Jリーグシーズンの開幕を告げる富士ゼロックススーパーカップは、3-3という点の取り合いの後のPK戦で、神戸が横浜FMを下しました。この試合の結果がすぐにシーズンに結びつきませんが、それでも今年のJリーグを象徴するような気がします。

今シーズンの特徴は、東京五輪のために開幕が早まること、それから五輪開催期間中は試合が開催されないことです。このシーズンインが2月21日(ルヴァンカップ戦は16日から)ということで、各クラブともチーム作りには苦労しているようです。神戸や横浜FMというチームでも、まだピークとはほど遠く、ミスが多いバタバタしたサッカーを見せていました。

たぶんほとんどのチームが五輪前は試合をこなしながらチームを作っていくのだと思います。ACLに出場しているチームはもちろん、リーグ戦とルヴァンカップを戦うチームも監督は選手起用に悩むはずです。

これは、これまで出場機会が少なかった選手にはチャンスです。きっとどこかで出番が来るでしょう。そこで初々しい選手が活躍しチームが勝利すれば、他の選手のモチベーションが上がり、一気に波に乗って上昇できます。

逆に若手選手を起用しても勝てないと、ターンオーバー出来る人数が少なくなり、主力選手に疲労が溜まるなどチームの雰囲気が悪くなって悪循環に入ってしまうことも十分考えられます。試合間隔が短いとチームを立て直せないまま次の試合に臨むことになりますから、泥沼にはまるのです。

そうなると意外なチームが下位に沈むという事態もあり得ます。また、中断期間が長いので全てのチームがこの間に完成度を高めるでしょうから順位変動が少なくなりそうです。そのため、中断期間前の順位が最終的に響いてくる可能性があります。

大波乱を象徴しているのではないか――。9人が失敗するという、滅多にないPK戦を見ながら、そういう予感がしています。