「永遠に続く真冬の卒業式」被災者が語る、冬の防災で“本当に必要な備え”。新聞紙やゴミ袋も活躍
いざというときの防災対策。寒さが厳しい時季は、いつもの備蓄だけでは対策不足かもしれません。「気候変動の影響もあって夏の暑さだけでなく、冬の寒さも厳しさを増す昨今、防災においても防寒対策は手厚くしておく必要があります」と指摘するのは、看護師資格をもち、国内外30か所以上の被災地で活動してきた、国際災害レスキューナースの辻直美さん。冬の地震を乗り越える知恵と工夫について、話を伺いました。

冬の地震での被災でつらいのは「寒さ」と「体力消耗」
2011年3月の東日本大震災、2024年1月の能登半島地震…インフラが途絶えた極寒のなか、被災生活をする人々の姿に胸を痛めた人も多いはず。
その寒さについて、辻さんは「永遠に続く真冬の卒業式の体育館」と表現します。
「卒業式であれば式典は2時間ほどで終わりますが、冬の被災はそれが何日何日も、終わりが見えない状態で続くわけです。体を温める場所はありませんから、体の熱がどんどん奪われていきます」(辻直美さん、以下同)
避難所にダンボールベッドが届いたとしても、そのダンボール自体が冷たく凍えています。食べるものも冷たく、外だけでなく内臓からも冷えていく…それが、冬の被災の現実なのです。
寒い時期の被災に備え「最低限そろえておきたいもの」
被災したら必ずしも避難所に行くわけではありません。家に危険がなく、不安がないというのであれば、おうち避難も選択肢となります。
「プライバシーの点からも在宅避難を選ぶ方も多いでしょう。しかし、地震でストップした電気やガス、水道などのインフラはそう簡単に再開はしません。回復までの期間は一概には言えませんが、数か月かかることも想定されます」
そんな状況での冬のおうち避難。必要なものはさまざまあれど、辻さんが「被災生活が変わる」とおすすめするのが、ポータブル電源です。

「内臓が温かくなると、体の中から温められるし、心も体もほぐれます。ポータブル電源があれば、ホットプレートやIHコンロで調理ができ、“普段”と変わらない温かい食事がとれます。ポータルブル電源がなくても、カセットコンロやガス、固形燃料など調理道具はぜひ、備えておくべきです」
必ず知っておきたい「暖をとるための知恵」

また、辻さんは「秋の気配を感じたら、防寒アイテムを念入りにそろえておくべき」と言います。その防寒アイテムとは次のとおり。
・アルミ製レスキューシート
・カイロ
・新聞紙
・ゴミ袋
「100円ショップで売られているアルミ製のレスキューシート、これを1枚床に敷くだけで全然違います。ゴミ袋はウィンドブレーカー代わりになるし、新聞紙はくしゃくしゃにしてやわらかくすると、空気を含み、暖かさがアップ。新聞紙の暖かさは侮れませんよ」

辻さんによると、新聞紙を使うときは、体のどこを温めるかも重要。表面に太い血管が流れる「首のうしろ」「両手首足首」「腰」「背中」などに巻くと、血管が拡張して血流が増加。全身が次第にポカポカとしてくるのだそう。
「寒かったら洋服の重ね着をするのも手です。このとき、化繊→綿→毛・ナイロンの順番で着込んだほうが暖かくなります。素肌には綿やシルクがいいという方も少なくありませんが、汗冷えするので避けた方がいいと思います」
新聞紙の使い方も重ね着の仕方も、ちょっとした知恵が被災時のライフハックになります。こうしたアイデアのストックも、冬の防災対策だと言えそうです。
