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【注目の人 直撃インタビュー

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 平良海馬(西武ライオンズ投手)

 今季は前半戦を終えて7勝2敗、防御率1.16。前半戦終了時点で規定投球回には3イニング届かないものの、ドラフト制後ではパ・リーグ初の快挙となる「前半戦防御率0点台達成か」と話題になった。そんな球界屈指の最速160キロ右腕がデータを駆使した投球術、投球分析に加え、自身の投手としての理想像を明かした。

  ◇  ◇  ◇

 ──今季は抑えから先発に復帰し、前半戦は7勝2敗、防御率1.16。ここまでの投球をどう見ていますか?

 全体的にはいいかなと思っています。個々の数字についてはこれを気にしているというのはないんですけど、自分の中で「こういう投手になりたい」という理想像があって、そこにはだいぶ近づいていると思いますし、もっとできるなというのもちょっとあります。

 ──投球時にデータを重視している。そのきっかけは?

 2020年に動作解析の専門施設である「ネクストベース・アスリートラボ」で初めて自分のボールを細かく分析してもらったのがきっかけです。そこで初めて「自分のストレートはこういう球質なんだ」と知りました。それ以来、ずっとデータを見ながら、変化球の向上や球速を速くするためのメカニクスや、ピッチングデザインなどに取り組んでいます。

■直球とカットボールが似ている

 ──分析内容とは?

 まず、自分のストレートがどういう球質なのかを調べました。ストレートだけじゃなく、カットボールも含めて全部見直しました。その結果、ストレートとカットボールの球質がかなり似ていたので、このままだと役割が重なってしまうと思ったんです。だったら握り方などを工夫し、球質を変えて、それぞれ違う役割を持たせた方がいいと。

 ──球種の構成も変わりましたか。

 当時はストレート、カットボール、スライダーが中心で、チェンジアップは少し投げるくらいでした。今はツーシーム、ジャイロ系のスライダー、フォークなども取り入れています。それぞれに役割を持たせることを意識しているので、投球の幅は広がったと思います。

 ──ストレートについては。

 カットっぽくはなってないんですけど、NPB平均から比べても伸びているところでもないので。球速は速くしようとは思ってますが、球質を変えるというのは取り組んでも難しいなと感じるのはありますね。

 ──「重いストレート」のイメージがあります。

 重い球とか軽い球という表現は、僕自身あまり気にしていません。本当にあるのかどうかも分からない曖昧なものだと思っています。それよりも、自分は数値やデータで見えるものを重視しています。ただ、球速だけを求めると球質が悪くなってしまうこともありますから。

 ──昨年は抑えを経験し、今年は先発復帰。その経験は生きていますか。

 速い直球を投げるために、一発の出力をしっかり出すという感覚ですね。その感覚や経験は、生きていると思います。

 ──入団2年目から4年間はリリーフ、6年目、7年目は先発を経験。入団当初から先発を見据えた取り組みをしていたのでしょうか。

 もともと先発をやりたいという気持ちがあったので、先発でしっかり戦えるように準備していました。必要な球種を増やしたり、データを見ながら取り組んだり、理想像から逆算して必要なことをやってきました。

■点は取られたくないので、自然と球速も上がる

 ──今季は得点圏で被打率が1割台。勝負強さが光ります。

 点は取られたくないので、自然と球速も上がります。イニングの立ち上がりはまだ体が完全に動いていない感覚もありますが、投げ進めるうちに状態が上がっていくという感じですね。

 ──相手打者はどのように研究していますか。

 試合前には1時間ほどミーティングをします。投手の左右も考慮しながら、打者がどのコースにどの球種を投げたらどの程度打っているのか、逆に打てていないのか。どこで打球速度が出ているのか。角度はどうか。どの球は振るのか。空振りが取れているコースや球種はどうかなどを確認し、そのうえで自分の特長をどう生かすかを考えています。

 ──ピンチでは何か特別なことをしていますか?

 特別なことはありません。走者がいる、いないではなく、自分のピッチングができるかどうかだと思っています。もちろん感情はあります。打たれたら「こんなはずじゃない」と思いますし、フラストレーションもたまる。でも、その後に「次はどうするか」を考えるようにしています。

 ──チームは現在Aクラスで優勝を狙える位置にいます。

 まずは自分の仕事をして、自分のパフォーマンスを出す。その結果としてチームが勝てればいいと思っています。

■3DプリンターでDIY

 ──話は変わりますが、グラウンドを離れたらどのように息抜きをしていますか?

 釣りやゲームです。あとは3Dプリンターが好きでDIYをしたりとか。

 ──DIYですか?

 最近はスポットクーラー用に窓枠へダクトを付けたいなと思って、そのダクトを通すフレームみたいなものを3Dプリンターで作りました。釣り用のルアーを作ったりするのも好きです。

 ──冒頭で「こういう投手になりたいというものがある」と話していましたが、ご自身が考える理想像とは?

 世界レベルで戦える投手になりたいと思っていますし、そこに行っても、トップの中のトップになりたいなというのもあります。

 ──「トップの中のトップ」といえばメジャーのサイ・ヤング賞ということですか?

 そこを目指すくらいの取り組みじゃないといけないと思っています。

 ──かねてメジャー挑戦の意向があります。時期はともかく、海の向こうでやれる自信はありますか?

 あります。そこで通用するだけでなく、トップの中のトップとして争うためには、まだまだ足りない部分もあると思います。実際に向こうで投げた経験はないので想像の部分もありますが、データから見えるものもありますし。

 ──メジャーリーガーのデータと比較するとか?

 そうですね。たとえば日本からメジャーに行った投手がどんな感じだったのかはすごく見えてきます。ひと通りは見ました。大谷翔平投手、山本由伸投手、佐々木朗希投手、千賀滉大投手……。やっぱりみんな四球が少ないですし。ここはもっと減らせると思っていますし、三振の数ももっと増やせると思います。そこは改善が必要かなと思っています。 

(聞き手=藤本幸宏/日刊ゲンダイ)

平良海馬(たいら・かいま) 1999年11月15日、沖縄県生まれ。26歳。八重山商工高から2017年ドラフト4位で西武入団。20年に最速160キロをマーク。22年最優秀中継ぎ投手、25年最多セーブ投手のタイトルを獲得。通算317試合、32勝21敗62セーブ111ホールド。防御率1.79。右投げ左打ち。173センチ、99キロ。