なぜ電力会社がイベントや子育て支援に取り組む? 北海道電力が首都圏で“北海道ファン”を増やす理由
「北海道ファンを一人でも増やしたい」
北海道を拠点にエネルギー事業を展開する北海道電力。同社の首都圏販売部では、首都圏での電力販売に加え、首都圏で開催されるイベントへの出展や子育て支援事業への参画などを通じて、首都圏の人々と北海道をつなぐ活動を進めている。
なぜ北海道の電力会社が首都圏でこうした取り組みを進めているのか? 首都圏販売部 販売グループの坂本潤併氏に話を聞いた。

北海道電力 首都圏販売部 販売グループの坂本潤併氏。首都圏での電力販売に加え、地域との共創を通じた北海道の魅力発信に取り組む
○電力販売と北海道の魅力発信、2つの役割を担う首都圏販売部
北海道電力の首都圏販売部は、電力自由化を背景に2017年に設立された組織だ。首都圏および北関東を含む1都8県を営業エリアとし、現在は8名体制で活動している。
設立の背景には、電力自由化を受けて事業環境が変化する中、新たな収益機会を確保する狙いがあった。法人向けには対面営業による提案・柔軟な対応を強みとし、家庭向けにはイベントやプロモーションを通じて接点づくりを進めている。
一方で、首都圏販売部の役割は単なる電力販売にとどまらない。
坂本氏は「北海道の魅力を伝える活動も私たちの役割です」と説明する。「ともに育む地域の未来」という首都圏販売部独自のスローガンを掲げ、地域との共創を通じて北海道と首都圏をつなぐ役割を担っている。
○「ゴールドコーンポタージュ」を1,500杯配布 - 天王洲キャナルフェスで見えた手応え
その取り組みの一例が、2026年5月に開催された「天王洲キャナルフェス」への出展だ。参加のきっかけは、北海道企業とのつながりだったという。それをきっかけにイベントを紹介され、北海道カルチャーをテーマとしたイベントであったことから協賛を決定した。
会場では、さまざまな北海道企業の協力を得ながら景品や食品を用意。北海道百科をはじめ、複数の企業が協力した。来場者は簡単なアンケート回答やSNSフォローを行うことでガチャガチャを回し、北海道関連商品を受け取れる仕組みだ。

天王洲キャナルフェスに出展したブースの様子 ※提供:北海道電力
なかでも大きな反響を呼んだのが、紋別産の「ゴールドコーンポタージュ」の試飲だった。
この商品は、イベント前に首都圏販売部のメンバー自ら試飲を行い、「これは来場者に喜んでもらえる」と判断して導入したものだ。何を出展するかを一から検討する中で選ばれた商品だったという。
結果は予想以上の反響となり、3日間で提供したポタージュは約1,500杯。子どもたちが気に入って何度もブースを訪れたり、「販売してほしい」という声が寄せられたりするほどの人気を集めた。
また、北海道電力のコーポレート・キャラクター「エネモ」を目当てに来場する家族もいたという。「エネモに会いに来た」「子どもがファンになった」といった声も寄せられ、キャラクターの集客力を実感する機会にもなったという。

ブースでは北海道電力のキャラクター「エネモ」が登場。子供達からの人気を集めた ※提供:北海道電力
坂本氏は「自分たちが企画したものに対して、お客さまがどのような反応をしてくれるのかを直接見ることができた」と振り返る。北海道時代は本社で施策を企画する業務が中心であったことから、利用者の反応を現場で直接知る機会は限られていたという。来場者と接しながら手応えを感じられることは、坂本氏にとって大きなやりがいになっている。
○群馬から千葉へ広がる地域とのつながり
首都圏販売部の活動は東京だけにとどまらない。たとえば群馬県では、上毛新聞社との長年の関係をきっかけに、さまざまな地域活動を展開している。「ぐんまマラソン」への協賛もその一つだ。

北海道電力も協賛した、ぐんまマラソンの様子 ※提供:北海道電力
会場では、ランナー向けに塩分と糖分を同時に補給できる「塩べっこう飴」(提供協力:ロマンス製菓)や、北海道産カラマツ由来のバスソルトなどを配布。用意した6,000個の飴が瞬く間になくなったという。
他にも、群馬県で赤ちゃんを持つ家庭へ贈られるギフトボックス「はじめてばこ」にも協賛しており、過去には北海道電力の「エネモ」をモチーフにしたグッズを提供。今後は、「エネモ」をモチーフにした保冷剤の提供を予定している。

「エネモ」をモチーフにした保冷剤 ※提供:北海道電力
保冷剤を選んだ理由について坂本氏は、実用性の高さを挙げる。育児や弁当など幅広い場面で繰り返し使用できるため、長く手元に残りやすく、北海道電力や「エネモ」を身近に感じてもらえるきっかけにもなるという。
また、同県の老舗菓子メーカー・田村製菓とは北海道牛乳を使用したオリジナルの煎餅を制作。非売品ながら、取引先への手土産などとして活用されている。
現在は、おとべ創生の協力のもと、北海道乙部町産のきな粉を使用した「エネモきな粉煎餅」の制作も進めており、北海道と群馬県をつなぐ地域創生や魅力発信に取り組んでいる。

群馬県の老舗菓子メーカー・田村製菓と制作したオリジナル煎餅。パッケージには北海道電力の「エネモ」が描かれている。
こうした群馬県での取り組みは、新たな展開にもつながった。2026年には千葉テレビから問い合わせがあり、千葉県版の「はじめてばこ」にも参画することが決定。群馬での活動が評価され、新たな地域とのつながりが生まれている。
○首都圏で得た経験を北海道へ還元
坂本氏は、「電力会社だから電気を売るだけではなく、地域と一緒に歩んでいくことが大切」と話す。
その考え方は、北海道コンサドーレ札幌との協賛活動にも表れている。首都圏で開催されるアウェー戦にブースを出展し、サポーター向けのグッズ配布などを実施。現地ではサポーターから直接感謝の言葉を受けることもあり、首都圏と北海道をつなぐ取り組みの一つとなっている。

北海道コンサドーレ札幌のアウェー戦では、サポーター向けの企画を実施 ※提供:北海道電力
イベント出展や企業とのコラボレーション、キャラクター活用など、さまざまな取り組みを進めているが、その先に見据えているのは首都圏で得た経験や知見を北海道へ還元することだという。
「首都圏で得た経験や知識を北海道や会社に還元することも、私たちの大切な役割です」と話す坂本氏。

北海道電力の認知向上と地域との共創。その両方に取り組みながら、首都圏販売部は首都圏と北海道をつなぐ架け橋として活動を続けている。
北海道を拠点にエネルギー事業を展開する北海道電力。同社の首都圏販売部では、首都圏での電力販売に加え、首都圏で開催されるイベントへの出展や子育て支援事業への参画などを通じて、首都圏の人々と北海道をつなぐ活動を進めている。
なぜ北海道の電力会社が首都圏でこうした取り組みを進めているのか? 首都圏販売部 販売グループの坂本潤併氏に話を聞いた。

○電力販売と北海道の魅力発信、2つの役割を担う首都圏販売部
北海道電力の首都圏販売部は、電力自由化を背景に2017年に設立された組織だ。首都圏および北関東を含む1都8県を営業エリアとし、現在は8名体制で活動している。
設立の背景には、電力自由化を受けて事業環境が変化する中、新たな収益機会を確保する狙いがあった。法人向けには対面営業による提案・柔軟な対応を強みとし、家庭向けにはイベントやプロモーションを通じて接点づくりを進めている。
一方で、首都圏販売部の役割は単なる電力販売にとどまらない。
坂本氏は「北海道の魅力を伝える活動も私たちの役割です」と説明する。「ともに育む地域の未来」という首都圏販売部独自のスローガンを掲げ、地域との共創を通じて北海道と首都圏をつなぐ役割を担っている。
○「ゴールドコーンポタージュ」を1,500杯配布 - 天王洲キャナルフェスで見えた手応え
その取り組みの一例が、2026年5月に開催された「天王洲キャナルフェス」への出展だ。参加のきっかけは、北海道企業とのつながりだったという。それをきっかけにイベントを紹介され、北海道カルチャーをテーマとしたイベントであったことから協賛を決定した。
会場では、さまざまな北海道企業の協力を得ながら景品や食品を用意。北海道百科をはじめ、複数の企業が協力した。来場者は簡単なアンケート回答やSNSフォローを行うことでガチャガチャを回し、北海道関連商品を受け取れる仕組みだ。

なかでも大きな反響を呼んだのが、紋別産の「ゴールドコーンポタージュ」の試飲だった。
この商品は、イベント前に首都圏販売部のメンバー自ら試飲を行い、「これは来場者に喜んでもらえる」と判断して導入したものだ。何を出展するかを一から検討する中で選ばれた商品だったという。
結果は予想以上の反響となり、3日間で提供したポタージュは約1,500杯。子どもたちが気に入って何度もブースを訪れたり、「販売してほしい」という声が寄せられたりするほどの人気を集めた。
また、北海道電力のコーポレート・キャラクター「エネモ」を目当てに来場する家族もいたという。「エネモに会いに来た」「子どもがファンになった」といった声も寄せられ、キャラクターの集客力を実感する機会にもなったという。

坂本氏は「自分たちが企画したものに対して、お客さまがどのような反応をしてくれるのかを直接見ることができた」と振り返る。北海道時代は本社で施策を企画する業務が中心であったことから、利用者の反応を現場で直接知る機会は限られていたという。来場者と接しながら手応えを感じられることは、坂本氏にとって大きなやりがいになっている。
○群馬から千葉へ広がる地域とのつながり
首都圏販売部の活動は東京だけにとどまらない。たとえば群馬県では、上毛新聞社との長年の関係をきっかけに、さまざまな地域活動を展開している。「ぐんまマラソン」への協賛もその一つだ。

会場では、ランナー向けに塩分と糖分を同時に補給できる「塩べっこう飴」(提供協力:ロマンス製菓)や、北海道産カラマツ由来のバスソルトなどを配布。用意した6,000個の飴が瞬く間になくなったという。
他にも、群馬県で赤ちゃんを持つ家庭へ贈られるギフトボックス「はじめてばこ」にも協賛しており、過去には北海道電力の「エネモ」をモチーフにしたグッズを提供。今後は、「エネモ」をモチーフにした保冷剤の提供を予定している。

保冷剤を選んだ理由について坂本氏は、実用性の高さを挙げる。育児や弁当など幅広い場面で繰り返し使用できるため、長く手元に残りやすく、北海道電力や「エネモ」を身近に感じてもらえるきっかけにもなるという。
また、同県の老舗菓子メーカー・田村製菓とは北海道牛乳を使用したオリジナルの煎餅を制作。非売品ながら、取引先への手土産などとして活用されている。
現在は、おとべ創生の協力のもと、北海道乙部町産のきな粉を使用した「エネモきな粉煎餅」の制作も進めており、北海道と群馬県をつなぐ地域創生や魅力発信に取り組んでいる。

こうした群馬県での取り組みは、新たな展開にもつながった。2026年には千葉テレビから問い合わせがあり、千葉県版の「はじめてばこ」にも参画することが決定。群馬での活動が評価され、新たな地域とのつながりが生まれている。
○首都圏で得た経験を北海道へ還元
坂本氏は、「電力会社だから電気を売るだけではなく、地域と一緒に歩んでいくことが大切」と話す。
その考え方は、北海道コンサドーレ札幌との協賛活動にも表れている。首都圏で開催されるアウェー戦にブースを出展し、サポーター向けのグッズ配布などを実施。現地ではサポーターから直接感謝の言葉を受けることもあり、首都圏と北海道をつなぐ取り組みの一つとなっている。

イベント出展や企業とのコラボレーション、キャラクター活用など、さまざまな取り組みを進めているが、その先に見据えているのは首都圏で得た経験や知見を北海道へ還元することだという。
「首都圏で得た経験や知識を北海道や会社に還元することも、私たちの大切な役割です」と話す坂本氏。

北海道電力の認知向上と地域との共創。その両方に取り組みながら、首都圏販売部は首都圏と北海道をつなぐ架け橋として活動を続けている。
