かつての小中学校のグラウンドは草原になっている。


『007/スカイフォール』ではボンドの故郷が登場するが、そこでは広大な草原に古びた洋館が建っており、どこか光景が似ている。軍艦島が映画に与えた影響は大きいようだ。


さらに先に進むと、かつて住民が暮らしていたアパートが連なる。軍艦島は日本で最初に高層鉄筋アパートが建った場所で、最盛期には、当時の東京の9倍もの人口密度だった。




アパートの中に入ってみる。


部屋の中には、当時の生活の跡が残っている。


まっすぐ続く廊下。すべてのスケールが大きい。


『007/スカイフォール』で登場する、イギリスの地下鉄の空間も似た雰囲気だ。
この映画は全体的に廃墟的なシーンが多く、もの悲しい世界観に浸れる。


さらにアパートを登っていく。


下を覗き込むと、思わずのけぞる高さだ。



向かいの住居を突きぬけて、さらに奥のアパートまで見えている光景は独特だ。


アパートの屋上はかつて庭園だった。「緑なき島」で少しでも緑を増やそうと、住民たちは土を運び、花や野菜を育てた。それがいまや森のようになっている。