【特別インタビュー】親世代の常識が変わる!理系女子の進路はもっと広い

「理系って、医者や研究者になる人のことでしょ?」と思うママたちは多いかもしれません。しかし実際には、AI、食品、化粧品、金融、インフラなど、私たちの生活を支えるさまざまな業界で、理系人材が活躍しています。
5月21日(木)から応募受付が始まった中高生女子向けSTEM(理系)領域のツアー型体験プログラム「Girls Meet STEM」2026 夏ツアー。今回は、イベントを運営する山田進太郎DI財団常務理事COOの石倉秀明さんに、なぜ今、女子向けSTEMイベントが必要なのか、親世代が知らない“理系進路のリアル”について伺いました。
── 今回のようなSTEMイベントに参加するメリットは、どんなところにあるのでしょうか?石倉秀明さん(以下、石倉さん):将来、理系の進路に少し興味がある中高生でも、“理系に進んだ後、どんな仕事があるのか”ということを、実はほとんど知りません。たとえば女性エンジニアに会ったことがある中高生は、かなり少ないと思います。
多くのお子さんがイメージするのは、医師、看護師、薬剤師、白衣を着た研究者くらいなんですよね。しかし実際には、中高生女子向けSTEM(理系)領域のツアー型体験プログラム「Girls Meet STEM」に参加いただいている多くの企業さんのように、どの業界にも理系人材はいます。
理系のバックグラウンドを活かして働いている人たちを知ることで、「理系って思っていたのと違った」「こんな分野もあるんだ」「こういう働き方もあるんだ」と知ってもらったうえで、自分の進路を考えてほしいと思っています。
山田進太郎DI財団のモットーは「好きなことをやろう」なのですが、知らないと興味すらもてないんですよね。そのためまずは知ってもらうこと。そして、知って好きになって「やりたい」と思ったときに、社会的プレッシャーなどに関係なく、その分野に進めるよう後押ししたい。この2つが大きな目的です。
意外と知られていない、社会で活躍する「理系職」
── STEM分野というと、医師や薬剤師のような仕事をイメージする保護者も多いと思います。一般企業では、どのように理系女性が活躍されているのでしょうか?石倉さん:たとえば自動車メーカーなら、機械系の知識を活かして働いている方がいます。食品会社や飲料メーカーなどの商品開発も理系の方が多いですし、各会社のAI・デジタル分野では情報系の知識を活かす方が多いです。そして銀行や保険会社にも理系人材はたくさんいます。保険会社のアクチュアリーは、保険料を計算する専門職ですが、理系出身者が多いです。JR東日本もそうです。実は社員の約7割が理系出身なんですよ。
ほかにも、ファッションやメイク、化粧品も、実はかなり理系の世界です。化粧品の商品開発は、科学系の人たちに人気の分野です。「Girls Meet STEM」に資生堂さんや花王さんなどが参画されているのも、そういう背景があります。実は“理系の仕事がない会社”のほうが少ないくらいです。インフラを支えている人たちの多くは、理系出身なんです。
「数学が苦手だから無理」は本当?
── 数学が得意ではない場合でも、STEM分野を目指すことはできるのでしょうか?石倉さん:もちろんです。「理系に行く人は数学が完璧じゃないとダメ」と思っているお子さんが多いですが、そんなことはありません。試験では必要ですが、「全員が数学が得意だから理系に行けた」わけではありません。
実際には、「学力がない」というより、「理系は難しそう」「自分には無理かも」と思い込んでいるケースのほうが多いんですよね。だから、学力以上に“心理的ハードル”のほうが大きいのかなと思っています。
これまでに実施した「Girls Meet STEM」のイベントでは、現役の中高生が理系の職業で働く先輩に質問をした際に、「数学苦手だったけど、意外となんとかなったよ」という先輩の話を聞いて、自信につながっていく姿も見られました。「理系って思っていたより身近なんだ」と思えることが、進路選択には大きいと思います。
── 子どもにとって、保護者の意見は大きいと思います。STEM分野を目指そうと思っても、保護者に反対されるかもしれませんよね。
石倉さん:実は最近、中高一貫校などでは“理系進学率”を積極的にアピールしている学校も多くあります。つまり、保護者も、「これからは理系の力が必要」ということ自体は感じているのでしょう。実際に、財団の奨学金の申し込みでも「親に反対されている」という方は1.3%ほどしかいません。なので理系選択に反対されることは少ないのかなと思います。
STEMイベント参加の子どもたちを継続サポート
── 「Girls Meet STEM Summit 2026」参加後も、生徒が継続的に興味をもつための仕組みは考えていますか?
石倉さん:そこは、これからもっと考えていきたい部分です。ただ、今は参加できていない子どもたちに届ける優先度のほうが高いと思っています。そのうえで、理系に興味をもってくれた子どもたちが、今度は奨学助成金に応募したり、何度もイベントに参加してくれたり、そういう形でつながっていけたらと思っています。将来的には、応募者の継続的なサポートなども考えていきたいですね。
※「Girls Meet STEM Summit 2026」の詳細は、公益財団法人山田進太郎D&I財団公式ウェブサイトをご確認ください
(編集後記)
子どもから進路相談をされたとき、つい「うちの子は理系・文系どちらが得意?」という視点で見てしまいがちなママもいると思います。しかし今回の取材を通して、「今の学力」だけでなく、「将来どんな仕事があるのか」を知ることの大切さを感じました。進路を考えるきっかけとして、「Girls Meet STEM」2026 夏ツアーに参加してみるのもいいかもしれません。
編集・いけがみもえ 撮影・編集部

