「親はこの状況知ってほしい」制服姿の小学生が電車内で“つり革遊び”か…問われる通学マナーと、学校が恐れる“評判失墜”

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私立小学校に通うと思われる子どもたちが、電車内で吊り革にぶら下がったりする画像がXに投稿され、波紋を広げている。多くの児童が公共交通機関を利用して通学する私立小学校では、通学中のマナーや公共の場での振る舞いをどのように指導しているのか。子どもたちの電車通学マナーの実態について、学校関係者に話を聞いた。

【画像】「受験に交通マナーを出題する学校もある」少子化が進む一方で私立小学校は微増傾向にある

電車内で遊ぶ制服姿の子どもたちにさまざまな声

「小学生の子供たちが靴のまま座席に立ち騒ぎながら吊り革で遊ぶ」

こうしたコメントとともにXに投稿された1枚の写真。そこに写っているのは、都内の電車で吊り革にぶらさがったり、靴のまま座席に足を置いたりして遊ぶ制服姿の子どもたちだ。真偽は不明なものの、私立小学校の児童ではないかとの見方も出ている。

これに対してSNSには、

「電車で通学させるなら最低限のマナーを覚えさせてほしい」
「親はこの状況知ってほしいですね。きちんと常識ある躾をしてほしいものだ」
「まだマナーもわからない子はいるはずです。それを大人が注意するのが社会です」

など、さまざまな声があがった。

私立や国立の小学校では自宅から離れた学校へ通う児童も多く、電車など公共交通機関を利用して通学するケースが少なくない。

朝の通勤ラッシュと登校時間が重なり、また集団で登下校するケースもあるため、一方で、子ども同士の会話や遊びの延長の行動が、周囲からはマナー違反と受け取られるケースもある。

私立小学校教育の充実向上のための調査と研究などを行う日本私立小学校連合会の担当者は、私立小学校における公共交通機関のマナー指導についてこう話す。

「外部からご指摘を受けたり、直接ご連絡をいただいたりすることが結構あります。そうした指摘を受けると職員に共有され、クラスでも下校時までに児童たちに指導するなど、おそらくどの学校でもマナーに関する指導は日々行なっていると思います。

また、学校によっては、児童の所属学年が表示された『学年章』をつけていますので、『何年生の子がどうだった』と指摘があった場合はその学年に対して指導する、といったことも行われています」

一方で、中にはマナー違反に該当しないようなケースに対しても、苦情が寄せられることがあるという。

「小さい子どもたちがランドセルを背負って電車に乗っていること自体を『許せない』と感じる方から毎日のように苦情が寄せられたり、特定の方から繰り返し連絡が来るケースもあります」

「評判を下げるようなことに関して学校はセンシティブになっています」

大人でも日々の電車通勤は大きなストレスだが、そもそも電車で通学するストレスが小学生の行動に影響している可能性はないのだろうか。

「通学は子どもにとってそこまで大きなストレスではないと思います。ただ、入学して少し電車通学に慣れてきたときに、迷惑をかけてしまうようなことはあります。

学校ではない場所で、先生も親もいないという状況で、お友達との世界しか見えなくなってしまい、周りに配慮ができなくなる子も中にはいます。全ての児童というわけではありませんが」

同担当者は、小学生であっても「社会人」として最低限のマナーは教えていく必要があると話す。

「『あなたたちは子どもだから許されるということはない』ということは学校でも伝えていると思います。中には、『あなたたちは子ども料金で利用しているからこそ、大人の人が来たら席を替わるくらいのことは当たり前にしましょう』といったことを指導している学校もあると聞きます。

教師や親の目がない場所で自分を律するというのは、子どもにとってはなかなか難しいですから、少し強めに意識をさせるというようなことはあるかもしれません」

こうしたマナーは、私立小学校への入学前から子どもたちに指導されている。小学校受験においても「公共の場でのマナーに関する指導は必須」だと話すのは、幼児教室の運営などを行う一般社団法人小学校受験協会の担当者だ。

「小学校受験では(子どもの協調性や社会性などを評価する)『行動観察』という試験があり、受験対策の中でも『社会の場ではこういうことはしてはいけない』『こういうことは守らなければいけない』といった指導を行います。おそらくどこの教室でもやっているのではないでしょうか」

背景には、学校側のリスクマネジメントがある。

「評判を下げるようなことに関して学校はセンシティブになっています。それだけではなく、子どもたちが(不快に思った)周りの大人から危害を受けてしまうリスクもあります。マナーに関する指導は、そうしたリスクを減らすための大事な要素です」

「子どもたちが騒いだ時に周囲の大人がどうサポートするか」

ところが、最近では少し学校側の事情も変わってきているという。

「中には、受験対策の時にあまり厳しく指導を受けずに入学する子もいますし、受験指導や入学後の学校の指導だけではコントロールできないお子さんもいます。

最近ではそうした特性を持つお子さんが入学するケースも増えてきています。背景には少子化もありますが、受験生の数が減少してきていることも影響しています」

こうした事情を踏まえながらも、担当者は「やはり周囲の大人の対応が重要」だと話す。

「子どもたちが騒いだ時に周囲の大人がどうサポートするか。これがすごく重要です。必要に応じて声をかけるなど、大人側の対応が一番求められているのかもしれません」

では、交通機関側はどのような対策をしているのか。

都営地下鉄や都営バスなどを運行する東京都交通局の担当者は、「都営交通では、子どものマナーに対する苦情で特徴的に表に出てくるものは今のところありません」と前置きしたうえで、マナー啓発への取り組みについてこう説明する。

「子ども向けの施策としては、公共交通機関を利用する際に守ってほしいマナーについてまとめた『交通マナーブック』の発行や、小学生のお子様を対象にした絵画コンクールを実施しています」

公共交通マナーをテーマにした絵画コンクールは5年ほど前から実施しており、好評だという。

「入賞作品は駅に掲示したり、ラッピングバスで都内を走らせたり、電車内のサイネージなどで紹介しています。作品をご覧になるお子様たちに気づきを与え、保護者の方も含めて家族で話し合うきっかけにもなります」

また、事業所単位で近隣の学校と連携して交通安全教室を実施する事例もあるという。こうした取り組みを通じて、子どもたちが公共交通機関でのマナーを学ぶきっかけになれば、と担当者は話した。

小学生が公共交通機関を利用して通学することは、本人にとっても周囲にとっても簡単なことではない。一方で、公共交通機関は多様な人々が利用する場でもある。子どもたちにマナーを伝えることはもちろん、周囲の大人が子どもをどう支えていくかも問われているのではないだろうか。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班