【MLB】今井達也、苦難のメジャー1年目 魔球″UFO″は有効も「自分の感覚と結果が一致しない」
今井達也のメジャー1年目 前半戦総括 前編
【メジャー特有のマウンドに苦労】メジャー1年目の前半戦は、13試合に先発して5勝4敗、防御率6.06――。西武からヒューストン・アストロズに移籍した今井達也の、ここまでのメジャーキャリアが不本意なものになっているのは一目瞭然だ。

アストロズで苦しい投球が続く今井 photo by AP/アフロ
オールスターブレイク前の最後の登板は、7月7日(現地時間。以下同)に行なわれたワシントン・ナショナルズ戦。そこでも3回3分の2を投げて被安打4、与四球3、失点2と精彩を欠いた。登板後には、今井自身もここまでの働きが物足りないことを素直に認めていた。
「なかなか先発としての仕事を全うできないことが多いです。コンディショニングの難しさなどもありますが、日本と全然違う環境でも、もっともっとアジャストしていきたい。そしてチームが本来求めている数字、パフォーマンスを1日でも早く発揮できるようにしたいな、という心境です」
新天地での1年目であれば仕方ないが、本人の言葉どおり、今井はメジャーの新しい環境に戸惑い、真価を発揮できずにきた印象がある。
振り返れば、今井はスプリングトレーニング中から、メジャーのマウンドの傾斜に馴染めていないことへの不安を吐露していた。キャンプ中には、マウンドで自身の歩幅を測定するシーンもあった。
なかなかアジャストは進まず、本拠地ヒューストンでのメジャー初登板では、エンゼルスを相手に2回3分の2で3安打、4四球、4失点と炎上。その試合後、あらためてマウンドの違いの難しさをこう口にしていた。
「こっちに来てから何回も言っていますけど、(マウンドの)傾斜がだいぶ日本と違う。日本でやっていたことをそのままやってみようと思ったんですけど、アジャストするのが難しいと感じます。一日でも早くメジャーリーグのマウンドの仕様、傾斜にあったフォームというか、メカニックを取得していきたいと思います」
【光明が見えた"UFO"中心の投球】メジャーのマウンドは日本と比べて、土が非常に硬いとされている。マウンドの高さは本塁より25.4cm、勾配は1フィートにつき1インチと規定されているが、土の素材や硬さ、実際の感触は球場ごとに異なる。
投手によって合う、合わないもあるのだろう。また、今井を見ていると、いい意味でも悪い意味でも不器用な印象を受ける。西武の偉大な先輩、松坂大輔氏は今井について「昔はもっとシャイだった」と話すが、今でもフィールド内外でコミュニケーションを取ることは決して得意ではないように映る。そういう投手が新しい国、新しいカルチャーに適応するまでには、やはり時間が必要なのだろう。
手探りでの投球を続けながらも、今井は随所にポテンシャルを感じさせる投球を見せている。5月25日のテキサス・レンジャーズ戦では6回を無安打・無失点に抑え、継投によるノーヒッターの立役者になった。さらに、6月19日のクリーブランド・ガーディアンズ戦では3失点を喫しながらも11奪三振。同25日のデトロイト・タイガースでは10奪三振で無失点と、2試合続けてふた桁奪三振を記録した。
球種のなかでは、左右どちらにも曲がって落ちる独特のスライダーが武器になっている。このスライダーはアメリカでも話題を呼び、ついた愛称は"UFO"。6月25日のタイガース戦ではスライダーが冴えわたり、デトロイトの放送席は「"スライダー"とは呼ばれているが、3つの異なる動きをする球種じゃないか」と目を丸くしていた。
"UFO"は前半戦で被打率.186、空振り率39.9%といい数字を残しており、今井自身も一定の手応えを感じているようだった。前半戦の最終登板のあとには、今井本人も「もともと日本でもほぼ2球種でやってきた(真っすぐとスライダー)。それを評価されてメジャーに来れたわけなので、そこは変える必要がないかな、と思っています」と、少し控えめな言い方で自信を述べていた。
【自身の感覚と結果のズレ】ただ、スライダーを軸にした好投も長続きしなかった。7月1日のミネソタ・ツインズ戦は2回を持たず5失点、7日のナショナルズ戦は3回3分の2で2失点。2登板の合計で8四球と制球が定まらなかった。一時は高まりかけた今井への期待感も停滞。今井自身も、前半戦は最後まで自身のピッチングに手応えを感じられなかったという。
「思い通りのボールがいっていないのもそうですし、(好投した)前々回のデトロイトでの試合でも、初対戦というのもあるんですけど、投げている感覚がよくないのに6回で10個の三振を取れたり......。自分の感覚と結果が一致しないところが、一番気持ち悪いところなんです」
結局、メジャーリーガーとしての今井はまだ自身の投球スタイルを確立できていないのだろう。それでも好投できるゲームがあるのはポテンシャルの高さを証明しているが、自身の感覚と投げているボールが噛み合っていないのであれば、長続きはしない。オールスターブレイク後は、アメリカにおける自身のピッチングの確立が急務となる。
