「未払い」はいないの!? 急増中の「チケットレス」「ゲートなし」駐車場はいったいどんな仕組み?

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サービス開始からおよそ6年で全国350か所に普及

 近年、全国のショッピングモールなどの商業施設で増えているものがあります。それが「駐車券なし」「出入庫のゲートなし」というチケットレス駐車場サービスです。

 この新しいサービスは、一体どのような仕組みになっているのでしょうか。

出口のゲートがない! 近年急速に増殖中のチケットレス駐車場サービスの仕組みはどうなってるの!?[画像提供:ピットデザイン]

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 チケットレス駐車システムの仕組みは、まず駐車場に入ったときにクルマの前面が撮影され、そのナンバーをシステムが読み取ります。

 帰るときは、ユーザーがクルマに乗り込む前に、清算機にて自分のクルマのナンバーを入力し、撮影された写真を確認して、駐車料金を精算します。

 そして出口でもクルマのナンバーが撮影されて、出庫が確認されるという流れです。

 今回は、こうした駐車券なし&出庫ゲートなしのチケットレス駐車場サービス「スマートパーク」を提供するピットデザイン株式会社に、話を聞いてみました。

「パイロット店舗設置から7年、正式リリースから6年を迎えようとしているスマートパークは着実に社会に浸透していきています。

 2022年9月末時点で北海道から沖縄まで350か所設置されていて、10万台以上の駐車スペースを管理しています。

 これまでスマートパークを利用したことのある車両(ナンバープレート単位での個別ユーザー数)は、2100万台以上。乗用車の3台に1台は利用経験ありというところまで来ています。

 2018年以降、少なくとも5社からチケットレス駐車場の類似システムがリリースされていますが、自社調べによると、この分野で90%超のシェアを確保していると思われます」

 スマートパークの担当者はこのように説明します。

 リリースから約6年で全国350か所、シェア90%以上とは驚くべき数字です。

 しかしそれだけ急激に増えているのは、メリットも多いということでしょう。

利点が多い「チケットレス駐車場」は未払い客も減っていた!?

 ユーザーにとってもチケットレス駐車システムのメリットは、いくつもあります。

 まず駐車券がありませんから、うっかり失くして高額な請求がされるようなこともありません。

チケットレス駐車システム「スマートパーク」のシステムは「1.入口でナンバーを撮影」「2.車両ナンバーで精算」「3.出口でナンバーを撮影」という流れになっている[画像提供:ピットデザイン]

 出入庫時に、クルマの中から精算機に幅寄せして、チケットをとったりお金を投入したりする面倒がないのも嬉しいポイント。

 また通常の駐車システムの場合、支払いなどでモタモタしていると後続車が連なりいつしか渋滞の元になるのは、相当のストレスです。

 チケットレス駐車システムなら清算は必ず乗車前ですし、ゲートもないから出庫もスムーズです。

 慣れてしまえば、非常に簡単でスムーズなシステムといえるでしょう。

 一方、駐車場サービスを提供する商業施設としても、入庫や出庫の渋滞が減りますし、出庫ゲートへの接触事故も発生しません。

 ちなみにリスクとして気になるのは、出入庫のゲートがないことから、駐車料金を支払わずに出て行ってしまう客がいるのではないかという点です。

 しかしピットデザインの調べでは、スマートパークで未払い出庫してしまうクルマは、わずか0.2%しかないのだとか。

 同社によると、通常のゲートがある駐車場でも未払い出庫が0.7〜0.8%ほどあるということですから、むしろチケットレス駐車システムのほうが未払いは減っているといいます。

 これは「自分のクルマのナンバーが撮影されている」とユーザーが認識しているのが、未払いを防ぐことに繋がっているのではないでしょうか。

 このように利点が多く、今後も普及が期待されるチケットレス駐車システムですが、同社では駐車券なし&ゲートなしだけでなく、さらなる便利なサービスを用意していました。

「ナンバー」認識システムを活用した新たなサービス展開も進む

 チケットレス駐車場サービス、スマートパークの担当者は、今後のサービス展開について次のように説明します。

チケットレス駐車システム「スマートパーク」に設置されるのは「精算機」もしくは「フルスペックキャッシュレス精算機」「カメラ」というシンプルな構成だ[ピットデザイン公式Webサイトより]

「弊社では、早くからキャッシュレス対応やスマートフォン・アプリによる清算など、利用者の利便性の向上に取り組んできました。

 今年2022年秋にリリースした新サービスは、圧倒的多数の善意の利用者にとって心地よい仕組み作りに向けたものや、ICT(情報通信技術)との親和性を生かして、周辺システムとの連携に関わるものが増えています」

 同社でこの秋にサービス開始されたのが「未払い共有」です。

 これまでのシステムでも、間違えて清算せずに出庫した車両は、次回の入庫時に未払い分もあわせて清算できるようになっていました。

 今回はそれに加えて、他の商業施設のスマートパークに入庫したときでも支払いが可能になるというものです。

 またほかにも、身障者向けスペースの適正利用を目指し開発された、ゲートの設置や未登録車両の駐車を警告するなどのサービス「身障者向け駐車スペース適正利用」、ウェブ注文した商品を指定した店の場所に行くと商品を受け渡す「ドライブピックアップ」、QRコードを精算機にかざすと割引等を行う「アプリQRコードでのサービス付与」、ホテル向けの清算端末へのスマートパーク対応などが実施されているそうです。

 どれもナンバーを認識して、そのデータを活用するものばかりです。

 その可能性はまだまだ大きく、どんどんと新しいサービスが生まれてくると担当者は予告します。

駐車場予約サービスはこれまでも提供していましたが、今後は、空港/駅/テーマパーク/宿泊施設/複合施設などで、チケットレス駐車場サービスと連動した予約サービスを開始します。

 また、精算機を設置せずにスマートフォン アプリのみで運営する『スマートパーク ネクスト』に、紙のサービス券を発行しない完全ペーパーレスのオプションを予定しています。

 そして、店舗施設のスマートフォン アプリ上からも駐車場のサービス付与や清算などをタッチレスで完了できる連携サービスも開発しています」

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 チケットレス駐車場サービスで紙の駐車券や入口のゲートがなくなるだけでなく、清算もスマートになり、予約も可能になるというのは嬉しい進化といえます。

 駐車場の進化は、まだまだ止まることはないようです。