星間空間で初めて糖を検出、生命の鍵握る化合物 新研究

(CNN)天文学者たちが、ラズベリーにも含まれる天然の糖を星間雲の塵(ちり)とガスから検出した。当該の星間雲は天の川銀河の中心付近に存在する。
この甘い発見は、生命に不可欠な化合物が恒星間の広大な空間でも形成され得ることを初めて示す事例となった。これを受けて、生命の起源にとって重要な他の分子も宇宙で見つかる可能性があるとの期待が高まっている。
スペインの宇宙生物学センターの天文学者が率いる研究チームが今回検出した糖はエリトルロースと呼ばれ、炭素原子4個を含む。糖は生命システムにおいて重要な役割を果たす。具体的にはエネルギーの供給や、生体構造の構築、RNAやDNAなどの遺伝物質の一部を形成するのに寄与する。
観測には、マドリード北部のイエベス天文台にある電波望遠鏡と、スペイン南部シエラネバダ山脈にあるミリ波電波天文学研究所(IRAM)の電波望遠鏡の2基を使用。銀河中心付近にあるG+0.693−0.027として知られる分子雲を観測した。
研究者たちは、分子雲から得られた電波データに含まれる分子の特徴的なシグナルを実験室で測定したエリトルロースの波長パターンと比較することで、この糖を特定した。当初、研究チームは炭素原子3個からなるより単純な糖を探したが、発見には至らなかった。研究結果は13日、学術誌「ネイチャー・アストロノミー」に掲載された。
マドリードの宇宙生物学センターおよびスペイン国立研究評議会の天文学者、イサスクン・ヒメネスセラ氏は電子メールで取材に答え、「我々の発見は、恒星や惑星が誕生する前の星間空間ですでに、比較的複雑な糖が合成され得ることを示している」と述べた。
この研究は、エリトルロースが宇宙空間の氷に覆われた塵の粒子上で比較的単純な分子から生成され、その後さらに複雑な化学系の一部となる可能性があることを示唆している。研究によれば、科学者たちはこれまで天の川銀河の星間空間に存在する物質やガスの中から340種類を超える分子を検出しているが、糖は見つかっていなかった。
科学者たちは長年にわたり、糖分子が地球上で最初にどのように形成されたのかについて疑問を抱いてきた。実験室での研究では、地球の歴史のごく初期に存在したと考えられる極限環境下において、糖は容易には形成されないことが示されている。
リボースやグルコースといった糖が、原始的な隕石(いんせき)や2020年に小惑星ベンヌから採取した試料から検出されたことにより、一部の糖は宇宙に起源を持つ可能性があると科学者たちは考えるようになった。
インペリアル・カレッジ・ロンドンで地球科学・工学科の教授を務めるマーク・セプトン氏は糖について、小惑星が形成される過程で取り込まれ、その後隕石によって地球表面へ運ばれた可能性があると指摘した。同氏は今回の研究には関与していない。
東北大学大学院理学研究科地学専攻の古川善博教授は、ベンヌのサンプルから糖を発見した研究チームの一員として、糖が彗星(すいせい)や小惑星の塵を介して地球や他の惑星に到達し得ることには同意する一方で、生命がどのように誕生したのかという過程は依然として不明だと述べた。
研究者らの推定によると、「後期重爆撃期」として知られる時期にはこうした糖が50万〜5000万トン分地球表面に降り注いだ可能性がある。これは約40億年前、小惑星が太陽系の中心寄りの惑星を激しく襲った時期を指す。ただこのような「重爆撃」が実際に起こったかどうかについては、依然として科学的な議論が続いていると米航空宇宙局(NASA)は指摘している。
エリトルロースはラズベリーやその他のいくつかの果物にごく微量含まれている。また肌の表面層と反応して日焼けしたような見た目をもたらすことから、セルフタンニングやブロンジング製品など化粧品の成分としても製造されている。
「エリトルロースの検出は非常に胸躍る成果だ。というのも、RNAの構成要素であるリボースや、生命の起源にとって重要な他の分子など、別の糖類が宇宙空間で発見される可能性に道を開くからだ」。論文の共同著者であり、スペイン国立研究評議会および宇宙生物学センターの分子進化研究者を務めるカルロス・ブリオネス氏は声明でそう述べた。
