脱・税理士の菅原氏が、洋菓子店業界の倒産件数が2年連続で過去最多を更新しているという現状を、経営数字の視点から読み解いている。
 
街のケーキ屋が苦境に立たされている背景には、複数の構造的な問題が重なっている。まず原材料費の高騰、そこへさらに拍車をかけるのが競合環境の変化である。
 
さらに追い詰めるのが値上げのしにくさだ。ラーメン店のように値上げが浸透した業種と異なり、ケーキは一定の価格を超えると客足が遠のく傾向がある。かといって品質を落とせば悪評がすぐに広まる。生菓子は作り置きができず廃棄ロスも避けられないという構造的なジレンマが、経営の首を締める。
 
こうした状況を象徴する数字として、菅原氏はケーキ屋の営業利益率に関するデータに触れた。売上に対して、利益がいかに薄い水準にとどまっているかを示す衝撃的な数字であり、多くの経営者が実感している苦しさを裏付けるものだ。
 
一方で、菅原氏は固定費と変動費の考え方にも言及する。売上が一定の水準を超えた分については、固定費がほぼ変わらないため、その効果が利益に直結しやすいという仕組みだ。表面上の利益率だけで経営の実態を判断するのは危険であり、損益の構造を正しく理解することが経営判断の前提になると菅原氏は説く。
 
それでも厳しい環境下で過去最高業績を上げている洋菓子店が存在するのも事実だ。菅原氏は、勝ち残る店に共通するのはブランディングだと強調する。「何々といえば何々」という専門性や独自性を打ち出し、地域の顧客に愛される存在になることが、大手や価格競争に巻き込まれない唯一の活路だという。

SNSを活用して認知を広げ、丁寧な接客でファンを作る--その積み重ねが、どの業種にも共通する生存戦略だと菅原氏は語る。