実績あるベテラン勢が揃った『ファンタジー・オン・アイス2026』で、中井亜美、中田璃士ら10代スケーターが躍動
昨年のこの舞台で新カップルのお披露目をし、ミラノ・コルティナ五輪と世界選手権で優勝を果たし、再び戻ってきたロランス・フルニエ・ボードリーとギヨーム・シゼロン(フランス)のほか、ステファン・ランビエル(スイス)、坂本花織、宮原知子などが緊張感に満ちた演技を披露した『Fantasy on Ice 2026 in MAKUHARI』(5月30日、31日)。2日間3公演の舞台で、実績のあるベテランスケーターたちのなかにあって、10代の若手スケーターたちもその存在感を強くアピールした。

ショートプログラム『La Strada』を披露する中井亜美 photo by Sunao Noto/ ©Fantasy on Ice 2026
その筆頭だったのはシニア移行の昨季、GPファイナル2位に続いて四大陸選手権2位、ミラノ・コルティナ五輪銅メダル獲得と、初出場の大舞台で結果を出し続けた中井亜美(TOKIOインカラミ)だ。第1部は織田信成のシリアスなプログラムのあとの登場。
演目も、当初は昨季のフリースケーティングの『What a Wonderful World』のエキシビションバージョンを予定していたが、「スタッフの方とお話していて、ショートのほうがすごく盛り上がるし、見ている人にも楽しんでいただけるかなと思ったのでショートにしました」と、ミラノ・コルティナ五輪のショートプログラムで1位になった『La Strada』を披露した。
プログラムの紹介で会場が一気に盛り上がるなかで滑り出すと、序盤は伸びのある滑りを見せ、スパイラルとバレエジャンプを入れる構成にしてトリプルアクセルをパスし、3回転ルッツをきれいに決める。そして会場から手拍子も湧き上がった中盤は、3回転ループを決めるとスピードのあるレイバックスピンを見せる。再び曲調が変わったなかで丁寧なステップシークエンスと、今季滑り込んできた自信が滲み出てくるような安定の演技を見せた。
そして第2部は、初出演の若い選手にとっては異例とも言える、『ファンタジー・オン・アイス2026』ならではのアーティストとのコラボレーションへの挑戦。2012年2月デビュー以来、高い歌唱力で活躍している家入レオとの『僕たちの未来』での競演だった。
「曲が決まって最初に聞いた時、自分自身も明るくなるし、勇気も持てそうな曲だと思いました。振り付けをしてくれた宮本賢二先生も『フレッシュさを出していきたい』と言ってくださったので、18歳になった自分自身の、今のありのままの姿を出せればきっと見ている人にも伝わるのではないかと思いました」
そう話すように、滑り出しから彼女らしい明るさを前面に出し、観客席にアピールする余裕も見せると3回転ルッツを跳んで勢いをつける。終盤のステップシークエンスも元気さを思いきり出して明るい気持ちを表現する、楽しんでいる気分満開の滑り。中井亜美らしさを存分に見せた。

新しいエキシビションナンバーを滑る中田璃士 photo by Snao Noto/ ©Fantasy on Ice 2026
そんな中井とともに、まだ17歳ながらも表現力を評価されている中田璃士(TOKIOインカラミ)も3年連続で出演した。
昨年は新エキシビションプログラムの『Victorious』を滑ったほかに、宮原知子や坂本花織、チャ・ジュンファン(韓国)とともに、アンサンブルスケーターも交えてグループ演技の『Cinema Italian』を披露。宮原や坂本などの女性陣に誘惑されるような役柄も演じ、「すごい人たちと滑れるんだなという喜びが強かったけど、自分ではあまりやらないようなプログラムなのですごく『恥ずかしい』が、自分のなかで勝っていて......。(チャ・)ジュンファンとも『あ、こんなことするんだ』と話していました」と照れているような雰囲気もあった。
だが、今年は第2部最初のプログラムでチャや佐藤駿、田中刑事と、"SUPER EIGHT"のメンバーでもある安田章大との『NOROSHI』でのコラボレーション。ステージ上で安田とハイタッチをしてからリンクに飛び降りて滑り出し、他のスケーターと一緒に3回転フリップを跳ぶなど力強くリンクを滑り回る演技を披露した。
そして個人プログラムは昨年と同じように、新たに作ってきたばかりのエキシビションナンバーの『Give Me Love』。宮原がフラメンコダンサーのSIROCOやフラメンコバンドとの競演で緊迫した空気感を会場に充満させ、友野一希がセルフコレオの『Surf Rider』で独特な世界観の演技をしたあとだった。
だが、中田はその雰囲気を崩さなかった。しっとりした滑りからスピードを上げてトリプルアクセルを跳ぶと、そこからは体の内にため込んだ感情を滲み出させるような濃密な滑りをし、その余韻を残すようなイーグルにつなげる。そしてステップシークエンスも音楽の迫力に頼らない、力強い滑りを見せる。
オープニングの登場ではいきなりトリプルアクセルを跳び、フィナーレのジャンプ合戦でも佐藤駿とともに4回転トーループを披露。勢いだけではない新プログラムの演技は、来季からのシニア挑戦への高い意欲を見せるものだった。
中井、中田、そしてもうひとり出演した10代スケーターが18歳の櫛田育良(木下アカデミー)だ。昨季から島田高志郎(木下グループ)とアイスダンスカップルを組む櫛田は、島田とともに第1部の『Faith』でロックンロールに乗った軽快で相手を挑発するような踊りを見せると、第2部では『Freya』で違う世界観を見せる。赤いスポットライトに照らされたなかでの、チェロの重いスローテンポな音に乗ったふたりの情熱的な滑りは、濃厚な空気感を生み出していた。
練習もボードリー&シゼロン組と同じグループに入り、積極的にコミュニケーションを取りながらアドバイスを受ける姿が印象的だった。
一方、中田も以前から「ジュンファンは、自分が一番滑りのきれいだと思っている選手なので、一緒に滑れるのがうれしい」と語っており、中井も今回は「宮原知子ちゃんがずっと好きだったので、その滑りを間近で見て学びたい」と話していた。
プロスケーターやベテラン選手たちがメインでもあるこのファンタジー・オン・アイスだからこそ、若手選手たちは大きな刺激も受ける。来年以降も彼らが、学びの場としてのこの舞台で成長する姿を見せてくれるだろうという期待も膨らんできた。
