《2人の間にパーテーションが…》「無免許運転で現場へ」川村葉音被告が震える声で証言した“主犯・川口侑斗被告の蛮行”「『なんで別れる?』『説明しろ』と回し蹴り、殴打」【江別集団暴行殺人・公判】
北海道江別市の公園で2024年10月、大学生の男性・Xさん(当時20)が男女6人から集団暴行を受け、死亡した事件。強盗致死などの罪に問われている、川口侑斗被告(当時18)と少年A(当時17)の裁判員裁判が7月13日から、札幌地裁(高杉昌希裁判長)で開かれている。
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この事件をめぐっては、すでに共犯として川村葉音被告(21)に懲役30年、瀧澤海裕被告(当時18)に懲役20年、少年B(当時16)には懲役9年〜13年の不定期刑が言い渡されている。瀧澤被告と少年Bは判決が確定。川村被告に関しては、本人と検察両サイドが判決が不服として控訴しており、異例の展開をみせている。
主犯格とされる川口被告の第2回公判では、懲役30年の判決を受け控訴中の川村被告が証人として証言台席に座った。川村被告は時折、声を震わせながら、事件について語りはじめた──。裁判を傍聴したライターの学生傍聴人氏がレポートする。【全3回の第1回】
川口被告・川村被告の間に「パーテーション」
7月14日の第2回公判では、すでに共犯として懲役30年の実刑判決を受けて控訴中の川村被告の証人尋問が行われた。
筆者が法廷に入ると、中央にある証言台を傍聴席から見えなくするために、高さ180センチくらいの薄水色のパーテーションが設置されていた。のちに担当弁護人に聞くと、「証言しづらくしないための措置」だという。
逆に、5月に行われた川村被告の裁判時で川口被告が証人出廷した際には、遮蔽措置はされていなかった。こうした差から、両者の力関係がうかがえた。
開廷の14分前、法廷のドアの開く音がすると、手錠を外す独特な金属音が響き渡った。裁判所職員の指示に対して、女性の小さな「はい」という声が聞こえた。川村被告が入廷してきたのだろう。
つづいて、川口被告も入廷。目の前に立てられた遮蔽板に少し驚いた表情をしながらも、弁護側の自席へ座ると、体と顔を傾けて内部を覗こうとする仕草をした。だが、前述のとおり、川口被告には川村被告の姿は見えていないようだ。
開廷宣言のあと、予定通りに証人尋問がはじまった。裁判長から「名前はなんですか?」と尋ねられるとはっきりとした声量で、遮蔽板の奥から聞こえた。
「カワムラハオトです」
これまで川口被告は、顔を動かしたり唇を触ったりしていたが、この第一声を聞くと証言台の方をじっと見つめはじめた。
川村被告は鼻にかかった震えた声で証言に先立つ宣誓をすると、高杉裁判長は「あなたは控訴審を控えているので、証言を拒絶したいときは言ってください」と忠告。川村被告は「はい」と答えた。
「1か月前に出会い、週に4回は会っていた」
検察側から尋問がはじまった。以下は川村被告が証言した内容であるが、留意点として川口被告は翌15日、第3回公判で被告人質問を受けており、その内容に川村被告の証言と食い違う部分が一部ある。あくまでも川村被告の主張としてお読みいただきたい。
まずは、当事者たちの関係が紐解かれた。川村被告と八木原亜麻被告(21)は、中学時代に学習塾で知り合い、大学入学後に再会すると、二人は「ハオ」「アマ」と呼び合う仲になり、バイト先も一緒に。また川村被告は少年Aとは2023年6月から交際関係にあり、事件当時は「半同棲」状態だったという。
主犯格とされる川口被告との関係について、川村被告はこう答えた。
「『ユウト』って呼んでました。事件の1か月前に出会い、週に4回は会っていたと思います。主にドライブに行ってました。川口さんに会った2日後に、瀧澤さん、Bさんを紹介されました」
一方で、被害者となったXさんの存在は、八木原被告から「彼氏いるんだよね」と打ち明けられて知ったという。川村被告はXさんと面識がなかったが、事件の2週間前に初対面を果たしていた。
「(Xさんに)1回会ったことがあります。岩見沢のグリーンランド(遊園地)で会いました。八木原さんと来ていました。私はAさんと行っていました。(Xさんと)お互いの高校の話をしました」
無免許運転で現場へ
この凄惨な事件の発端は、八木原被告とXさんの些細な交際トラブルだった。川村被告は事件前日の10月24日、コンビニでのバイト中に八木原被告から打ち明けられた。
「八木原さんから『彼氏から1年後に別れるって言われた』と言っていて、『ハオならどうする』と聞いてきたので、『Aさんからそう言われたら私ならすぐ別れる』と言いました」
翌25日、川村被告は共犯少年ら5人を同乗させてドライブを楽しんでいた。午後10時頃になり、川村被告が二人の状況が気になって八木原被告に電話。すると、「(Xさんが八木原被告に)謝ってないし」とXさんへの態度に不満を口にした。川村被告は「あとは二人で話し合いな」と言って電話を切り、川口被告に雑談のように伝えたという。
「川口さんから『誰と話してんの。何あったの』と言われたので、『友だちと話してる。友だちが彼氏とトラブルになっているらしい』と話しました」
そもそも、川口被告は八木原被告ともXさんとも面識がなかった。しかし川村被告に「電話をかけて」というと、八木原被告のスマホを介して、Xさんと話をしはじめた。
「(電話口でXさんに)『一回話すべ。そこで待ってろ』と言って電話を切ると、川口さんが『江別に行くぞ』と言ってきました。(川村被告の車を)川口さんが運転しました。時速100キロ以上の速度を出していたと思います。すごいスピードだったので……」
面識のないカップルのトラブルを、本当に解決する気はあったのか。川口被告は、あろうことか無免許運転で、合流先の江別市のコンビニに向かった。
「被害者が近づいてきたことにイラッとして…」
はじめ、Yら2人との待ち合わせ場所は、バイト先のコンビニだった。しかし、少年Aが防犯カメラの有無を気にしたことから、二度移動して人気のない現場の公園になった。
防犯カメラに写せない──。この時点で、川村被告は"暴力沙汰"になることを察しなかったのか。集合場所の公園に川村被告らは先に到着。川口被告が体を温めるようにシャドーボクシングをしていると、八木原被告とXさんが公園にやってきた。筆舌に尽くしがたい犯行の発端である第一暴行は、主犯格とされる川口被告から開始された。
「八木原さんは『(Xさんは)基本的に謝ってないから』と言っていました。その後、被害者と川口さんで話しをするような形になりました。(川口被告は)『なんで1年後に別れると言ったのよ』という話をしていました」
「そのあと、川口さんは左足でお腹を蹴る暴行をしてました。回し蹴りのような感じです。被害者はお腹を押さえていたと思います。『説明しろ』と言いながら顔を殴りはじめていました。『痛い』『あー』と言っていました」
川口被告の暴行に追従するように、川村被告も足蹴りしたことを認めた。第一暴行に加わったのは、この2人のみとされている。
「被害者が私に近づいてきたことがあって、近づいてきたことにイラッとして倒れた被害者の胸あたりを2回蹴りました。私が『ふざけんな』とキレた途端、八木原さんがすごく笑っていました」
第一暴行の流れで、金品要求が伴った第二暴行に進展する。川村被告は今回の尋問で、被害者のXさんが暴行中に一度逃げ出そうとしていたことを初めて明かした。それを止めたのは、八木原被告と川口被告だったと主張する--つづく記事で詳報する。
(第2回記事につづく)
取材・文/学生傍聴人(ライター)
