高市早苗・首相が秘書を庇い続ける理由とは

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 総裁選と総選挙をめぐる疑惑で厳しい追及を受けているのは高市早苗・首相だ。他の候補への中傷動画疑惑のキーマンが、地元・奈良を取り仕切る公設第一秘書の木下剛志氏である。

【写真】中傷動画疑惑のキーマン 公設第一秘書の木下剛志氏

地元の事務所を完全に仕切っている豪腕

 高市首相の中傷動画疑惑は炎上どころか"延焼"している。『文春オンライン』は渦中の公設第一秘書と動画作成者のウェブ会議音声を公開し、疑惑は深まるばかりだ。

 しかし、高市首相は秘書の国会証人喚問も拒否し、庇い続けている。

「(秘書に)オンラインに出ているやつを聞いてみてくれ、と言ったら、(中略、音声を聞くために)『なんで私がお金を払わなきゃいけないのか』とキレられましたよ」(5日、参院予算委員会の答弁)

 あの高市首相に向かってキレることができる木下秘書とは一体、どんな人物なのか。

 地元(奈良2区)を取材すると、高市事務所を切り回すやり手秘書の人物像が見えてきた。

「木下さんは落選中だった高市さんが奈良2区に鞍替えして戦った郵政選挙(2005年)を手伝い、当選後に秘書になったと聞いている。事務所には木下姓の秘書が2人いるから、『所長さん』と呼ばれています。

 高市さんはほとんど地元にいないので、地元の事務所は完全に木下さんが仕切っている。豪腕なのは確かで、『選挙は合法なことは全部やる』と言っていました。チーム高市のナンバー2とあって県連の市議、県議も逆らえない」(地元紙記者)

「総選挙では隣の奈良1区まで木下さんが仕切っている。実力があるからでしょうが、選挙を支援していた私たち市議への風当たりも強かった」(地元市議)

「カネを集めるのがうまかった」

 古参の後援会関係者の話はこうだ。

「木下が事務所の金庫番だったことは間違いない。各所からカネを集めるのがうまかったようで、結果を出しているから高市さんに信頼されていた。高市事務所にはカネがあるんですよ。だから前々回の総裁選でも党員全員にパンフレットを送付【※注】できた。

【※注/高市首相は2024年の自民党総裁選で党員約30万人に自身を宣伝するリーフレットを郵送。他陣営から告示前に文書を出したことについて「ルール違反だ」と批判されたほか、党選管からも注意を受けている】

 東京の事務所にいる高市さんの実弟の政策秘書は精神的な支えのような存在で、秘書としての実務は木下が先頭に立ってやっていた」

 そうした木下秘書の去就に関して、地元の自民党関係者から気になる証言が出てきた。

「実は、木下秘書は辞任を申し出ているが、総理が慰留していると聞いている。今回の騒ぎのほとぼりが冷めたら、公設秘書を辞任して私設秘書になるのではないかと言われています」

 この件について高市事務所に事実確認をしたが、期日までに回答は得られなかった。

 多くの政治家が「秘書が勝手にやった」と釈明し、トカゲの尻尾切りでスキャンダルを逃れてきたが、木下秘書を切れないのは事務所の表も裏も知りすぎているからか。

 秘書経験がある政治評論家・有馬晴海氏はこう指摘する。

「認めれば今までの説明が嘘になり、総理の政治生命にかかわる。秘書を切ったとしても、報道を認めることになってしまう。だから切れないという状態です。

 問題は今後、もっと明確な証拠が出てきた場合です。その時には、"秘書が自分に無断でやっていた。報告もなかった。自分は裏切られた"と言って秘書を切るのが永田町の最終手段なのです」

 高市首相はどこまで秘書を庇い続けるだろうか。

※週刊ポスト2026年6月26日・7月3日号