新潟県胎内市を舞台にした映画『おばあちゃんの秘密』が公開されている。ストーリーとともに見ている人の心に残るのが、胎内市の自然豊かな風景や地域の持つ温もりだ。映画を通して自身のふるさとの魅力をもっと多くの人に知ってほしいと語る一人の男性の思いに迫った。

■胎内市が映画の舞台に!きっかけは胎内市にUターンした男性

5月、新潟市で行われた映画の試写会に姿を現したのは国民的俳優・竹下景子さんと地方を舞台にした映画を中心に手がける今関あきよし監督。

この日のトークショーで2人とともに軽妙な語り口で会場の笑いを誘っていたのが、池田真一さんだ。

「ここが映画のすごく印象的なシーンで使われている場所、千本桜です」

6月8日、うれしそうな表情で地元・胎内市での撮影地を案内してくれた。

映画おばあちゃんの秘密は主人公の莉莉が竹下さん演じる亡くなった祖母の遺品整理をきっかけに知られざる過去に向き合い、葛藤しながらも成長する姿を描いた物語。

映画のロケ地が胎内市に決まったのは、池田さんが以前、ともに仕事をした監督とのあるやりとりがきっかけだったと池田さんが明かす。

「(監督が)しょっちゅう『こういう映画を撮りたい、どこか良いとこないかな』と言っていて、『胎内市はどうですか』とその度に言っていた。そしたらなんかピンときたみたいで、『遺品整理をする家を探しているんだけど』と言われて、『うちの実家が今そういう状態なんですけど』という」

かつて東京の劇団に所属し、俳優業をはじめ、演出・脚本と幅広く活動してきた池田さんは12年前、親の体調の悪化がきっかけに家族とともに胎内市にUターン。

役者は引退したものの、現在は胎内市内のホテルで働きながら演劇の指導や舞台演出を行うなど活動を続けている。

■実家での撮影 様々なサポートも「できることはなんでもやる」

この日、自身の一言をきっかけに作中何度も登場することになった池田さんの実家を見せてもらうことに。

「監督に聞いたんですよ、『竹下景子さんが自分の実家に来たことある人ってどのくらいいるんですかね』と。『あんまりいないと思うよ』と言われて、『そっか、じゃあすごいことですよね』と」

かつて自分が暮らしていた実家が突然、映画の撮影場所に。

さらに撮影期間中は出演陣への方言のレクチャーや控え室・小道具の手配など様々なサポートに無償で携わったという。

そこまでして協力する訳の答えはとてもシンプルなものだった。

「それがだって…僕にできることだから。できることはなんでもやる」

ここにも池田さんの一言で映画に携わったメンバーがいた。

地域を、ふるさとを、様々な形で盛り上げたい。そんな思いを胸に取り組む読み聞かせの活動は出社前のわずかな時間を使って行っている。

「今、地域のつながりは弱くなってきていると思うが、胎内市のボランティアの方は地域のつながりが強くて、それをやはり僕らが引き継いでいきたい。この先、災害が起きたときとか、色んなときにもそういうつながりは大事だと思うので、ずっと関わっていけたらと思う」と話す池田さん。

■「現場で天ぷらを…」竹下景子さん・監督が感じた“人の温かさ”

大好きな胎内市の魅力をもっと多くの人へ…池田さんの思いが一つの形になった映画『おばあちゃんの秘密』。

試写会の日、竹下さんと監督に胎内市での撮影について話を聞くことができた。

竹下景子さんは「私はこの胎内市という町の名前も、そこに流れている胎内川も知らなかった。実際に行ったら本当に素晴らしくて。あの景色は忘れられない」と振り返った。

さらに2人が何度も感じたというのが胎内市の人の温かさだ。

今関あきよし監督は「地元の方が差入れを、現場で色々天ぷらを作ってくれた。野菜・山菜の天ぷらとか、お弁当プラス地元の方の差入れがいっぱい。お菓子から地元のものまでいっぱい」と笑顔を見せた。

■“ふるさとの持つ力”見つめ直すきっかけに「町の素晴らしさ味わって」

また、話題は地元の人との共演についても。

竹下さんは「本当に元気をもらった。何て言ったって生え抜き、そういう皆さんの普段のおしゃべりがそのまま台詞になったような感じでとても楽しかった」と話した。

撮影を通して地域の温もりや育った地域を大切にする心に感動したという2人。

映画を見た人にはそうした“ふるさとの持つ力”を見つめ直すきっかけにしてほしいと竹下さんは話す。

「町の風情、桜の素晴らしさをストーリーと同時に味わってもらえたらとてもうれしい。新潟の方にとっても、また違う新潟を発見してもらえたら、それはとてもうれしいなと思う」

■「映画は節目になる大きな仕事」今後も胎内市の魅力発信へ

7月には東京や大阪などでも上映。

胎内市の魅力発信を願う池田さんにとって映画の公開はゴールでもあり、自身の活動の幅を広げるきっかけとなるスタート地点でもある。

池田さんは「色々やってきたけど全部がつながっていてここに。まだ途中だが、一個節目になる大きな仕事ができたのかなと思う。映画が完成してすごく感動した」と涙ぐんだ。

これからも変わらないふるさと・胎内市への思いがあふれる池田さん。

「素敵な人とか素敵な場所がたくさんあるので、色んな人の思いを全部、点を線にして立体的に、形にしていきたいと思っているので、そのお手伝いが自分は自分のスキルでできるかなと思う。そういう活動をこれからもどんどん発信したり、引っ張ったりしていきたい」