高市首相公式Xより引用

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衆院選で大勝し、政府・与党内で表立って異を唱える人がほとんどいない、向かうところ「敵なし」状態の高市早苗首相。そんな高市首相ならではの「恐怖人事」が続いている。

始まりは、圧勝した衆院選後に、議案の扱いなどを差配する衆院議院運営委員長の浜田靖一氏を外したことだった。自民と維新が衆参ともに少数与党だった昨年の臨時国会では、浜田氏が野党に譲歩する場面が多く、浜田氏に不満を持っていたとされる高市首相は、委員長を浜田氏から高市政権の生みの親・麻生太郎副総裁が率いる麻生派の山口俊一氏に交代させた。

さらに、高市首相の「恐怖人事」は、独立性の高い参院にも及びそうに。高市首相は、2026年度予算を年度内に成立させられなかったことで、参院側で野党との折衝にあたった石井準一参院幹事長ら参院幹部への不信が高まり、周囲に「参院幹部から年度内成立させられると聞いていたのに、話が違う」と漏らすようになった。

党の会合では石井氏を無視するような姿が目撃されたことも。そして、これまで参院自民側で決めていた参院幹部人事を総裁が決められるようにできないか、模索もした。結局、参院側の反発を懸念して断念したものの、前例を破って自身の人事権を強めようとする高市首相の動きに、参院側の緊張感は高まった。

そもそも衆院解散も、予算委員長を務めていた中道改革連合の枝野幸男氏を与党議員に変えられないか、という思いが理由の1つにあったとされ、そのために党内への根回しも十分に行わず、解散を強行した経緯がある。

参院内では主流派でも高市自民の中では非主流派ではないか

自分の意に沿わない人物は交代させる。こうした「恐怖人事」を続ける高市首相だが、衆院選で圧勝したため、党内で目立った反発は出ていない。ただ、足元では例年夏から秋にかけて行われる党役員人事・内閣改造への不安も聞かれるようになった。

予算を年度内に成立させられず、高市首相の怒りを買ったとされる石井氏と近い参院議員は「石井氏が立ち上げたグループに入ったことで、参院内では『主流派』にいられるが、高市自民の中では『非主流派』ではないか」とぼやく。

昨年の総裁就任直後の人事では、自身の総裁選勝利に貢献した麻生派や旧茂木派を重用し、小野田紀美氏や黄川田仁志氏など、自身と近い議員も抜てきしていた高市首相だけに、衆院選大勝後の人事では、さらに自身の「お気に入り」や主流派を重要ポストに就け、非主流派も含めた各方面への配慮が薄れるのではないか、との見方がある。

「衆院選を経て、昨年の組閣時より衆院議員が 100人以上増え、高市氏に近い旧安倍派議員も多数国会に戻ってきている。ポスト争いが熾烈(しれつ)になる中、意に沿わない人物は外し、お気に入りを重用する高市氏の恐怖人事がどこまで続くか、戦々恐々だ」(自民関係者)

人事は総裁の権力の源ともされるが、歴代の総裁は主流派だけでなく非主流派にも一定程度ポストを与えることで、人事権と党内の各方面への配慮との絶妙なバランスを保ってきた。

だが、根回しや会食をしないなど従来の永田町政治と異なる印象を与えることで、高い支持率を維持してきた高市首相だけに、党内バランスよりも自身の意のままにできる布陣を優先するか。高市流「恐怖人事」の行方は…。