2025年シーズンからの京都加入が内定した立命館大の中野。写真:森田将義

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 2006年から京都サンガF.C.が世界水準のサッカー選手を育成するために京セラ株式会社、学校法人立命館とともに取り組んでいるのが、「スカラーアスリートプロジェクト」だ。

 これまで、元日本代表のFW久保裕也(FCシンシナティ/アメリカ)やMF奥川雅也(ビーレフェルト/ドイツ)らが、学校法人立命館が運営する立命館宇治高に通いながら京都U-18でプレーし、サッカー選手として羽ばたいた。

 現在、トップチームで主力を張るGK若原智哉、DF麻田将吾、MF川粼颯太も京都U-18出身で、スカラーアスリートプロジェクトはクラブの大きな柱となっている。

 一方で昇格を果たせず、立命館大へと進んだ選手がトップチームに戻った例は一度もなかったが、この3月に第1号となる選手が生まれた。今春から立命館大の3年生となるMF中野瑠馬だ。

 2025年シーズンからの新加入選手だが、今季から特別指定選手に登録され、ルヴァンカップのグループステージ第1節、ガンバ大阪戦では試合終盤に途中出場し、初めてプロのピッチに立った。
 
 持ち味であるスピードを活かしたドリブルと抜け出しは、京都U-18時代から評価されてきた実力者で、昇格候補の1人だったが、高3になったのは新型コロナウイルスが猛威を振るっていたタイミング。トップチームへの練習参加ができず、プレーを見極める場でもある高円宮杯プレミアリーグも中止となり、関西勢との対戦のみとなった。評価材料が少ないなかでトップチームへと上げる判断は難しく、選手のためにならない可能性もあるため、最終ジャッジで昇格を見送ることになった。

 だが、この年の冬に京都は者貴裁監督を迎え、チームが攻守ともに仕掛け続けるアグレッシブなサッカーへと舵を切ったのは、中野にとっても大きかった。獲得にあたった中山博貴スカウトはこう話す。
 
「者さんのサッカーは攻撃だけでもダメだし、守備だけでもダメ。選手には攻守両面が求められる。アグレッシブなサッカーをやっていくなかでは、(中野の)攻守両面での連続性は合うと思ったので、大学に進んでからも継続して見させてもらっていた」

 大学1年目は11試合で4ゴールに留まったが、2年目の昨年は「ゴールに関わろうという意識が強まった」(中野)。これまではサイドに張るポジショニングが多かったものの、ゴールにできるだけ近い位置取りをするため、中央でのプレーも増加。ショートカウンターで上手く持ち味が出せる場面も多く、リーグ戦で得点ランキング3位となる13ゴールをマークし、今年に入ってからは関西選抜にも選ばれた。

 もともとチームスタイルに合致すると踏んでいた選手が大学で活躍すれば、古巣が動かないわけがない。今年1月に京都が始動したタイミングで3日間の練習参加に呼び寄せ、沖縄キャンプにも招待。者監督らコーチングスタッフからも高い評価を得た。
 
 早期オファーに至ったもうひとつの決め手は今年、関西学院大から加わったFW木村勇大の存在だ。木村も大学3年生の10月に加入内定が決まり、時間が許す限り京都の練習や試合に帯同した。いち早くプロを経験した木村の成長は著しく、大学4年生の昨年はJ1で7試合に出場し、U-21日本代表にも選ばれた。

「木村はプロでの変化がすごく見られたので、僕がスカウトをやっていくなかで1個の良い例になった。中野もサンガで刺激を受けて、大学に還元してほしい」(中山スカウト)。

 賢明学院中時代にフェスティバルで京都U-15と対戦したのがきっかけで、スカウトを受けてサンガへの加入が決まった。中学時代は大阪府トレセン止まりだったが、京都U-18への加入後は世代別代表入りを果たすなど飛躍を遂げたため、京都に対する想いは強い。
 
「中体連からユースに行かせてもらい、色んな経験をした。意識が高い人がたくさんいて、上に行くのも行かないのも自分次第なので、意識高くやらなければいけないって思えたのは大きかった。高校で一番成長させてもらった」

 中野がトップチームで活躍する日が来れば、スカラーアスリートプロジェクトの新たな成功例となり、トップチーム昇格を果たせず、大学に進んだ選手の刺激にもなる。彼がサンガスタジアムのピッチで躍動する日が来るのを多くの人が待ちわびている。

取材・文●森田将義

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