えるとてもシンプルなもの。

1問1答でとても聞きやすいのですが、ネックとなるのはその長さ。約2時間、質問に答え続けるため、興味のあるところを探すのが大変です。そこで登場したのが切り抜き動画。

注目度が高い質問と回答だけを抜粋して数分の動画に再編集。オリジナルには入っていないテロップも入れて見やすく仕上げ、サムネイルも一目見れば動画の内容が丸わかりです。

テロップにより、音声オフでも内容が把握できますし、動画の尺も短い。忙しい現代人にとって至れり尽くせりの時短動画です。あまりの見やすさから、ひろゆき氏の切り抜き動画チャンネルは、登録者数が激増。「ひろゆきの部屋【切り抜き】(20万人)」「ひろゆき切り抜き(18.7万人)」「せまゆき(16.5万人)」(いずれも執筆時点)と10万人超えのチャンネルが続出しており、ちょっとしたYouTuberより人気となっています。

ひろゆきの切り抜き動画の分配率は50:50

一大ブームを巻き起こしている切り抜き動画ですが、収益化の仕組みが気になりますよね。

他人の動画コンテンツを勝手に再編集してアップロードしているわけですから、動画作成者は著作権に抵触し、動画は当然収益化の対象外になります。

そこにひろゆき氏は革命を起こしました。

これまでであれば、自身の動画を勝手に転載したとして、切り抜き動画をやめさせることが通例だったのですが、ひろゆき氏は逆に自身の切り抜き動画を推奨。収益化で得た利益を、ひろゆき氏のYouTubeチャンネルを管理しているガジェット通信に分配するという仕切りにしました。配分率は50:50だそうです。

これまでテレビ、ラジオなどの映像・音声をYouTubeにアップしても、著作権の侵害となり収益化どころかアカウント停止になっていました。しかし、ひろゆき氏は収益を山分けすることを条件に転載を認め、自身の切り抜き動画を爆発的に増やしたのです。

YouTubeでお小遣いを稼ぎたいけど、自身でオリジナルコンテンツを作るアイデアも時間もないという方にとって切り抜き動画はぴったりのコンテンツ。

ひろゆき氏の切り抜き動画を作っている方の中には、そこいらのYouTuberを凌ぐ収益を得ている方もいるそうです。切り抜き動画、侮れませんね。

切り抜き動画を増やすメリットは「関連動画のハック」

切り抜き動画の増加によって、切り抜かれた本物のYouTubeチャンネルを見る人が少なくなるのでは?と懸念する人もいるのではないでしょうか。

前述したように切り抜き動画の方が見やすければ、「本家より切り抜きでいいや」と思うのは至極当然。しかし、ひろゆき氏のYouTubeチャンネルの登録者数は右肩上がりに増え続けています。

その理由は、GoogleのAIによるアルゴリズム。みなさんも経験があると思いますがYouTubeの関連動画のシステムは、自分が見た動画の類似コンテンツをオススメしてきます。

これにより、ひろゆき氏の切り抜き動画を一度見ると、オススメ動画が本家・切り抜き含め、ひろゆき氏で溢れ返ります。どれだけスクロールしてもひろゆき動画は追ってきます。当然、あなたの興味のある動画をオススメされるわけですから、次々に観てしまうでしょう。

さらに、オススメがひろゆき氏関連の動画でジャックされると、ニュース解説系の類似コンテンツが入る隙間がありません。切り抜き含め、ひろゆき氏関連の動画がスマホの画面を占領したことで、姿を見る機会が減ったYouTuberや有名人がいるのではないでしょうか。

切り抜きは、動画のまとめサイトである

YouTubeが誕生したのは2005年。それから16年というスピードで急成長を遂げてきましたが、切り抜き動画を見ていて「似ているな」と感じたものがあります。それはまとめサイト。

少し前の話ですが、インターネットに溢れる情報が玉石混淆となり、良質な情報だけをチェックすることに時間がかかるようになりました。

そこで登場したのが、NAVERまとめなどに代表されるキュレーションサイト、いわゆるまとめサイトです。おかげで良質な情報を最短で手に入れられるようになったものの、今度はまとめサイトが乱立。情報が薄く、質の悪いまとめサイトが散見されました。

その結果、Googleのアルゴリズムが変更され、まとめサイトが検索結果の上位に表示されなくなり、質の悪いキュレーションサイトは次々と閉鎖することになったのです。

切り抜き動画もまとめサイトも、時短という観点ではとても似ていて、映像版のまとめサイトが切り抜き動画なんだなと感じました。

まとめサイトの流れを考えると、今後、切り抜き動画も質の悪いものはYouTubeで検索しても見つからなくなるようになるかもしれません。これまでも過激な動画に対して規制をかけるなどして対応してきたYouTube。既存メディアが約50年かけて歩んできた道のりを、YouTubeはわずか15年ほどで駆け抜けるような気もしています。

切り抜き動画に挑戦!やってみて分かったこと

切り抜き動画についてあれこれ綴ってきましたが、一度やってみないとわからないこともあるだろうということで、切り抜き動画を作ってみました。

著作権的にグレーな部分もあるため、誰の切り抜き動画を制作したのかは伏せますが、これから切り抜き動画にチャレンジしようと考える人に役立つ情報をまとめます。

ちなみに今回チャレンジした切り抜き動画は、チャンネル登録者数44.2万人(2021年6月1日時点)のYouTubeチャンネルを元にしています。

まず思ったのは、1本の動画作成がとても簡単ということ。元となる動画をじっくり聞いて、面白いところだけを切り出す。切り出し方にセンスが出るとは思いますが、アイデアをゼロから考える必要はありません。これだけでも随分違いますね。

テロップを入れる、切り抜き動画とわかるような透かしを入れるなど、凝ったことをしなければ、編集ソフトもiPhoneやMacBookにプリインストールされているiMovieで十分。慣れてくれば1時間で2本の切り抜き動画を制作することができるようになりました。

2本の動画を実際にYouTubeへアップ。登場するのは人気のYouTuberですから再生回数もグングン伸びるかと思いきや…全く伸びません。その後、何本かアップしてみましたが、再生回数は1桁だらけ。同様にチャンネル登録者数も伸びません。16本の動画を公開してチャンネル登録者数は1人(笑)「なんでだ!」と天を仰ぎました。

それでも、あれこれと試行錯誤をしていく中で、再生回数が伸びる動画が出てきました。100回を超えて、1000回超え。有名YouTuberに比べれば微々たる数字ですが、再生数一桁だったため喜びもひとしおです。

これならチャンネル登録者数も伸びるだろうかと思いきや、そこはピクリとも動かず、「1」のまま。YouTube攻略とはこれほどまでに難しいものなんですね。

切り抜き動画に必要なのはファン目線

実験的に始めた切り抜き動画、再生回数もチャンネル登録者数も増えないのは何が悪かったのか。アナリティクスを見て考えます。

YouTubeを収益化するためには、チャンネル登録者数1000人、12ヶ月の総再生時間4000時間という壁があります。兎にも角にも、チャンネル登録者数を増やさないことには始まらないのですが、私の切り抜き動画のチャンネル登録者数は相変わらず「1」のまま。

一方、再生回数が2000回を超えた動画もあります。それでも登録者数が増えないのはなぜなのでしょうか。

一つは、切り抜いた動画主の名前が強力だったこと。私の動画へのアクセス経由は、切り抜いた元動画の人ではなく、その人が話題に出したひろゆき氏、堀江貴文氏の名前による検索流入がほとんどだったのです。

ひろゆき氏や堀江貴文氏のファンが私の切り抜き動画を見ても、チャンネル登録することはまずないでしょう。なぜなら2人に関する動画はその1本しかないからです。

ここから、切り抜き動画は、元となる動画の出演者を立てて切り抜かないとダメなのだと気付かされました。切り抜き元に対するファン目線が必要なのだと思います。

もう一つの理由として、シンプルに競争相手が多いというのもありました。ひろゆき氏の切り抜き動画を多くの方が作成されているのと同じように、今回の切り抜き動画も、私が始めた段階ですでに多くの人が手掛けており、同じ切り抜き動画でありながら、すでに数万人の登録者数を抱えるチャンネルもありました。

どのジャンルでもそうですが、後発がかなり不利なことは間違いないようです。裏を返せば、後発で数字が伸びないために脱落する人も多いはずなので、諦めずにやり続ければ道が切り開けるかもしれません。

YouTubeに突如現れた切り抜き文化。動画制作のハードルが低いため、楽に収益化できるかと思いきや、全く甘いものではないことがわかりました。また、無許可の動画の転載・切り抜きは違法行為に当たる可能性があるので、その点はご注意ください。

おおたけまさよし
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