火星探査機オポチュニティ、11年分の観測を8分で見る動画

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火星探査機「オポチュニティ」が11年間で走破した42.195kmを8分間にまとめたタイムラプス動画が作成された。地図上でその軌跡も確認できる。

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米航空宇宙局(NASA)の火星探査機「オポチュニティ」は、過去11年間で火星の砂漠を「42.195km」(マラソンの距離)以上移動してきた。当初の計画よりも遥かに長い距離だ。

オポチュニティはもともと、3カ月間だけ稼動するように設計されていたが、11年後の現在も火星上を移動しながら、重要なデータを地球に送り続けている。

2004年1月の軟着陸以来、双子機の「スピリット」とともに、オポチュニティーが地球に送ってきた写真やデータ、科学的知識は膨大だ(スピリットは2009年5月、砂地を通過しようとした際に車輪が砂に填まり、身動きがとれなくなった。しばらく静止観測を続けたが、太陽電池パネルを発電に有利な向きに傾けることができなかったため、2010年3月に通信が途絶した)。

オポチュニティが成し遂げてきたことの凄さを人々に理解してもらうため、NASAはこのほど、8分間のタイムラプス動画を作成した。火星のゴツゴツとした大地の上でオポチュニティがこれまでに行ってきた探査活動のほぼすべての瞬間が1本の動画にまとめられている。

現在のオポチュニティは、3週間続いていた「冬眠モード」が終わったところだ。この間、太陽の影響で、火星との通信は困難だった。オポチュニティは動力装置を再始動させて、今後予定されている谷への突入に向けての準備に取りかかっている。

NASAによると、オポチュニティは今後、これまでの走行距離にちなんで名付けられた「マラソン谷(Marathon Valley)」の調査に取りかかるという。マラソン谷は、フットボール競技場3面分ほどの全長(約330m)で、粘土が露出しているエリアもあるようだ。その粘土は、火星に水が流れていた(日本語版記事)ときの正確な時期や、その水の詳細に関する新しい証拠を提供してくれるかもしれない。

オポチュニティのデータ送信は、現在、フラッシュメモリストレージを使用していない。収集したデータは何であれほぼ即座に送信されている(2014年に誤動作とリセットとが頻発するようになり、再フォーマットも行われていた(日本語版記事))。

「オポチュニティは現在のモードでも、科学的目標の達成を継続することが可能です」とオポチュニティのプロジェクトマネージャー、ジョン・カラスは言う。「毎日、その日に集めたデータを送っています。たしかにフラッシュメモリは便利ですが、オポチュニティにとっては必要不可欠というわけではありません」

NASAは現在、今世紀中(早ければ2030年代)に実現が期待されている有人ミッションに先駆けて、次世代の火星探査機を開発中だ。完成すれば、スピリット、オポチュニティ、その後継機の「キュリオシティ」に続く探査機となる。