「誠実で優しい37歳夫」が浮気しているかも… 35歳妻が衝撃を受けた、夫が変装して毎週通う場所と「悲しい告白」

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「性暴力の被害による心の傷が、結婚生活に影を落とし、それが浮気につながる可能性もあります。これまで、多くの相談を受けましたが、被害者が男性というケースは少ないです。ただ、男性の場合、女性から受けた行為を性暴力と認識していない場合もあるので、過去の体験が苦しさの原因になっていないかどうか、考える必要があると思います」

こう語るのは、キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さん。彼女は、メンタル心理アドバイザー、夫婦カウンセラーの資格を持つ。

山村さん連載「探偵はカウンセラー」は、山村さんが心のケアをどのようにしていったのかも含め、さまざまな事例から、多くの人が抱える困難や悩みをあぶりだしていく。個人が特定されないように配慮をしながら、家族、そして個人の心のあり方が、多くの人のヒントとなる事例を紹介していく。

今回山村さんのもとに相談にきたのは、35歳の専業主婦・香織さん(仮名)。3歳の娘がいる。かつて性暴力の被害に遭った経験があり、そのことが心の傷になっている。それゆえ37歳の夫の性的求めに頻繁に応じることができないでいた。それでも夫はそんな香織さんを受け入れ、結婚5年間、円満な夫婦関係が続いていたのだが、最近行動が怪しいというのだ。

小学校受験のための予備校に

夫が外出するのは、香織さんと娘が小学校受験のための予備校に通う土曜日が多い。まずは朝10時から張り込みを開始します。香織さん夫婦の住まいは、都内有数の邸宅街にある低層マンションです。夫の実家が所有する物件で、香織さん夫妻は家賃負担なく住んでいると聞き、豊かさの連鎖が続いていくことを改めて感じました。

ここはセキュリティがしっかりしているマンションなのですが、築年数が古いために、駐車場に出る通用口側は監視がゆるい。外から出入りをチェックすることができました。香織さんたちが10時に家を出るので、夫はすぐに出てくるだろうと待っていたのに、車に乗り込んだのは、13時でした。

夫はジャケットにシャツ姿で、とても爽やかな容姿をしています。背筋も伸びており、女性から人気があることが伺えます。プライドの高さが雰囲気として出ており、勤務先でのニックネームである「王子」そのもの。ファッションから世間体を重視している人だということもわかります。

セダンタイプの高級車に乗り、出発です。運転は拙く、法定速度よりも遅い速度なので、逆に尾行が難しい。夫が向かった先は、都内屈指の歓楽街でした。何度も切り返しをしながらコインパーキングに停めると、車内でトレーナーとカーゴパンツに着替えています。さらにニット帽を被り、周囲をキョロキョロ見回してから、車から降ります。

変装して向かった先は

そして俯いたままものすごい速さで歩き、ある高級な性産業の店に入って行きました。夫が車で移動するのは、この歓楽街が電車でのアクセスが不便なこと、店に入るところを誰かに見られたくないという強い思いがあるとわかりました。それから、2時間後、15時30分にびっくりするような笑顔で出てきたのです。そして、車に戻り工事現場の前まで移動して、着替えをしています。変装用の服をたたんでいる間も、ずっとニヤニヤしており「王子」の面影はどこにもありませんでした。

香織さんに報告すると、「浮気じゃなかった。プロの店なんですね。よかった」とホッとした声を出していました。そして、「今後、土曜日を3回分調査してください」と依頼を受けます。その結果、判で押したように同じ行動を行っていることがわかりました。ほぼ同じ時間帯に同じルートで店に行き、同じ変装をして、着替えて帰宅するのです。

以上、証拠を見せると「こんな笑顔、結婚してから見たことがありません」とかなり傷ついていました。

「私の前ではよそ行きというか、常にいい夫、いい父であろうとしていることがわかりました。こんな子供みたいな無邪気な顔、妻として見ていないのは悲しすぎる」

この話を聞き、私は夫もまた性被害を受けた経験があるのではないかとピンと来たのです。これは直感なのですが、性被害を受けた人は、自分の身を守るために、相手が求める自分像を察知し、「言うことを聞いてくれる、いい人」を演じる傾向があります。

また、夫の年齢を考えてみても、性欲が強すぎるように思いました。毎週、性産業の店で処理し、さらに自宅でも頻繁にマスターベーションをしています。もしかすると、強迫的性行動症(CSBD)ではないかと感じたのです。

強迫的性行動症の理由は…

このままでは、性行動が生活の中心となり、家庭のみならず、職場の信頼や人間関係にも悪影響を及ぼすのではないかと思いました。

「私も同じことを思いました。夫は明らかにおかしい。この種類の性産業の店は1回あたりの料金もかかりますよね。例えば1回5万円として、月に20万円。健全な出費とは思えません」

強迫的性行動症の原因として、強いストレス環境の他に、家族からの虐待、ネグレクト、暴力などが考えられます。

「夫は次男坊として大切に育てられており、男ばかりの三兄弟です。お義母さんは夫を愛し、明るくアクティブ。性も含めた虐待をする家庭環境ではないと思いますが、本当のところはわかりませんよね。今度、夫と話してみます」

香織さんはのんびり構えているようですが、強迫的性行動症は、痴漢、盗撮、不同意性交などの犯罪行為をするリスクも高い。そのことをお伝えすると「すぐに夫と話します」とあわてて帰って行きました。

「夫からいろんな告白を受けました」

その夜、香織さんから「夫からいろんな告白を受けました。こんなこと、誰にも話せないし、聞いていただいていいですか」と電話があったのです。夫はどうしているのか聞くと、「夫は泣き疲れて眠ってしまいました」と話しています。

「あの後、『ちょっと話そう』と寝室に呼び、証拠を見せました。するとギョッとした顔をしてすぐに『ごめん』と謝ってきました。その素直な姿勢に私も驚いて、『私こそエッチがあまりできなくてごめんね』と謝り返してしまったのです。すると夫はホッとした顔をして、少しずついろんなことを話してくれました」

夫の話は4時間に及び、行きつ戻りつしながら、結果的に辛い過去の告白にまで至りました。そもそも、夫は幼い頃から容姿端麗で、友達の母親や幼稚園の先生からも人気で、よく抱っこされたり、体を触られたり、女装をさせられたりして、「嫌だな」と思っていたそうです。

「そんな夫に対して、普通の態度で接し、当時家で禁止されていたゲームなどの遊びを教えてくれたのは、5歳年上のいとこの女性でした。義父の弟の娘で、よく家に遊びに来ており、5歳くらいから一緒に遊んでいたそうです」

ただ、夫が成長するとともに、男と女の距離感になっていったそうです。

「最も大きな出来事は、12歳の時に、『裸になって』と言われたこと。拒否すると叩かれ、強制的に服を脱がされたそうです。すると『いい子ね』と抱きしめてきて、体の細部まで触られた。夫は気持ちが悪いと思いながらも、同じく裸になったいとことのスキンシップは心地よく、体は反応してしまった。そのような関係が3年ほど続いたそうです」

夫はキスや体に触れられることが嫌いなのですが、それはこの時の経験が関係しているとのこと。夫がこの女性と性交渉したのは、14歳だったそうです。

「相手は19歳ですから、年齢的にも犯罪ですよ。ただ、『一緒に悪いことをしたんだからね。それに誰かに言っちゃダメよ。こういうことは男が悪者になる。バレたら未来はないよ』みたいなことを言われた。夫は嫌だと思いながらも、体は気持ちがいい。その矛盾に苦しんでいたそうです」

この女性は、夫が20歳の時にアメリカに留学し現地で結婚。以降20年以上会っていませんでした。しかし、最近、帰国し夫と再会します。

「それが1ヵ月ほど前で、夫がおかしくなった時期と重なります。夫はいろんなことを思い出し、死にたいような衝動に駆られるとともに、性的な衝動がさらに強くなってしまった。私を求めないのは、私自身が過去の強姦のトラウマで性交渉が、月1回でしかできないということもありますが、さらに『相手を傷つけるような行為をしないと気が済まないから、香織ちゃん相手にはできない』という理由もありました」

相手に暴言を浴びせたり、尊厳を傷つけるような行為も、対価を払えばサービスになる。高級な性産業のお店では、夫の求めを受け入れてくれたそうです。そこで欲望を解消していたと話していました。金額も想像した以上に高く、夫も「これで最後にしよう」と思いながらも、止められなかったそうです。

妻が夫に伝えたこと

これだけのことを告白した夫に対し、香織さんは「『言ってくれて、ありがとう』としか言えませんでした」と電話の向こうで泣いています。そのことに、私はとても感動しました。なかなか言えることではありません。この寛大な心があるから、夫は香織さんを愛したのではないかと感じたのです。そして、香織さんは夫の過去を受け入れた。この関係があれば、きっといい方向に進んでいくと確信しました。

4月20日に警察庁が公表した「犯罪統計資料」(2026年1〜3月分)によると、不同意性交等の「被害者」の男女比は、男性3%、女性97%、不同意わいせつ等を見ると、男性6%、女性94%と被害者の9割以上が女性です。しかし、男性も被害者はいますし、男女とも言えずにいる被害者はもっといると思われます。いずれにせよ、性暴力がいかに人の心を傷つけるかを改めて目の当たりにし、絶対許されないと強く感じました。

今後、香織さんはいとこの女性と二度と会わないですむように、環境を整え、夫に合うカウンセラーを探し、伴走すると話していました。強迫的性行動症は、隠し続けることで、状況が悪くなっていく心の病です。ともに性被害者であり、いい関係を模索するために動き続ける2人なら、いい未来に向けて歩けると確信しました。

調査料金は50万円(経費別)です。

【前編】生活費は光熱費別月20万円、学生時代性暴力に苦しんだ35歳専業主婦が「誠実で優しい37歳夫」の行動を怪しむ理由