売上が何兆円規模であっても、数千億円の赤字を抱える企業が存在する。そんな現実を突きつけるランキングが、今年の決算発表シーズンに注目を集めている。
 
脱・税理士の菅原氏が取り上げるのは、今年発表された上場企業の赤字額トップ10だ。誰もが名前を知る企業がずらりと顔を連ねるこのランキングは、「大企業なら安心」という長年の思い込みを、根底から覆しかねない内容になっている。菅原氏は傾向があると言い、知名度の高い企業ほど赤字の規模も大きいという現実を、具体的なランキング形式で示していく。
 
10位にはカメラメーカーとして広く知られる企業が入った。カメラ事業そのものは堅調に推移しているが、巨額を投じた買収案件の伸び悩みと、別事業の販売不振が業績を圧迫し、数百億円規模の赤字を計上している。9位に名を連ねるのは、売上の10倍を超える赤字という、一見すると理解しがたい構図の企業だ。ただし菅原氏によれば、これは実際の資金が流出したわけではなく、保有資産の評価損によるものだという。数字の読み方を知っているかどうかで、受け取る印象が大きく変わる事例だ。
 
ランキングの中盤には、普段の生活でも目にする有名企業が並ぶ。モバイル事業の赤字が長引く通信系グループ、海外広告事業でデジタルの波に押されている大手広告会社、EV市場の世界的な失速により設備投資が裏目に出た半導体関連メーカーなど、業種も規模も異なる各社に共通するのは「本業以外のつまずき」だ。新しい事業に踏み出したことが、巨額の損失へとつながるという構図は、大企業とて例外ではない。
 
そしてトップ3には、国民的知名度を持つ自動車メーカーと電力大手が並ぶ。菅原氏がとりわけ強調するのは、売上が数兆円規模であってもこれほどの赤字が生じうるという事実だ。そして赤字企業がコストカットに動く際、最初に対象となりやすいのが何かについても、菅原氏はためらいなく言及している。
 
「大企業だから安心」という判断が、就職・転職の場面でどれほど危うい根拠になりうるか。名前の知れた企業が並ぶランキングを前にして、菅原氏の言葉は重く響く。