提供:週刊実話

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 一報が入ったとき、記者たちは「SMプレイの事故」を疑った。東京・池袋のラブホテルで女性の遺体が見つかった事件のことだ。
「遺体が、ビニール製の布団圧縮袋に詰められていたのです。足首も白のビニール製の紐で縛られ、両手首にも粘着テープが巻かれて拘束されていました。付近は多くのラブホテルが建ち並び、風俗嬢もたくさん出入りする場所ですから」(全国紙社会部記者)

 SM愛好家の中には、全身にラバーなどをかぶせ、中の空気を吸い出して完全に身動きがとれない状態にすることで快感を感じる「圧迫マニア」が存在する。
「人を真空パック状態にする“バキューム・プレイ”(下写真)で、ビニール製の布団圧縮袋を使うのは、手軽にできると人気なんです。通常、シュノーケルのようなパイプなどで気道を確保し、呼吸はできるようにするんですが…」(風俗ライター)

 事件発覚は9月12日午後8時30分頃。ホテルの清掃スタッフが、シーツにくるまれた“物体”を発見し、「遺体かもしれない」と110番通報したのだ。

 前出の社会部記者が言う。
「布団圧縮袋に入った遺体は身長165センチで、肥満体形。傍らに26センチのスリッポン型の黒い靴が残されていた。被害者の顔は変形していて、見た目では性別すら判別できなかったそうです。実際、速報で〈被害者は男性〉と打った全国紙もありました」

 その後の調べにより、当日午後3時41分、現場となったホテルの部屋に、黒い上下の服に黒いリュックと黒い大型のキャリーバッグを所持した男がマスク姿で入室していたことが判明。約2時間後の午後5時48分には女性が入室していた。
「女性はショートヘアで黒縁の眼鏡をかけ、胸に英字がプリントされた黒のTシャツに黒のスエットのズボン、水色のキャップをかぶり、緑色のリュックを背負っていた」(捜査関係者)

 午後7時42分には、男が1人で部屋を出るところがホテルの防犯カメラ映像に残されていた。

 警視庁は、周辺の防犯カメラ映像をつないでいく手法で男を追い、西武線に乗って逃走したことまで突き止めていたという。

 遺体発見の翌日、「うちの娘ではないか」と両親が届け出て、被害者の身元が判明。女性は、東京・江東区に住む無職の高木なおこさん(仮名=36)だった。
「少し前までは派遣会社に登録して、事務員として会社勤めをしていたようです。しかし、ここ最近は体調を崩していて、ご家族が心配なさっていました」(高木家を知る女性)

 精神的にも不安定になっていたという高木さんは、家族に携帯電話の回線を止められ、外部との接触を断たれていた。
「ところが、高木さんはWi−Fiを使ってネットに接続。ツイッターなどで外部の人間と連絡を取り合っていたようです」(前出・社会部記者)

 事件が動いたのは18日。警視庁が、防犯カメラのリレー捜査などで、埼玉県入間市に住む大東文化大学文学部4年の北島瑞樹容疑者(22)にたどり着き、殺人の疑いで逮捕したのである。
「家宅捜索の結果、現場から持ち去った高木さんの携帯電話などの所持品を押収。布団圧縮袋や結束に使われたビニール紐なども、犯行の10日ほど前に北島が都内の量販店で購入したことが分かっています」(同)

 事件当日、北島容疑者は夏休み最後の日で、13日から授業は再開されたが姿を見せず、16日から出席していた。大学では日本文学を学んでおり、授業にも真面目に出席。取得単位の不足もなく、就職活動にも熱心に取り組んでいたという。

 両親とともに長年住んでいるマンションの住民は、容疑者の印象をこう話す。
「小さい頃からおとなしい子で、親の言うことをよくきく子でした。親に勧められてピアノを習っていましたね。最近も、お父さんと一緒に車で買い物に行っている姿を見かけましたよ」