山田五郎(C)日刊ゲンダイ

写真拡大

【今週グサッときた名言珍言】

タモリにとって音楽とは「わからない」感情そのものを楽しむもの

「時代の変化を踏まえながら、うまいこと成長してきたニュータウンなんですよね」
 (山田五郎/「出没!アド街ック天国」7月25日放送)

  ◇  ◇  ◇

 山田五郎が亡くなった。67歳だった。その6日前には、レギュラー番組「出没!アド街ック天国」(テレビ東京系)の収録に参加していたそうで、当然、収録済みのものはそのまま放送された。「多摩センター」が特集された回でいつも通り、その豊富な知識でコメントした一言を今週は取り上げたい。

 この番組での肩書は「街に詳しい」。本人は「あんな乱暴な肩書をつけられるとは思っていませんでしたよ」(菅原正豊著「『深夜』の美学」大和書房=2025年3月15日発売)と笑う。もともとは泉麻人がそのポジションで出演していたが、仕事の都合で交代。「俺そんなに街のこと詳しくないから」(同前)と当初は難色を示したが、泉からの説得もあり、出演することになった。

 だが、何よりこの番組が、ハウフルス制作だという理由も大きかった。ハウフルスからのオファーは、スケジュールNG以外、断ることはないと言う。なぜなら、今、テレビに出ている「山田五郎」を“作った”のが、ハウフルス創業者の菅原正豊だと山田自身も語っているからだ。

 山田五郎が初めてテレビに出演したのは「タモリ倶楽部」(テレビ朝日系)の「今週の五ツ星り」というコーナー。お尻を芸術作品として品評するという企画ゆえ、知的な人がやらなければ下品になってしまう。そこで白羽の矢が立ったのが、講談社の社員で「ホットドッグ・プレス」の編集部員だった彼だった。

 ちょうど当時、「山田五郎」というキャラを作ろうという動きがあった。仲間のコラムニスト・えのきどいちろうが単行本を出すことになったが、出版社の上役にタイトルを勝手に決められ、困っていた。そこで「ホットドッグ・プレス」に同じタイトルのコーナーがあることにすればいいのではないか。その著者として著作権侵害だと訴えかねない面倒くさそうな「大阪で中華料理店をやっている山田五郎というおじいさん」というキャラを作ったのだ。

 リアリティーを出すために、えのきどのラジオ番組にも出演した。それを聴いて面白いと思った「タモリ倶楽部」のスタッフが彼に声をかけたのだ。だから、収録場所には、おじいさんに化けるために、かつらや付けヒゲも用意していた。だが、同番組演出の菅原正豊の「いらないんじゃない?」という鶴の一声で、素顔のまま出演することになったのだ(同前)。

 山田はタモリとの対談で「人間が工夫して考えた究極のムダである『タモリ倶楽部』こそが、いまの時代に必要なのかもしれません」(講談社「週刊現代」26年4月27日号)と語っていた。

 まさにそれは山田五郎も同じだ。

(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)