「すあま」という和菓子をご存じだろうか。

うるち米からできた上新粉を、こねてから蒸したもちのような菓子で、見た目は団子や餅のようだが食べるともちもちフワフワしている。

筆者(兵庫県出身)は、最近まで見たことがなかった。もちろん、食べたこともなかった。「関東にはあるらしい」とうわさに聞く不思議な存在。それが筆者にとっての「すあま」だった。

実際、千葉に引っ越してくると、スーパーの和菓子コーナーには当然のように桃色の餅のような物体が置かれていた。こんなに堂々と並んでいるのでは、すあまを知らないことに驚く人がいるのも無理はない。

関西では知られておらず、関東では知られているとも聞くが、実際のところ知名度の境界線はどこにあるのだろう。

Jタウンネットでは19年11月25日〜20年1月21日の期間に「『すあま』知ってますか?」をテーマにアンケートを実施。すあまの地域ごとの知名度を調査した。

投票総数は3835票。果たしてその結果は――

日本アルプスが境目?

アンケートの結果、全体で「知っている」と回答したのは58.1%(2229票)で、「知らなかった」としたのは41.9%(1606票)だった。都道府県ごとに、どちらの選択肢がより多く選ばれたかを見てみると、「知っている」が多かったのは19地域、「知らなかった」が多かったのは27地域。熊本県では結果が拮抗した。



結果に従って地図を色分けしてみると、上図のようになった。基本的には、ちょうど日本アルプスあたりにすあまの知名度の境界線があるようだ。

さらに細かい結果を見ていこう。

「知っている」が優勢だった都道府県(19地域)のうち、北海道(96.6%)・岩手(81.8%)・宮城(89.1%)・福島(97.5%)・茨城(96.8%)・栃木(92.3%)・群馬(92.7%)・埼玉(86.7%)・千葉(98.1%)・東京(81.5%)・神奈川(86.3%)・山梨(80.0%)・長野(84.0%)の13地域では、8割以上の回答者がすあまを知っていた。

また、「知らなかった」人が多かった都道府県(27地域)では、富山(85.0%)、石川(81.5%)、福井(87.0%)滋賀(85.3%)、京都(86.2%)、大阪(82.2%)、兵庫(87.0%)、奈良(87.0%)、鳥取(83.3%)、岡山(84.0%)、広島(88.2%)、山口(100%)、徳島(84.6%)、香川(88.5%)、愛媛(93.1%)、福岡(87.7%)、佐賀(100%)、長崎(94.4%)、大分(87.5%)、沖縄(80.0%)の20地域で、8割以上の回答者がすあまを知らなかった。

つまり、多くの都道府県は「ほとんどの人がすあまを知っている」地域と、「ほとんどの人がすあまを知らない」地域に分けられる。

ところで、一段と目を引くのは高知県の結果だ。周囲は「知らない」派が圧倒的な中、1県だけ「知っている」派が多い。

高知県からは11票が集まり、うち6票が「知っている」。四国では徳島で13票中2票、香川で26票中3票、愛媛で29票中2票だけが「知っている」だったため、高知の結果は一層不思議に感じられる。

偶然か、はたまた何か事情があるのだろうか...。高知のすあま事情について、さらなる調査を進めてみたい。