アメリカからの連日の攻撃に対し、イラン側はホルムズ海峡でのすべての船舶の通過を禁止すると明らかにした。

【映像】米軍、石油タンカー爆撃の瞬間

 ニュース番組『わたしとニュース』では、連日続く米イランの攻撃の応酬やホルムズ海峡封鎖の影響について、国際政治学者の三牧聖子氏とともに考えた。

■再びホルムズ海峡閉鎖へ…「本当に望ましくない展開」

 イランの中央司令部は11日、ホルムズ海峡での石油タンカーや商船などすべての船舶の航行を禁止すると宣言した。イラン南部への攻撃が開始されたことやアメリカの敵対行為が継続していることへの対応だとしており、海峡を通過しようとする船舶は攻撃の対象になると警告している。

 イラン国営テレビは、イランの革命防衛隊がホルムズ海峡を通過しようとした2隻を攻撃したと伝えた。海峡を違法に通行しようとしたとしている。

 一方、アメリカ中央軍は11日、イランで複数の標的に対し、自衛目的の攻撃を実施したと明らかにした。イラン全土でイラン軍の通信システム及び防空システムを標的に精密誘導弾で攻撃したとしている。

 こうした事態を受け、三牧氏は次のように語る。

「少し前まで停戦交渉がまとまるのではという動きもあったところ、また双方が攻撃する展開になっている。アメリカの攻撃ヘリコプター『アパッチ』が撃墜されたが、イランにどういう意図があったのか。戦闘の激化を望んでいたのか、偶発的なのかもわからないまま、また攻撃の応酬が始まってしまった。再びホルムズ海峡が厳しく閉鎖されることになったので、世界にとっても本当に望ましくない展開」

■トランプ大統領の強硬姿勢「国民全体を敵視した攻撃」

 トランプ大統領は10日、イランが戦闘終結に向けた交渉で「我々をじらしている」と不満を示し、9日に引き続き10日も強烈な打撃を加え、交渉の行方を見守る考えを示した。「どうなるか見てみよう。昨日我々は彼ら(イラン)に強烈な打撃を与えた。今日も激しく攻撃するつもりだ」(トランプ氏)

 トランプ氏はFOXニュースの電話インタビューで、「交渉の遅れを理由にイランの橋と発電所に新たな攻撃を命じる可能性がある」と警告したという。こうした中、アメリカ中央軍は、イランからの石油輸送を試みたパラオ船籍のタンカーをオマーン湾で9日に攻撃し、航行不能にしたと発表している。

 こうしたアメリカ側の強硬な対応について、三牧氏は4月と同じ展開であると指摘する。

「トランプ氏としてはこうした強い言葉を発して交渉を妥結に導きたい意図だが、イラン側から見ると、橋や発電所は国民全体を敵視した攻撃。そのため、抵抗の意図が強まってしまって、むしろ交渉の妥結を遠ざけてしまうということが4月時点で確認されたが、同じ展開になっている」(三牧氏、以下同)

■トランプ氏の思惑とアメリカ国内の不満

 このまま戦闘が激化していった場合、ある段階で手を引き、停戦に向けた話し合いへと舵を切るタイミングは訪れるのか。この点について三牧氏は、トランプ氏の政治的思惑や交渉のパターンについて次のように分析する。

「軍事的に相手を痛めつけて自分に有利なディールを結ぼうとするのはトランプ氏の基本的なパターンだが、もう100日を超えている。つまりこれまでのパターンだけではダメで、双方の条件をすり合わせる交渉が必要なはず。一方で、トランプ氏はオバマ元大統領の核合意を離脱して今回の戦争になった経緯があるので、オバマ政権時よりも厳しい条件をイランに突きつけたいという思惑がある。イランの言い分を聞きながら交渉するということもやりたくない。そのため、軍事的に相手を痛めつけて有利な条件を結ぶパターンが繰り返されている。これでは戦闘終結に向けた妥結はなかなか難しいのではないかとアメリカ国内からも言われている」

 アメリカとイランだけでなく、イスラエルを含めた三者が今後どのような動きを見せるかも今後の焦点となっている。

イスラエルは戦争を続けて、イランをできるだけ弱体化させたいと考えている。一方アメリカ国内では、『トランプ氏はこれまでイスラエルネタニヤフ首相と協調してきて、国民はもう戦争をやめてほしいと思っているのに、イスラエルの言い分ばかり聞いているじゃないか』という声も出ている。そのため、トランプ氏がこうした国民の懸念に耳を傾け、ネタニヤフ氏を強く抑えるという展開を世界もアメリカ国内も期待しているところではある」

(『わたしとニュース』より)