幕末から明治の「長崎」を描くなど、国の内外で高い評価を受けている漫画家の高浜 寛さん。

その最新作は、“テーマパーク” と “漫画” という異色の組み合わせが注目を集めています。

オランダの帆船が寄港したのは、佐世保市のテーマパーク「ハウステンボス」

帆船は、350年前に沈没した幽霊船。

青年の幽霊の入国を許可したのは、ガイコツ姿の出島の役人です。

現在、第1話が公開中の漫画「アンカリング・ダッチマン」。

(Webコミックで公開中)

(高浜 寛さん)

「(上陸したのは)そこですね、

彼は呪われていて、海上を永遠にさまよわないといけない。そういう呪いをかけられているので…」

漫画家の高浜 寛さん。

代表作「ニュクスの角灯 」など、これまで幕末から明治の長崎をモチーフに、数々の作品を手掛けています。

今作の舞台は、10年後のハウステンボス。

学芸員の女性と、オランダ人青年の幽霊の恋愛を軸に、オランダの歴史や文化をエンターテインメントに落とし込みました。

(高浜 寛さん)

「最初はハウステンボスを舞台に…というのは、漠然としていた」

執筆を依頼したのは、ハウステンボスの髙村耕太郎社長です。

(髙村 耕太郎社長)

「途中から、いい意味でハウステンボスが舞台なのを忘れるというか。それぐらい自然に溶け込んでいると思いました」

(髙村 耕太郎社長)

「ミッフィーエリアを作ったり、エヴァンゲリオンのアトラクションを作ったり、わかりやすいアプローチをお客様にしていくのも大事という一方で、自分たちが持っているベースの魅力みたいな所を、新しい手法で伝えていくようなカテゴリーとして、高浜さんにお声かけをした」

2年ほど前にオファーし、今年1月にはオランダを視察するなど、案を練り上げてきました。

(高浜 寛さん)

「どんなものを作るにしても、ストーリーがあった方がおもしろい。

ストーリーを作ることになった」

主要なキャラクターは、2人と1匹。

美術館 学芸員の真蓮と、オランダ人青年の幽霊。

そして… “社長” と呼ばれる犬です。

(高浜 寛さん)

「三角関係…」

(髙村 耕太郎社長)

「そうですよね、三角関係です」

(高浜 寛さん)

「第2話以降は、幽霊と学芸員の女の子の恋愛の話になるが、両方いわゆる回避系で、距離が縮まるかと思えば全く縮まらない。

ハウステンボスの年間のイベントや自然の描写などと一緒に進んでいく」

(髙村 耕太郎社長)

「時代設定、どうしようかと。未来がいいという話をしていた。

“じゃあ 歳をとった髙村さんでも出します?” みたいな話をしていた中で未来の会社を想像すると、いわゆる社長みたいな存在はなくて、みんなが好き勝手にやっていい会社になっている。

僕はそんな会社にしたいみたいな話をしてたら、社長を犬にしちゃおうか…みたいな感じ」

上陸した青年の幽霊が最初に出会うのが、その “社長”。

ついて行くと、ある場所で懐かしい記憶がよみがえります。

(高浜 寛さん)

「幽霊が上陸してからしばらく歩いてきて、初めてこのパレスの中に入ってきた、これを見て、ようやくオランダに帰って来れたと思うシーン」

(髙村 耕太郎社長)

「ハウステンボスは、やっぱりオランダの建物を相当緻密に再現していて、そういう形でハウステンボスが使われていくところは、みんなしっくりきやすい導入部分だと思う」

中に進むと…。

(高浜 寛さん)

「あれ(車)が犬の住処、社長室です。幽霊の青年が犬小屋に間借りして、一緒に寝起きすることになるんですけど、一応 その物語の中では空調も効いている」

(every.記者)

「豪華ですよね」

(髙村 耕太郎社長)

「そうですね。ハウステンボスの犬の社長ならでは。社長室ですからね」

こちらは、1話の冒頭「フライングダッチマン」の一幕。

〔漫画の冒頭〕

『1678年のある夜、一人の男がここで悪魔と契約をした…』

〔ヘンドリック〕

「力を貸すなら、神でなくともかまわん。この海、なんとしても渡らせてくれ」

(高浜 寛さん)

「ハウステンボスを描くなら、幽霊を描きたいというのがあった。

ですが、オランダはプロテスタントの国だから幽霊の話がない。

唯一あったのが、フライングダッチマン」

作中では、ハウステンボス歌劇団が演じる歌劇として登場します。

(高浜 寛さん)

「実際にそういう演目をやってるという前提で始めたら、おもしろいと思った」

現在、上演の予定はありませんが…。

(高浜 寛さん)

「私が先に考えたことをハウステンボスがやったり、ハウステンボスでやっていることを私が漫画にしたり、相互に起こっていくのが、おもしろい」

さらに、園内で販売しているグルメも登場。

オランダ発祥の「ストロープワッフル」は、真蓮が歌劇団の楽屋に差し入れるスイーツとして登場します。

(高浜 寛さん)

「サクサクでおいしい。想像で描いてたけど、差し入れするより、すぐ食べたほうがいいですね、すぐ食べてください」

リアルが漫画に。

そして、漫画がリアルに…。

(髙村 耕太郎社長)

「漫画の中で示唆したことが、将来のハウステンボスで起こってくるみたいな関係性の作り方も、エンターテインメントの構成の仕方としてすごく新しいと思う」

ハウステンボスのさまざまな風景が登場する「アンカリング・ダッチマン」。

(高浜 寛さん)

「美術館の美術品の倉庫の中と、パレスの中の廊下。あと裏方(のエリア)」

この日は、2話に向けて物語の舞台となる「パレスハウステンボス」などを視察しました。

(高浜 寛さん)

「建物の構造だけでいいので、撮らせてください」

美術館のスタッフの案内で、背景の写真などを撮影します。

高浜さんは、取材カメラが入れないエリアへも…。

(高浜 寛さん)

「主人公の職場でもあり、ものすごく仕事を頑張る人で、仕事についての描写も結構ある。

雰囲気もすごくあって、美術品も工芸品もたくさんあって、最終的にここが一番、物語のメーンになる舞台かなと思う」

2人の恋の行方は…

この先、ハウステンボスのどんな魅力が描かれるのか…。

漫画「アンカリング・ダッチマン」は、『トーチweb』で、無料配信しています。

(高浜 寛さん)

「シーズンの移り変わりとか、どういうところでキャラクターたちが動き回り、生活をし、恋愛をするのか。

周りの人たちの生活などを考えながら、施設を回ってもらい、楽しんでいただくと、多分 漫画が倍楽しめると思う。

お時間のあるときにぜひ、遊びに来てほしい」

高浜さんによると「フライング・ダッチマン」に登場したオランダの幽霊船は、350年前に実在したオランダ東インド会社の帆船をモデルにしているそうです。

その船は長崎にも来ていたことから、作中でも青年の幽霊の記憶として、出島が登場するかもしれないということです。