日本代表、大会前からの評価を一変させた3名

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アジアカップ決勝でカタール代表に敗れてしまった日本代表。

今大会は準決勝のイラン戦こそ歴史的な大勝を収めたものの他の試合では厳しい内容が続き、準優勝という結果に対しても賛否の分かれる状態となっている。

そんななか、個人としては大会前からの評価を一変させ、チームに必要であることを証明した選手は誰であろうか。

冨安 健洋

誰よりも評価を高めたのは満場一致、文句なしにこの若者だろう。

MVP級の働きをしたことで既に忘れられているかもしれないが、昨秋に代表デビューしたばかりの20歳は大会前は控えの一人と考えられており、初戦のトルクメニスタン戦は人手の足りないボランチでの出場であった。

しかしながら2戦目のオマーン戦からDFでの先発を任されると、サウジアラビア戦で決勝ゴールを記録し、イランとの大一番ではエースのアズムンを完全に抑え込んで歴史的な大勝の立役者に。

その安定感は吉田麻也を凌ぐほどで、今や彼が出ていないことを想像するほうが難しい。決勝に敗れた後は目を潤ませたが、この経験が彼をさらに偉大な存在へと成長させるだろう。

塩谷 司

一昨年夏にUAEへ渡った彼は、ほんの2か月ほど前まで忘れられた存在に過ぎなかった。

しかし年末のクラブワールドカップで印象的な活躍をし、ボランチ・守田英正の離脱によって3年ぶりに緊急招集された30歳は、ウズベキスタン戦で大会ベストゴールの一つともなる左足での強烈なシュートを決めたほか、決勝トーナメントでも「クローザー」として日本を助けることに。

遠藤航の負傷によって先発した決勝では大きな仕事をできなかったものの、そもそも彼はDFの選手。慣れないボランチでこれほどできたことが奇跡的であり、同時に新たな可能性を示すには十分なものであった。

2022年ワールドカップは同じ中東のカタールで開催される。現在30歳であることは気にかかるが、「新しい今野泰幸」は少なくとも今後も招集の対象になっていくだろう。

武藤 嘉紀

昨夏のロシアワールドカップに出場した武藤だが当時は空回りすることも多く、大会後はニューカッスル移籍やケガも重なって招集されていなかった。

塩谷と同様、浅野拓磨の負傷によって追加招集された今大会も控えであり、得点はグループステージ最終節ウズベキスタン戦での1つのみ。しかもこれが約4年ぶりのことだ。

しかしながらプレミアリーグで揉まれる彼の個人能力はやはり別格で、特に決勝のカタール戦は彼の登場によって大きく流れが変わったことは事実であろう。

終盤、ピッチに顔を埋めてうなだれる主将・吉田麻也に対して鼓舞する場面は印象的だった。彼のゴールと勝負にかける強い想いは、これからも必要とされていくだろう。