「服を手放したいけれど、どう手放せばいいかわからない…」そんなお悩みはありませんか? 1年3セットという少ない服で過ごす“制服化スタイリスト”のあきやあさみさんは、年に4回、本当に必要な服だけを手元に残す「断服式」を行っているそう。あきやさんにクローゼットを快適に保つ方法を伺いました。

※ この記事は『自問自答ファッション 制服化スタイリストが教える自分らしく生きるヒント』(朝日新聞出版刊)より一部を抜粋し、再編集しています。

服は手放さないと増え続ける

服は基本的に「腐る」ことがないため、自ら手放すことをしないとどんどん増えていく一方です。

とくに10年、20年も前の服を捨てられず、収納ボックスやゴミ袋につめて、見ないふりをしている…という方は要注意。「過去の自分」に引きずられて、新しい服を迎える気力と体力が損なわれている可能性があります。

そんな「服の遺跡」をつくらないためにも、私は春・夏・秋・冬と年4回の「断服式」を行っています。

断服式は次のシーズンを迎える準備

断服式は、自分が今どんな服を所有していて、その服を着るとどんな気持ちになるのかを確認するための作業です。

次のシーズンで着たい服や小物の準備がしっかりできていると、「今年の春はこんなことをしようかな」「こんなところに行きたいな。友達を誘ってみようかな」など、楽しい予定を立てやすくなるメリットも。さらには、「急に暑くなる(寒くなる)」といった気温の変化にも対応できます。

どんなにすてきな服でも、「一生」着続けることはないでしょう。結果として10年着続けることになった服は別として、服を買ったときの高揚感が10年続く方は少ないと思います。

「心から大事にしたい」と思える服との「出合い」だけでなく、服との「別れ」も同じくらい大切にしてみましょう。1着ずつ責任をもって卒業式をしていくと、「私には、白いスカートは扱いが難しかった」とか「シワがつきやすいから思ったより着る機会が増えなかった」などの気づきがあり、お買い物での失敗を減らすことにもつながります。

年に4回の「断服式」の方法

・時期…春(3月1日)、夏(5月1日)、秋(9月1日)、冬(11月1日)

・必要なもの…ペン、ノート(またはメモ帳)、全身鏡

日中に照明をつけず、自然光の部屋で行う。客観性が強まるので、できれば全身鏡は
部屋の中央に置くのがベスト。

1.「なりたい自分像」「コンセプト」を書き出す

2. 次のシーズンのファッションアイテムを1か所に並べて置く

3. 全身鏡の前でアイテムを1つずつ身に着ける

4.「なりたい自分像」「コンセプト」に合った「着たいコーディネート」をつくる

5. 着ない服は1か所にまとめ、着る服は洗濯やアイロンがけなどをして「いつでも着られる」状態に整える

6. たりないもの、着たいものがあればお買い物に行く

急な気温の変化にもすぐ対応できる

断服式がすっかり習慣になると、季節の移ろいに戸惑うことがなくなります。むしろ「春が来て暖かくなったら、このワンピースが着られるんだ!」と、ウキウキで待ち遠しくなってしまうことでしょう。

これは私の実感として、首都圏ではだいたい4月に数日ほど気温が急に上がって、半袖1枚で快適に過ごせる日があります。すると、街行く人がまだ冬の名残のような装いをしているなかで、颯爽(さっそう)と「春を満喫しちゃってます」という顔で歩けて爽快です。「ああ、私は今、人生を楽しんでいるな〜」と心まで快適に過ごせます。

断服式をしていると、こういう体験をできる日が年に何度かやってくるので、とても楽しいです。

「手放す」という行為は、じつは自分が思っている以上に、エネルギーを消費します。しかし、回数と時季がきちんと決まっていれば、必要以上にエネルギーを消費することがありません。私はこうして、長年の収納との戦いから解放されました。

忘れられない服の手放し方

私の元には、「服が手放せません」というお悩みを抱えた方が年に何百人といらっしゃいます。幸せな思い出と紐(ひも)づいている服や思い入れがないからこそ、「まだ手放すにはもったいない」と手放しがたい服もあるかもしれません。

私は2018年から制服化を始めたのですが、そのときから今日までに買った服をすべて覚えています。ほとんどの服は100〜200日は着ますし、なかには700日以上着ている服もあります。

もっている服すべてに愛着はありますが、年に4回の断服式を行うと「卒業メンバー」が出ます。しかし、どんなに愛着があっても執着はないので、「手放せなかった」ことはありません。

「愛着はあるのに執着はない」理由は、「たくさん思い出がありすぎて服と自分が融合したから」だと思っています。その服と長く一緒に過ごした思い出があると、手放しても一緒にいるような感覚があるので、ちっとも惜しい気持ちがないのです。

クローゼットは「美しいお花畑」

私にとって、クローゼットは「美しいお花畑」です。お花に水をあげて、太陽に当てて大事に育てるように、毎日大好きな服たちを触って、愛でて、にこにこしています。

しかし、どんなに大切にしていても、やはり買ってから数年がたってしまうと生地が傷んできたり、「今はこの服の気分じゃないな」という気持ちの変化があったりします。そんなふうに感じたら、まさに「手放すタイミング」です。

服を手放すとき、私はいつも「お花を別のお花畑に移す」気持ちで手放しています。私の持っている土壌(=スペース)にも、かけてあげられる愛情(=ケア)にも限界があるため、たくさんの花を植える(=服をもつ)ことはできません。どの花にも愛情を注ぐことができるようにしたいから、たくさんの服はもたないのです。

服を手放すことは「目的」ではない

断服式をおすすめしてはいますが、同時に私は「無理に手放す必要もない」とも思っています。断服式は「服を手放したいけれど手放せない」という方へのアドバイスであって、「私は服をたくさんもっているほうが幸せ」「お気に入りの服は10年20年だって着続けたい!」という方にまで、無理強いするものではありません。どの信念も、とてもすてきだなと思っています。

私の目的は「服を減らすこと」ではなく、「ファッションを楽しんで人生を気持ちよく過ごすこと」です。成人式の振袖、結婚式のゲストドレス、お出かけ用のワンピース、相棒のように連れ添ってきた靴など、「思い入れのあるもの」を手放した方がいいと言っているわけではありません。本当に大好きで、心から大切にしたい服は、着なくてもとっておいていいのです。

「このとおりにしないといけない」というものは1つもありません。自分自身が快適に過ごせる方法と、それぞれの正解を見つけていってもらえたらうれしいです。