トランプ政権が差し替えた展示パネルの前で抗議するウォリントンさん(7月29日、米フィラデルフィアで)=中根圭一撮影

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 米国のトランプ政権が7月、ペンシルベニア州フィラデルフィアの独立国立歴史公園にある奴隷制についての展示パネルを差し替え、初代大統領ジョージ・ワシントンが所有した黒人奴隷に関する詳細な情報を削除したことに対し、反発の声が広がっている。

 (フィラデルフィア 中根圭一)

 250年前に米独立宣言が採択され、「米国民主主義発祥の地」として知られるフィラデルフィア。展示パネルは、かつてワシントンらが住んだ大統領邸の跡地にあり、多くの観光客が訪れる。

 2010年に設置された元の展示パネルは、奴隷制の残虐性を包み隠さず伝える内容で、ワシントンに仕えた9人の奴隷の生い立ちや奴隷貿易の実態を紹介し、「奴隷制という汚い商売」といった批判的な文言も添えられていた。

 トランプ大統領は大統領に返り咲いた25年、「歴史修正主義的な動き」と戦うとする大統領令に署名し、米国民を「不当におとしめる」内容を公の展示物から削除するよう指示。連邦政府は今年1月、元の展示パネルを撤去した。

 フィラデルフィア市はパネルの完全復元を求めて連邦政府を提訴したが、連邦控訴裁は6月、撤去を容認する判断を示した。連邦政府は7月15日、同じ場所に新たなパネルを設置したが、米建国史を前面に紹介する内容に差し替えられ、奴隷制についての記述はあるものの、その残虐さを示す記述は大幅に削られた。

 パネルの前では、市民による抗議活動が続いている。地元在住のジーン・ウォリントンさん(76)は「政権の意図は歴史の美化だ。ここは建国と奴隷制の関係を示す史跡のはずだ」と声を上げた。

 フィラデルフィア市のシェレル・パーカー市長は「連邦政府の行為は恥ずべきことだ」と非難する。パネルの内容の完全復元を求めて連邦控訴裁に再審理を求める方針だ。

 トランプ氏は「米国の歴史を正確に描く」と主張し、首都ワシントンのスミソニアン博物館などに対しても、奴隷制など米国の「負の歴史」の展示修正に向けた政治介入を続けている。