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ハンドルを握ればわかる「人馬一体」

筆者は、中小自動車メーカーの将来を案じている。投資・開発すべき新技術が山積みで、新たなライバルが市場に殺到するなど、比較的小規模なメーカーは厳しい局面に立たされている。

【画像】運転の喜びを味わえるスタイリッシュなハッチバック【マツダ3を詳しく見る】 全22枚

だからこそ、マツダは多くの同業他社と同様、トヨタや長安汽車といった企業との共同開発・提携に比重を置くようになっている。こうした提携により、マツダのような企業に未来への道筋が示される一方で、その個性が一部失われてしまうのではないかという懸念もある。


マツダ3には、MX-5(ロードスター)のような運転の楽しさがある。    AUTOCAR

この『3』のハンドルを握るたびに、そのことを改めて思い知らされる。というのも、マツダはハンドリング特性を磨き上げる術を知っているからだ。たとえ控えめなファミリー向けハッチバックであっても(ましてやMX-5など言うまでもない)、マツダ車のステアリングには、運転する喜びと満足感を与えてくれる独特の鋭さとフィーリングがある。

同社は「人馬一体」という理念を大きく掲げており、自然な運転体験の実現を最優先に考えている。そして、実際にマツダ車のハンドルを握れば、それが単なる宣伝文句にとどまらないということがわかる。筆者は最近、週末に英国ハンプシャーの田園地帯へ何度か小旅行に出かけ、流れるような爽快な道で試乗車の3の運転を楽しむ機会があった。確かにホットハッチと言えるほどではないが、間違いなく魅力的なクルマだ。

不快になり過ぎない適度な乗り心地

ステアリングはダイレクトで、マツダならではの心地よい重さが感じられるため、コーナーに進入する際も、クルマは自分の意図した通りに動いてくれるだろうという確信が持てる。マツダ車のコーナリング安定性を支えているのは、やや硬めの乗り心地だが、英国の道路状況を考慮すると、これは明らかに欠点になり得る。

段差や穴にぶつかると少し衝撃が伝わるが、幸いなことに、その軽快なステアリングのおかげで、注意を払っていればそれらを回避できる可能性は十分にある。


マツダ3(英国仕様)    AUTOCAR

筆者は田舎のランニングイベントによく参加するのだが、しばしば草地にクルマを停めなければならず、硬めのハッチバックではかなり不快に感じることもある。

しかし、マツダは乗り心地を過度に不快にすることなく、ハンドリングをシャープに仕上げるという適切なバランスを見出しているようだ。英国のハッチバック購入者の多くは、量販SUVやクロスオーバーではなかなか得られない「運転の楽しさ」を求めていると推測されるので、このバランスのとり方はいいと思う。

試乗車のキーを手放したくない

英国仕様の3に搭載されたマイルドハイブリッドの自然吸気2.5L直列4気筒ガソリンエンジンもレスポンスが良好だが、少し驚いた点もある。ファミリー向けハッチバックとしては異例なほどに排気量が大きいことから、競合車種よりも騒音が大きいだろうと予想していたのだが、実際にはかなり静かだ。

実際、アイドリング時の静粛性と滑らかさが際立っているため、信号で停止してアイドリングストップ機能が作動した際、エンジンが再始動したタイミングが分からないことも何度かあった。


マツダ3(英国仕様、マニュアル・トランスミッション車)    AUTOCAR

ある意味、そのエンジン音は3そのもののキャラクターに似ていると言える。程よく控えめで、心地よい響きを持っているのだ。ドライバーを惹きつけ楽しませてくれる一方で、同時に非常にリラックスでき、心を落ち着かせてくれる。まさに理想的な感覚で、運転する喜びを感じさせてくれる。

だからこそ、筆者は数週間かけてスケジュールを埋めて、同僚の雑誌編集者であるレイチェル・バージェスに試乗車の3を渡す暇がないようにしていた。残念ながら、1週間ほど前に彼女に強く迫られ、ついにキーを手放すことになった。

というわけで、筆者はまた運転させてもらえるよう言い訳を探している状態である。そして、他社との共同開発が進む将来においても、マツダがハンドリング特性を維持する方法を何とか見出してくれることを願っている。