本田の復調を予想していたバロテッリ「プレーするスペースは見つけられる」

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 セリエAはクリスマスと年末年始を挟み、1月6日の第18節が2016年最初の試合となる。日本代表のFW本田圭佑(ミラン)とDF長友佑都(インテル)も、シーズン開幕当初に比べると調子を上げてきて、プレーする姿が見られるようになったのは喜ばしいことだ。特に本田は、昨年9月19日のパレルモ戦以来となったフロジノーネ戦(同12月20日)に先発。同じ週に行われたコッパ・イタリアのサンプドリア戦に続き、2試合連続となるアシストを決めて復調の兆しを見せている。

 これをしっかり予想していた人物がいる。ミランでのチームメイト、FWマリオ・バロテッリだ。昨年の12月上旬にインタビューした際、本田についての好印象を語ってくれた。バロテッリも今シーズンは恥骨炎の手術などでわずか4試合の出場。ゴールも1得点と苦戦している。本田が試合に出られないがどう思うか、という質問について、彼はこう答えていた。

「今、この時期はケイスケにとっての好機ではないんだ。けれど、もしケイスケが普段のケイスケらしいやり方で練習を重ねていけば、プレーするスペースはきっと見つけられる」

 練習熱心な本田を認めた上で、そうきっぱり言い切った。まさに本田の再起を予言していたのだ。

「試合に出たり、出られなかったり……。俺も同じ経験をした」と語るバロテッリも、昨シーズンはリヴァプールで16試合出場1得点とさんざんな結果に終わっていた。やるべきことをきちんとこなしていれば、チャンスは来る。「まぁ、そんなことケイスケはわかっているさ」とつぶやいた。その本田も同じ時期にテレビの取材に対し「必要とされる時期が近い将来、来る」と自分自身を信じていた。

 第17節を終えて14試合出場(そのうちコッパ・イタリアが2試合)無得点で、昨シーズンの本田と比較すると完全復活とは言い切れない。しかし、シニシャ・ミハイロヴィッチ監督が2試合連続で本田を起用したのは、何かが変わりつつあることには間違いない。

 ベンチを温める機会が多い選手たちは、どんな気持ちでいるのか。インテルの長友は夏のメルカート時、移籍ほぼ確実と言われロベルト・マンチーニ監督の構想外とされていた。だが少しずつ出場回数も増えてきつつある。「ピンチはチャンス」という長友らしい考え方で、与えられたチャンスを活かして同監督の信頼を取り戻してきた。ゲームに出られない時は「長所、短所を見つめなおして、徹底的に練習から120パーセントでやってきた」と長友は言った。そして「集中して一試合、一試合を全力でピッチの上で表現したい」と首位インテルの一員らしいコメントもあった。移籍がささやかれた同じような危機から、チームの主力選手へ再起しつつある二人の日本人から目が離せない。

文=赤星敬子