ブラジルに逆転負けを喫した日本。「鈴木彩艶(左)の好守がなければもっと楽に勝っていた」とブラジル・メディアの論調は辛辣だ。(C)Getty Images

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 6月29日(日本時間30日)に行なわれたラウンド・オブ32の日本対ブラジル戦を前に、ブラジルでは日本代表がかつてないほど高く評価されていた。それは、日本が2026年W杯アジア最終予選を圧倒的な強さで突破し、昨年10月にセレソン、今年3月にイングランドを倒すなど、近年、強豪相手との強化試合で目を見張るような成績を収めていたからだ。

 しかし、29日の対戦を終えたブラジルメディアの日本に対する評価は辛辣だった。

 スポーツ紙『ランセ!』は、「セレソン(ブラジル代表)は肝を冷やした」としながらも、「前半、日本にミスを突かれて先制を許したが、後半はブラジルが試合を完全にコントロールした。日本は早々と死に体となり、ブラジルが追いつき、追い越すのは時間の問題だった」と評した。

 日本で目立った選手としては、「いくつかのファインセーブを見せた鈴木彩艶と、中盤で攻守に活躍し、見事な先制ゴールを決めた佐野海舟」を挙げた。

 ブラジルのテレビ局で解説者を務めるジーコは、日本の健闘を称えながらも、「後半はブラジルが明らかに優勢で、勝利に値した」と語った。
 
 ブラジルを代表するサッカー評論家、マウロ・セーザル・ペレイラは、「前半はセレソンが攻撃を組み立てることができず、中盤でのパスミスを拾われて日本に先制を許すなど、惨憺たる出来だった。しかし、後半は主導権を握り、終始、日本を自陣に押し込めた。日本はグループステージのチュニジア戦で見せた、流れるような連係とコレクティブなプレーを発揮できなかった」と指摘。さらに、「日本の個の力は、ブラジルの選手にはまだまだ及ばない」「鈴木彩艶の好守がなければ、ブラジルはもっと楽に勝っていた」と続けている。

 試合前に「ブラジルが攻守両面で連係を向上させ、より組織的にプレーできなければ、日本に負けるだろう」と警鐘を鳴らしていた元ブラジル代表MFフェリペ・メロは、「日本は後半、臆病なプレーに終始し、セレソンの伝統の前にひれ伏した」と評した。

 また、元ブラジル代表FWロマーリオは、「日本は評判倒れだったな」と切り捨てた。

 ブラジルメディアはW杯、とりわけノックアウトステージに入ると、対戦相手を最大限に警戒し、セレソンに危機感を促す論調を展開するのが常だ。試合前の日本への高評価も、その一環だったのかもしれない。

文●沢田啓明

【著者プロフィール】
1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。 

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