浦和レッズのラファエル・シルバが、中国2部のクラブへ移籍することになりそうだという。すでに新シーズンへ向けて始動しているなかで中国のクラブに、それも2部のクラブに主力を引き抜かれるのは、浦和にとって想定外だったに違いない。
 
 浦和の現有戦力に、不足があるわけではない。ただ、タイトルを狙うクラブである。背番号8を空いたままにするのではなく、新戦力の補強を模索するのだろう。
獲得に乗り出してほしい選手がいる。原口元気だ。
 
 現所属のヘルタ・ベルリンに残留するのか、それとも他クラブとの契約にこぎつけるのか。この26歳の動向は明らかになっていない。
 
 ヨーロッパのマーケットは、1月末までオープンしている。この間にヘルタの攻撃陣にケガ人が出たり、緊急補強を必要とするクラブが現われたりすれば、原口の去就が一気に動く可能性は残る。
 
 本人もヨーロッパでプレーを続けたいはずだが、ロシアW杯を控えた大切なシーズンである。今シーズン前半は出場機会が限られ、ウインターブレイク明けの13日のリーグ戦はメンバー外だった。ピッチに立つとしても途中出場の多い現状は、彼にとっても日本代表にとっても歯がゆいものである。国内に復帰して実戦感覚を磨き上げ、W杯のメンバー入りを確実にするという選択があってもいい。
 
 そうした例は過去にもある。
 
 ドイツW杯を約半年後に控えた05−06シーズンの冬に、小野伸二がフェイエノールトから浦和へ復帰した。古巣のユニフォームを着た彼はドイツW杯のメンバーに選ばれ、07−08シーズンの冬に再びヨーロッパへわたる。ドイツ・ブンデスリーガのボーフムと契約を結んだのだった。
 
 原口に話を戻そう。W杯で印象的なプレーを披露すれば、ヨーロッパのクラブから興味を持たれる可能性は高い。一度はJリーグへ戻ることになっても、ヘルタでの実績が消えるわけでもない。5月で27歳になる年齢を考えても、再び海を渡るのは十分に可能だ。
 
 14年まで在籍した浦和なら、チームに溶け込むのに時間はかからないはずだ。堀孝史監督のもとでは、浦和のユース在籍時からプレーしている。ドイツはシーズン中だけに、フィジカルはすでに仕上がっている。即戦力として合流できる。
 
 ラファエル・シウバがチームを離れることになっても、浦和のアタッカー陣は選手層が厚い。マルティネスが横浜F・マリノスから、武富孝介が柏レイソルから加入し、山田直輝が湘南ベルマーレから復帰してきた。
 
 堀監督のもとで新たな競争へ挑むのも、原口のキャリアにとってマイナスではないだろう。そして、Jリーグで抜きん出たパフォーマンスを見せつけることも、W杯への道を切り開くことにつながる。
 
 もちろん、浦和以外のJクラブが獲得に乗り出してもいい。意外なところへ着地するのも、移籍ではしばしば起こり得るものだ。