日本の対外純資産が何年も続けて過去最高を更新したというニュースを見て、素直に喜んでいいものかと考えさせられる。円安が続き、給料が上がった実感も乏しいままなのに、なぜこの数字だけは伸び続けるのか。順位では他国に抜かれたという報道も目にするが、そもそも数字の裏側で何が起きているのかまでは、ニュースだけでは見えてこない。そんな素朴な違和感を入り口に、実業家のマイキー佐野氏が最新の動画で経済の構造を丁寧に解きほぐしている。
 
対外純資産とは、海外に持つ資産から負債を差し引いた金額であり、日本はこの分野で長く上位を維持してきた。ただし佐野氏は、順位が入れ替わったという見出しだけを追いかけても、実態はつかめないと指摘する。黒字を支えている中身は国ごとにまるで異なり、貿易で稼ぐ国もあれば、海外投資の配当で数字を膨らませている国もあるという。上位に並ぶ国々を並べてみても、その成り立ちはそれぞれ別の事情を抱えているというのが佐野氏の見立てだ。日本は海外投資からの配当に偏る色合いが濃く、稼いだ利益が必ずしも国内へ戻ってきているわけではない。この構造こそが、円安がなかなか止まらない背景にあると佐野氏は語る。
 
さらに動画では、「対外純資産という巨大な余力があるから、財政赤字が膨らんでも危機は起きない」という、耳にする機会の多い主張についても踏み込んでいる。国全体が持つ資産と、政府が自由に使える財源とは、佐野氏の言葉を借りればまったく別物であり、この混同が誤解を生みやすいのだという。加えて、政府が外貨を保有する仕組みそのものにも、普段はあまり意識されない側面が潜んでいると佐野氏は明かす。
 
かつて日本の海外資産は、いざという時にすぐ売って国内に戻せる証券が中心だったため、危機が起きるたびに資金が還流し、円の価値が自然と支えられてきた。しかし企業の海外進出が進み資産の中身が様変わりした今、その仕組みは以前と同じようには働かなくなっているという。海外で稼いだお金が実際にはどこに置かれ、なぜ国内に戻りにくくなっているのか。身近な家族の話に例えながら、佐野氏はその実感の湧きやすい理由も語っている。数字の大きさだけでは測れない、日本経済のもう一つの顔がそこには潜んでいる。

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現在はアカデミズム関係者・経営者・投資家・学生が参加するビジネススクールも運営