近年、文章や参考画像を入力することで好みの画像を生成できるAIの開発が活発に行われており、中には画像生成AIで出力した絵が人間の絵を差し置いてコンテストで入賞を果たすなど、社会的な影響も出始めています。この状況の中、世界中のイラスト投稿サイトがAIが生成してイラストの投稿に制限を設けるなど、AIによって出力された画像に対するルール作りが急速に進んでいます。新たに、ストックフォト最大手の一角である「Shutterstock」が画像生成AI「DALL・E」を開発したことで知られるAI研究団体「OpenAI」と提携し、ShutterstockにAI画像生成機能を追加することを発表しました。同時に、AIの学習に貢献したコンテンツの作者に対して報奨金を与える仕組みの作成も発表されています。

SHUTTERSTOCK PARTNERS WITH OPENAI AND LEADS THE WAY TO BRING AI-GENERATED CONTENT TO ALL - Shutterstock

https://www.shutterstock.com/press/20435

Shutterstockで利用可能になる予定の画像生成AI「DALL-E」は、文章を入力することで好みの画像を生成できるAIです。DALL-Eの画像生成機能はOpenAIが公開しているウェブアプリで誰でも利用可能ですが、画像生成を一定回数以上実行するには有料のクレジットを購入する必要があります。実際にDALL-Eを使う手順は、以下の記事で詳しく解説しています。

画像生成AI「DALL・E」が誰でも簡単に利用可能になったので登録手順や使い方をまとめてみた - GIGAZINE



新たに、ShutterstockはOpenAIとの提携を強化して、ユーザーに対してAIによる画像生成機能を提供することを2022年10月25日に発表しました。AI画像生成機能は今後数カ月以内に導入され、ユーザーがDALL-Eを用いて画像を生成できるようになるとのこと。また、OpenAIのサム・アルトマンCEOは「Shutterstockから提供されたデータは、DALL-Eの学習に不可欠でした。私たちは、DALL-EのAPI展開の最初の展開の1つとして、ShutterstockがDALL-Eを用いた画像生成機能を提供することに興奮しています」と述べ、DALL-Eの学習にShutterstockの素材が用いられていたことを明かしています。

また、Shutterstockは「AIによって生成されるコンテンツは、AIの学習に貢献しているアーティストの努力の結果だと考えています。私たちは新たな業界標準を作り出してアーティストたちの新たな収入源を開拓するために、AIの学習に貢献したアーティストに対して追加の報酬を提供する仕組みを構築しました。また、アーティストの知的財産が使用された際には、ロイヤリティを支払うことで補償することも目指しています」と述べ、AIの学習元となったコンテンツの作者が報酬を得られる仕組みの構築も発表しています。

画像生成AIの開発には大規模な画像データセットが必要ですが、開発に用いられているデータセットには商用利用を想定していない画像が含まれていることが指摘されており、画像生成AI開発者の著作権軽視を批判する声も挙がっています。Shutterstockが構築する仕組みがアーティストの権利に与える影響に注目が集まりそうです。

「画像生成AIの対価を人間の絵描きは受け取っていない」と専門家が懸念、AIの発展の中で置き去りにされている問題点を鋭く解説 - GIGAZINE