2位に6.5ゲーム差。それでも拭えぬ楽天の「不安要素」
球団史上初の首位で前半戦を折り返した楽天は、後半戦に入っても勢いは止まらず、8月7日のオリックス戦に敗れ球団新記録となる8連勝こそ達成できなかったが、それでも2位に6.5ゲーム差をつけ独走状態に入っている。そうなると期待したくなるのが、悲願の初優勝だ。野球解説者の与田剛氏に優勝の可能性を訊くと、次のように語った。
「楽天には優勝経験者が圧倒的に少なく、シーズンが進むにつれてプレッシャーも大きくなる。その時にどんな戦いができるかでしょうね。キーマンを挙げれば、野手なら松井稼頭央とアンドリュー・ジョーンズ。投手なら斎藤隆です。優勝経験がある彼らがいい状態でプレイできれば、初優勝も見てくると思います」
「これがジャイアンツなら、安心して『このまま優勝』となりますけどね。まだ50試合以上もあります。開幕から15連勝中の田中将大という絶対的なエースがいますが、ローテーションはずっと厳しい。ルーキーの則本昴大がここまで9勝6敗と頑張っていますけど、塩見貴洋、釜田佳直、長谷部康平、永井怜といった投手が先発として機能していない。まだ先発陣は磐石とは言えません」
また、現代の野球では先発ローテーション以上に重視されるのがブルペンの存在だ。今の楽天のブルペン陣を見ると、ラズナー、青山浩二、斎藤隆、小山伸一郎と、一応、駒は揃っているように思えるのだか……。
「安定はしているんですが、まだまだしんどい。一昨年、ソフトバンクが優勝した時の森福允彦、ファルケンボーグ、馬原孝浩のような、『彼らが出ると、得点できないよ』と相手が嘆くほどの絶対的な安心感はまだありません」(高橋氏)
一方の打線はどうか。銀次、ジョーンズ、マギーとクリーンアップが固定され、下位打線も好調を維持している。
「ジョーンズとマギーはここまで全試合出場を果たしていて、彼らがいるおかげでクリーンアップが落ち着いた。さらに打率の高い銀次が3番に入ったことで、より強力な打線になった。この3人が機能している間は、得点力は下がらないと思います。下位打線にしても、松井稼頭央を7番に据えたことで下位から生まれるチャンスが増えました」
ただ、これまでトップバッターを務めていた外野手の聖澤諒が腰痛と打撃不振からスタメンを外れ、その代わりに本来は捕手の岡島豪郎と内野手の枡田慎太郎が入っている。これを見れば、選手層は決して厚くはないと思えてしまう。ただ、この件に関しては、高橋氏はこう反論する。
「今の楽天ベンチに1カ所しか守れない選手ってほとんどいません。確かに、捕手の岡島を外野で使うんですから、首脳陣も度胸があるなと思いますけど、岡島のバッティングと足はベンチに置いておくにはもったいない。決して苦し紛れの選択ではないと思います」
では、打線に関して不安はないのだろうか。すると高橋氏は「マギーだけが心配」と言い、こう続けた。
「楽天にとっては最も怖いのは、マギーがケガなどで試合に出られなかった時です。ジョーンズはDHですし、いくらでもやりくりできます。打順だって4番はマギーに任せればいいだけですし。でも、マギーの代わりを務められる選手はいません。それぐらい今のマギーの存在感は大きい」
そして最大の関心ごとといえば、15連勝を続ける田中の存在だ。もし連勝が止まった時に、チームがどうなるのか。それが失速の原因になったりしないかということだ。
「不安ではありますが、今の楽天は田中におんぶに抱っこのチームではありません。実際はそこまで心配していません」
確かに「マギーの離脱」や「田中の敗戦」というのはあくまで仮定の話であり、不安といえるほどのものではない。逆に言えば、それだけ今の戦力が安定している証拠でもある。8月4日の日本ハム戦では、先発全員安打&全員打点をマークし、1イニング7二塁打のプロ野球記録を更新。初優勝へのプレッシャーはあるだろうが、今の選手たちの表情を見る限り、その心配もなさそうなのだが……。
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