背後にスリグループの存在か…「なるべく軽い処罰にして」中国籍の男が法廷で語った支離滅裂な言動
「桜を見に来ました」
JR山手線の電車内で女性のバッグから財布を盗んだとして窃盗などの罪に問われている中国籍の陶文生被告(57)の公判が6月4日、東京地裁で開かれた。
起訴状によると今年3月、陶被告は渋谷から恵比寿間を走行中の電車内で、女性のバッグから財布を盗んだという。
「陶被告と別の男も現行犯逮捕されています。陶被告が女性のバッグから財布を盗む際に、もう1人の男が見張りをするなど役割分担をしていました。ここ数年、都心の観光地などでは、中国籍の観光客を装ったスリが横行しています。5月にも、東京・浅草(台東区)の仲見世通りで、観光客のリュックから財布を盗んだとして中国籍の男女2人が逮捕されており、背後には中国のスリグループの存在があるとみています」(捜査関係者)
陶被告は、着古したカーキ色のTシャツに紺色のチノパンという姿で出廷。顔に刻まれた深い皺と薄くなった頭頂部は実年齢以上に老けて見えるが、まったくの無表情で、感情は一切読み取れない。
審理は通訳を介して進められ、弁護人の質問から行われた。来日の理由について問われると「観光でした。桜を見に来ました」と返答。犯行動機については、
「衝動的にやってしまった。バカなことをしてしまった」
と反省を口にした。それに対し「(衝動的というが)もう一人の男も逮捕されているが」と聞かれるが、「共犯者はいません」と、計画性を真っ向から否定している。
「その後の質問で陶被告の不幸な生い立ちが語られました。貧しい家庭に生まれ、牛の放牧や家事などに追われ学校に行くことができなかった。そのため現在も字の読み書きができないそうです。
収入は、中国に所有する家を賃貸している分の年間約240万円の家賃収入と、政府から補助金として受け取っている毎月6万円ほど。合計約310万円ですから決して裕福とは言えない暮らしです。ただ本人曰く、これまでに4度も日本に観光目的で訪れているわけですから、どこまで本当のことを言っているのかわかりません」(全国紙社会部記者)
もし保釈されたらどうするのかを問われると、
「自分でチケットを買って帰ります。こんなことをしてしまって日本に立てる顔がありません。申し訳ありません」
と謝罪の言葉を繰り返した。
「なるべく軽い処罰にしてください」
次に行われた検察側の質問でも、辻褄(つじつま)の合わない答弁を繰り返すなど、突発的な犯行と主張する陶被告に疑惑の目が向けられた。日本に1人で来たと主張する被告に対し、検察側が「もう1人の男が行動を共にしているのでは?」と指摘すると、陶被告は「いいえ」と否定。犯行動機については、
「頭がおかしくなって、考えられなくなった」
などとあいまいな言葉でごまかした。
「犯行時、陶被告は黒色のトートバッグを持っており、トートバッグを女性のバッグに被せて財布を盗んでいます。客観的に見ても、計画性は明らかですが、検察側から『スリをするためにトートバッグを持っていたのではないか』と追及されると、これにも表情を変えることなく『いいえ』と否定しました。こういうやり取りにも慣れている感じだなという印象を持ちました」(前出・記者)
最後に裁判官が質問。陶被告の宿泊先がマッサージ店だったことについて、なぜそこに泊まったのかと聞くと、「字が読めないからです」と発言。不審な表情を浮かべた裁判官の「どうして字が読めないのに、マッサージ店だとわかったんですか」の問いに対しては、「看板がありました」と述べている。
さらにマッサージ店に宿泊できるのか問われると「話し合えばできます」などと不可解な回答を繰り返した。字が読めないと主張しているにもかかわらず、都心の路線図を熟知しているかのごとく頻繁に電車移動していたことについても、
「人に聞いたりして、教えてもらいます。携帯電話に翻訳ツールがありますから」
と説明。最後に言いたいことを問われると、
「なるべく軽い処罰にしてください」
と情状酌量を求めている。検察はもう1人の男と行動を共にしていたことや、犯行当日に複数回、電車を乗り換えるなど不審な行動について指摘。「常習性が疑われる」として禁錮1年6月を求刑した。
生活に困窮しながらも日本を観光し、字が読めないにもかかわらず頻繁に電車を乗り継いだりと、発言と行動内容の整合性は最後まで取れないままだった。判決は6月17日に言い渡される。
