AIサーバーという言葉を聞くたびに、頭の中で情報が整理しきれなくなる人は少なくない。アメリカの大手IT企業もAIサーバーを手掛けているはずなのに、なぜか主役として台湾企業の名前ばかりが挙がる。実業家のマイキー佐野氏は、この違和感の正体を丁寧に解きほぐしていく。
 
佐野氏がまず整理するのは、データセンターとサーバーという二つの言葉の違いだ。前者を建物、後者をその中で働く人材や機材にたとえると、両者の役割の差が一気に見えてくる。AIの普及によって発熱量が急増し、冷却の仕組みや電力設計そのものが様変わりしているという指摘も興味深い。
 
AI専用のサーバー市場は、これまでとは比較にならない規模で拡大を続けており、既存の市場をやがて上回るとの見方も強い。この急成長を背景に、誰が実際に機器を組み立て、誰がブランドとして表舞台に立っているのかという役割分担が、改めて注目を集めている。
 
自社の名前を掲げて製品を売る立場と、依頼を受けて設計・製造を一手に引き受ける立場とでは、担う役割がまったく違う。前者は営業やサポート体制で信頼を積み重ね、後者は大量生産と部品調達のノウハウで裏方に徹する。佐野氏は、この二つの関係性を洋服のブランドと仕立て屋にたとえながら解説していく。
 
表舞台に立つアメリカ企業の中にも、それぞれの違いが際立つ。長年の信頼を武器にする老舗もあれば、国家規模の巨大案件を得意とする企業、圧倒的なスピードと価格の安さで攻める企業もあり、同じ土俵に立ちながらも戦い方はまるで異なるという。
 
わざわざ自国で組み立てず、あえて海の向こうの受託製造企業に頼る理由には、コストや物流だけでなく、半導体を手掛ける巨大企業との地理的な近さも関係しているという。設計トップの出自まで含めて紐解くと、この地域との結びつきの深さが浮かび上がる。
 
終盤で佐野氏は、数ある台湾企業の中でどこが最も力を持っているのか、独自の視点で序列をつけていく。組み立てから納入までを担う顔ぶれは一様ではなく、そこには佐野氏ならではの判断基準が働いている。AIインフラの裏側にある力関係を知りたい人には、業界の勢力図の見方が整理される、そんな内容だ。

チャンネル情報

現在はアカデミズム関係者・経営者・投資家・学生が参加するビジネススクールも運営