「こんなに悲しいなら″我が子″と言わなきゃ良かった。でも…」農業高校生<涙の青春記>育てたブタが肉になるまで
5月31日(日)放送「新 窓をあけて九州」~ボクと子ブタの成長日記~から
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実習教師 山本真生さん「出てきた!出てきた!女の子?男の子?」
この日、10匹の子ブタが誕生しました。取り上げたのは高校生です。
女子生徒「女の子です。やばい、かわいい」
山田未来斗くん「今日はすごい1日で、うれしいぐらいでは言葉がおさまらない」
山田未来斗(みくと)くんは、お母さんブタ「ベリー」の飼育担当。人工授精も手がけました。
子ブタの飼育が始まった――
山田未来斗くん「もう我が子も同然ですから、ベリーと同じくらい手塩にかけて立派な大きな子にできればと思っています」
熊本県北部にある菊池農業高校。東京ドーム7個分の敷地には、生徒およそ400人のほか、牛50頭、ニワトリ180羽、そしてブタが100頭などなど。
未来斗くんがいる畜産科学科では、3年生になるとブタの誕生から出荷までを手掛け、命の循環を学びます。
オス豚から精液を採取する授業
実習教師 山本真生さん「ぐっと握ってあげて伸ばしてあげるとスムーズに行く」
実習教師 山本真生さん「トライ&エラーでみんな感覚を覚えて」
自慢のエサで100頭を飼育
飼育しているブタおよそ100頭の世話は未来斗くんたち3年生の仕事。
豚はとにかく神経質。ストレスがたまらないよう、豚舎の温度管理と掃除には気を使っています。
山田未来斗くん「他の高校に負けないくらいのエサを作っている自信がある」
エサには、おからなどを混ぜ、柔らかくて上質な肉を目指しています。
みるみるうちに大きくなります!
山田未来斗くん「7.5kg」「8.3kg」「どっち?メス!」
山田未来斗くん「目に見えて大きくなるし、自分の努力を正面から受けてくれるけん。6か月後、出荷時期になればどれだけ嬉しいんだというぐらい達成感があるけんが、やりがいは計り知れない」
山田未来斗くん、もともと動物好き?
山田未来斗くん「ベリー、おいで。ベリー」
山田未来斗くん「話すごとに近づいてくれたり、逃げなくなったりしてくれるので、努力が実っていると感じる」
ただ、高校に入るまでは動物にはそれほど興味がなかったようで。
未来斗くんの母・優子さん「動物とか全然好きなタイプでもなかったけん、それがお世話するまでに大好きになったぽい感じなので。自分のことだけでも大丈夫かなみたいな感じの子なのに、動物の世話がちゃんとできるのかと・・・」
今では卒業後も、養豚に関わりたいと思うようになりました。
ブタが死んだ…予期せぬ事態発生
今回、子ブタたちを無事出荷することは、未来斗くんにとって、いわば卒業試験です。
朝晩が涼しくなり始めた10月。体調を崩すブタが相次ぎました。
山田未来斗くん「ちょっと咳をするだけで肺が傷んで充血して…というのがあるので心配。繊細なので」
豚舎の掃除が行き届かず、ストレスなどで免疫力が落ちてしまったのです。
山田未来斗くん「こっちとしては万全な気持ちでミストしているし、うんこ掃除しているし、もう大丈夫だろうと思っていたら急に死んじゃった」
ちょっとした油断が命に係わる・・・。厳しい現実です。
我が子って言わなければ良かった…出荷の時
幸い、未来斗くんの子ブタはすくすくと育ち、中には出荷の目安である100kgを超える子も。
山田未来斗くん「もう出荷か…さびしいですね」
別れの時が近づいてきました。
実習教師 山本真生さん「自分で進んだらそのまま。押さない、押さない。落ち着いたらちょっとずつちょっとずつ…」山田未来斗くん「下がらんで、下がらんで」
女子生徒「おいしくなれよ」
実習教師 山本真生さん「顔がもう泣きそう、大丈夫?」
山田未来斗くん「大丈夫です」
山田未来斗くん「生まれた時の子どもを自分で抱いて、そこから6か月育ててというのがあるので、思い入れが違って。我が子って…。今思うとここまで悲しくなるなら言わなければ良かった」
出荷から1週間――
実習教師 山本真生さん「みんな出荷したのを覚えているよね。これが今日みんなに食べてもらう豚肉です」
山田未来斗くん「無事に大きく、こうしてお肉になってくれたことをとてもうれしく思います。それでは手を合わせてください。いただきます」
畜産を学ぶ3年生全員で試食会です。
女子生徒「美味しいです」
女子生徒「うまっ」
実習教師 山本真生さん「未来斗、おいしい?」
山田未来斗くん「・・・おいしいです!」
山田未来斗くん「まだ焼いていない肉を見て思ったが、きれいだなと思って。晴れ姿って感じ。これだけきれいになって帰ってくれたら、もう悲しいとは言えない。今はもう誇らしい感じ」
卒業式で号泣のワケ…
「山田未来斗」「ハイ!」
悲しいのは友達との別れだけではありません。
お母さんブタの「ベリー」です。
「3年間幸せでした」
実習教師 山本真生さん「どうした?」
山田未来斗くん「卒業したくないです」
実習教師 山本真生さん「なんでね、卒業せなんたい。おかしか~。あんたなら大丈夫。ブタに対する愛情が人一倍あるけん、大丈夫!」
辞令、山田未来斗 殿
セブンフーズ 前田佳良子社長「辞令、山田未来斗殿」
山田未来斗くん「まだ社会人としては未熟ですが、それでもしっかりと成長していち早くプロとして働いていきます」
就職したのは養豚事業を行う会社。未来斗くんが世話をする豚は 6000頭に増えました。
山田未来斗くん「高校に行って豚を学んで、結果的に今この子たちの世話ができるようになって良かったなと今思っています」
高校3年間で培った動物への愛情と責任感。未来斗くんはこれからも命と向き合います。
山田未来斗くん「ブタは大好きです」
