デジタルアーティストが制作した短いムービーに次々と数十万ドルから数百万ドル(数千万〜数億円)という価格が付けられる事態が発生しています。インターネット上に優れたムービー作品が数多くある中で、特定のムービーの価格が爆発的に上昇している背景には暗号資産の存在があると報じられています。

How a 10-second video clip sold for $6.6 million | Reuters

https://www.reuters.com/article/retail-trading-nfts-idUKL8N2KV6X9

Grimes sold $6 million worth of digital art as NFTs - The Verge

https://www.theverge.com/2021/3/1/22308075/grimes-nft-6-million-sales-nifty-gateway-warnymph

高額でやり取りされているムービーの1つが以下で、デジタルアーティストであるGrimesさんの作品。 グランドキャニオンのような峡谷を背景に天使たちが舞っており、2020年11月28日にNifty Gatewayというオークションサイトで売り出された際には38万8938ドル(約4100万円)で落札されました。

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また同様にデジタルアーティストであるbeepleさんは2020年に350万ドル(約3億7400万円)相当の作品を Nifty Gatewayで販売したといわれています。2020年10月にbeepleさんの作品である「オンラインで無料視聴できる10秒のムービー」を6万7000ドル(約720万円)で購入したアートコレクターのパブロ・ロドリゲス=フライレさんは、2021年2月末にそれを660万ドル(7億500万円)で売ることに成功したそうです。

これらのデジタルアート売買の背後にあるのは、非代替性トークン(NFT)と呼ばれるデジタル資産です。NFTは取引が全て記録・公開されるというブロックチェーンの仕組みを利用し、アートの所有者や真正、その価値を裏付けることが可能です。

上記のようにデジタルアートが高額で売買されるという現状は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行し実際に本物の芸術を確かめて購入する機会が奪われるなかで、2020年にNFTとデジタルアートという組みあわせがじわじわと人気を集め、2021年2月末に爆発したためと考えられています。

NFTがどんなものかという詳細は、以下から読むことができます。

デジタルな概念に唯一無二の価値を与える「非代替性トークン(NFT)」とは一体何なのか? - GIGAZINE



NFTのマーケットプレイスであるOpenSeaでは、2021年1月の売上高が800万ドル(約8億5500万円)だったのに対し、2月は8600万ドル(約92億円)になったとのこと。なお、1年前は1カ月の売上高が150万ドル(約1億6000万円)ほどだったといわれています。

ただし投資家はNFTの市場がバブルの状態にあり、誇大広告の効果が消えると大きな損失を被る可能性があると警告しています。