下請け企業は金型の管理費用が負担に(イメージ)

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 下請け取引の適正化を目指す政策パッケージ「未来志向型の取引慣行に向けて(世耕プラン)」の効果が広がりつつある。所管する経済産業省は2016年以降、産業界に自主的な改善を継続して要請。重点3課題のうち、不合理な原価低減要請と支払代金の現金化では改善割合が増加した。今後は金型管理をめぐる対策に一段と力を入れる。適正化を推進し、中小企業の稼ぐ力を後押しする構えだ。

 足元の日本経済は景気減速懸念が出ているものの、この数年は経済政策「アベノミクス」を通じて大企業を中心に収益が拡大してきた。17年度の法人企業統計によると、金融業を除く全産業の経常利益、設備投資、「内部留保」に相当する利益剰余金はいずれも過去最高を更新。株価も第2次安倍晋三政権発足時から2倍に膨らんだ。景気回復の恩恵は、地方都市や中小企業にも少しずつ波及しつつある。

 一方で大企業と中小企業の収益力の差は、この10年で広がっている。大企業・製造業の経常利益総額は08―18年の間に4兆円台から5兆円台に拡大したのに対し、中小企業・製造業は数千億円から1兆円台で推移する。下請けに位置する中小企業の収益力を高めるには「発注元の大企業に対し、過度な原価低減要請の是正や適正なコスト負担・価格転嫁、支払い条件の改善を求める必要がある」(大手金融機関エコノミスト)。

 こうした中、官邸主導の「下請等中小企業の取引条件改善に関するワーキンググループ」が中心となり、経産省・中小企業庁や公正取引委員会などが下請け取引の適正化を推進。下請代金支払遅延等防止法(下請法)の運用基準の改正や、自動車や電機など各業界団体に対して「自主行動計画」と「下請ガイドライン」の策定要請などを行った。同計画の策定団体数は19年以降に三つ増えて12業種33団体に、同ガイドライン数は18業種になった。

支払い現金化 改善
 世耕プランで特に重視するのが原価低減要請、型管理、支払い条件の三つの課題。過度な原価低減要請や手形払い・分割払いの常態化など不当な商習慣を是正し“下請けいじめ”の解消を目指すのが狙いだ。経産省は3課題の改善に向け、「下請Gメン(取引調査員)」を通じて発注側・受注側企業に自主行動計画などの実施状況を調査。改善の徹底を継続して求め、同計画の実効性を高めた。
 
 18年12月には、経産省所管の8業種26団体を対象に「自主行動計画フォローアップ調査」(回答数約2400社)を公表した。この18年度の調査結果によると、「不合理な原価低減要請を受けていない」と回答した受注側企業は、17年度比11ポイント増の51%に拡大。また下請け代金をすべて現金で支払う措置に関しては、発注側は同4ポイント増の53%に、受注側は同2ポイント増の28%に増えた。「特に、支払いの現金化については大きく改善したという声を頂いている」(経産省関係者)という。

 一方で型管理については改善状況にバラつきが出ている。自動車や素形材など型を使う業界の多くは型の所有や保管期間があいまいで、下請け企業から発注企業への“休眠型”の返却・廃棄が進まず、下請け企業は管理費用が負担になっている。近年では発注・受注側の双方が保管料の考え方を共有するなど改善を進める動きがある一方、理解・知識不足などで未実施企業も多く存在している。

 フォローアップ調査によると「型の返却・廃棄をおおむね実施できた」と回答した受注側は17年度比8ポイント減の15%に下落。また「発注側に型の保管費用をおおむね負担してもらった」と答えた受注側は同4ポイント減の13%になった。契約書を交わす事例が多くなく、昔からの商習慣を漫然と受け入れているためだ。また取り組みに多くの時間を要することや、保管期間などの目安がないことも改善を阻害する要因になっている。