「DLだと制作費全部赤字。CD買ってほしい」 スガシカオが明かすミュージシャンの厳しい現状
昨今、音楽はCDよりもダウンロードで聞くことが主流になりつつある。iTunesやmoraなどの有料配信サービスをはじめ、動画サイトに公開された音源を無料で落として聞くという人も少なくない。
そんな中、シンガーソングライターのスガシカオさん(47)が、ツイッターで「CDを買って!」と痛切な訴えを上げている。ツイートからは、「CD不況」の現代を生きるミュージシャンの厳しい現状がうかがえる。
「CD買ってもらうと、次の作品が作れるメドが立つんだよね」
スガさんは1997年にデビューし、オフィスオーガスタという事務所に所属していたが、2011年に独立。以来インディーズとしての活動を中心に行ってきた。
14年に音楽レーベル「SPEEDSTAR RECORDS」と契約し、5月21日発売のシングル「アストライド/LIFE」でメジャー完全復帰を果たした。
スガさんのツイッターアカウントあてには発売日から「最高です」「ガツンとやられました」「大好きな一枚になりました」など新作を絶賛するリプライが続々と寄せられていたのだが、5月24日に寄せられた「CDが売れない時代だけど、このCDは絶対、買いです!」というリプライに対し、スガさんが「ほんと、売れないっす」と反応した。
他のユーザーからの「スガさんにとってはポチる(編注:ダウンロード購入の意)のがいいのか?CD購入の方がいいのか?」というリプライに対しても、「アーティスト的にはCD買ってくれたの方が、将来につながります」(原文ママ)と回答した。
これに対し「アーティストの将来につながる、とはどういう意味合いでしょうか」という質問が寄せられ、スガさんは
「DLでももちろん嬉しいのですが、ぶっちゃけDLだとほとんど利益がないんだ。おれらみたいにスタジオで徹底的に音楽を追い込むタイプは、制作費が全部赤字になっちゃう。CD買ってもらうと、かなり制作費が補えるので、次の作品が作れるメドが立つんだよね。CD売れない音楽業界の負の連鎖だ」
と説明した。
「配信は妥協も遠慮もしなくていい」というメリットも
このツイートが、約15時間で7000リツイートを超える話題に。
「アーティストの厳しい現状…大なり小なりみんな苦しんでいるんだね」
「利益出ないとかもっと言うべき ぱっとみDLのほうがいいのかなと思ってしまうし」
「業界全体でDL販売でも利益が出るようにシフトしないとダメなんじゃないかなぁ。もうパッケージ商品を買うのはマニア層しかおらんでしょ」
「言いたいことは分かるけどCD一枚丸ごと買う価値があると思わされるCDがなかなか無いんだよ」
など、さまざまな意見が書き込まれている。
一方、スガさんは配信で購入することの良さにも理解を示している。「配信の意味は?配信が利益にならないのならCDでいいような…」との質問を寄せられ、「配信の良さはスピードと便利さ」と答えている。実際、事務所独立後にインディーズでリリースした6作品は配信限定だった。
13年9月のブログでは、
「インディーズ系配信とメジャー展開は、世界が違うよね。特にメジャーにいるとね・・・・とにかく前作の売り上げ数値が全てで、もう、すぐ数字数字でたまったもんじゃないよwま、その分テレビやラジオに出たり、広がりはあるけどね。比べて配信は、チャートが記録されない=数字や成績がつかない。まぁだから妥協も遠慮もしなくていいし、放送禁止になったら配信やめりゃいいだけ。そういう、自由なスタンスではあるよね。ただプロモーションは一切できない、そんな金は全然ない(笑)」
と語っている。