ベテラン棋士が指摘する藤井聡太六冠の“危機感” 同学年の最強挑戦者とのシリーズにファンは期待「賑やかな孤高」「お互い負けん気マックス」

将棋の「伊藤園お〜いお茶杯第67期王位戦七番勝負」第2局は、藤井聡太王位(竜王、名人、棋聖、棋王、王将、23)が挑戦者の伊藤匠二冠(叡王、王座、23)を下し、シリーズ成績を1勝1敗のタイに戻した。同学年の両者が激しい火花を散らす黄金カード。ABEMAの中継で解説を務めたベテラン棋士は、盤上で繰り広げられる熱戦を通して、絶対王者・藤井王位の胸の内に芽生える“危機感”や強烈な負けん気について言及し、大きな反響を呼んでいる。
数々の修羅場をくぐり抜けてきたベテランの目には、単なる技術のぶつかり合いを超えた、同世代ならではのヒリヒリとした感情の交錯が映っていた。中川大輔八段(58)は、伊藤二冠の躍進について「藤井さんの後から二冠になって追いかけている。普段から常に藤井さんを意識した研究をされてるんじゃないでしょうかね。そうじゃなければここまで勝てないですよ」と指摘。

さらに、八冠を制覇し他を寄せ付けない孤高の存在であった藤井王位についても「伊藤さんがぐんぐん力をつけられて活躍されているので、ある程度の危機感があると思うんですよ、藤井さんにもね」と推測した。急速に成長するライバルに対し「もしかしたら逆転されちゃうんじゃないかってね、立場がね。そういう可能性も十分にある」と触れ、「今はタイトル数6対2でまだ差がありますけども、それが逆になってもおかしくないわけですから」と熱く語った。
これに対し、聞き手の野原未蘭女流二段(22)も、普段はどんな相手でも「いつも通り」と語る藤井王位が、伊藤二冠との対局では表情から闘志が溢れ出ていると同調。さらに、藤井王位の強烈な「負けず嫌い」を示すエピソードとして、卓球などの遊びでも「負けたくない感じがする」という素顔を明かした。野原女流二段が「『先生卓球ぐらい勝たせてください』って言ったらニヤニヤされていましたが、ダメなんだなと」とこぼすと、中川八段も「勝負事ね」と深くうなずき、盤外でも一切の妥協を許さない王者の姿勢がうかがえた。
タイトル戦という最高峰の舞台で繰り広げられる意地とプライドのぶつかり合い。この解説と裏話に、中継を見守っていたファンも激しく反応した。コメント欄には「将棋界が面白くなる」「まあ、直近のタイトル戦だけ勝ち越しだけど、だから面白いのよな」と熱戦を喜ぶ声や、「お互い負けん気マックス」と両者の闘志を称える声が殺到。また、「危機感よりも喜んでると思うけど」「でも聡太は匠がいるおかげでまた成長できる」と王者の心中を推測する意見や、トップを走り続ける姿を「賑やかな孤高」と表現する味わい深いコメントも寄せられていた。

中川八段の指摘を裏付けるように、終局後の両者のコメントからは、互いの力を認め合い、極限まで神経をすり減らした様子がうかがえた。
藤井王位は「進んでみるとこちらの陣形がバラバラで、急所を突かれるともろい形。想定していた以上にバランスを取るのが大変な将棋になってしまった」と苦労を吐露。終盤についても「詰む詰まないの変化を読む必要があり、ずっと際どいと感じていた」と、薄氷を踏むような勝利だったことを明かした。
一方、敗れた伊藤二冠も「全体を捉えるのが難しい将棋だった」と激闘を回顧。「最初の見立てよりもこちらの攻めが細いと感じていて自信がなかった。相手の連続した攻めの組み合わせを見落としていて、そこで差がついてしまった。もっと読みの精度を上げていかないといけない」と悔しさをにじませた。
最強の挑戦者の存在が、絶対王者をさらに進化させるのか。白熱のシリーズから、ますます目が離せなくなってきた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)
