コメ5キロ3590円に下落、新米は3000円割れ予想も…背景に米農家経営者「単純にダブついてしまった」

農林水産省は先週、最新のコメの平均販売価格を発表した。6月15日から21日までの1週間に全国のスーパーのおよそ1000店舗で販売された価格は5キロあたり3590円。
今年1月に4400円台だった販売価格は2週連続の3500円台となり、今年の新米は3000円を割り込むと予想する店舗も出てきている。
なぜコメの価格が下がっているのか。『ABEMA Prime』で米農家の経営者、元農水官僚が解説した。
■「単純にコメがダブついてしまった」

米農家の経営者、徳本修一氏は、コメ価格が下がっていることについて、「一言で言うとめちゃくちゃダブついている」と即答する。その背景として、「一つは供給過多の状態になった。昨年のコメ騒動の影響もありつつ、民間と農協の間で集荷合戦がおこり、ものすごい高値で推移していった。。加えて昨年は思ったよりもコメが獲れた。結果的に物もダブついたのと、相業者内の流通価格も非常に高い水準になってしまい、なかなか今は安値を出せない実情がある」と説明する。
元農水官僚の山下一仁氏は次のように分析する。「あまりにも在庫が増えすぎたので、いずれ下がるのは当たり前の構造。ただ、あまりにも高い値段で卸業者が買い取っているので、すぐ安く売ると損をする。だからたらたらと下がっている。ただ2年前は5キロ2000円だったから、それと比べると今の水準はまだ極めて高い」と話す。
■JA農協の在庫操作と減反政策が価格を高止まりさせる構造

コメの価格が高くなる根本的な原因について、山下氏は2つの要因を挙げる。一つ目は減反政策だ。「コメの生産がそのままいくと価格が下がってしまうため、農家に年間3500億円ほどの補助金を与えてコメの生産を減らしている。減らすことによって価格を高めている」。
二つ目は自由な卸売市場の不在。「野菜や果物には卸売市場があって、競りで価格が決められる。供給が増えれば価格が下がり、少なくなれば上がる。ところが、コメにはかつてそういう市場があったが、JA農協の反対によって自由な市場がない。マーケットの原理が働かない」。
その結果として「JA農協が一番コメを持っている組織なので、在庫を増やすことで供給量を減らし、価格を高く操作することができる。減反でコメ価格を高くし、なおかつJA農協の在庫操作によってさらに高めているのが今の現状だ」と語る。
徳本氏は、「今100ヘクタールほどの規模でやっているが、我々のような規模の農業経営者になると結構自由に取引をしている。基本的には複数年契約で価格のボラティリティが起きない状況で、民間の事業者と直接複数年契約して出荷したりしている。また規模を問わず、B2Cで消費者に直接付加価値を乗せて高く売るなど、自分たちで市場を開拓している農家もたくさんいる」との実情を交えながら補足。
また、「農業経営者にとって価格のボラティリティは非常に大きな経営リスクだ。だからこそ直接売りや複数年契約など、自分たちの市場を開拓していくことが必要になってくる」と語った。
(『ABEMA Prime』より)
