この記事をまとめると

クルマの解説などでベンチマークという言葉が頻繁に使われる

■ベンチマークとはそのジャンルにおいて基準になるモノやコトを指す

クルマの各ジャンルでベンチマークとなっているモデルについて解説する

軽自動車のベンチマークはやっぱりN-BOX!

 クルマの解説や試乗の記事でよく目にする言葉のひとつにベンチマークがある。少し前に取り上げたクロスオーバーと同じで、ほかの分野では以前から使われてきた言葉であり、そのジャンルにおける基準になるモノやコトを指す。なのでクルマの世界でもジャンルごとにベンチマークが存在することになる。

 まず軽自動車では、やはりホンダN-BOXになるだろう。スーパーハイトワゴンはそれ以前からあったものの、ホンダは老若男女誰でも乗れる機能的なデザインと、高速道路も安心して走れる走行性能などで、デビュー以来安定した人気を誇る。

 たまに軽自動車の販売台数ランキングで、トップから陥落したときにニュースになるぐらいだから、その人気は盤石だし、僕自身も乗るたびに良くできた軽自動車だと思っている。

 その上のクラスでは、輸入車ではあるがフォルクスワーゲン・ゴルフとBMW3シリーズが、しばしばベンチマークとして扱われる。

 ともに1970年代中盤に登場して以来、ゴルフは前輪駆動2ボックスのハッチバック、BMWは後輪駆動スポーツセダンというジャンルで、根強い支持を受けている。

テスラは“プレミアムなEV”というカテゴリーを作り上げた

 とりわけゴルフはスタイリングについても、台形キャビンや太いCピラーなど、初代から変わらない。これが日本人にも安心感として映っているようだ。ただし近年のフォルクスワーゲンは電動化に軸足を移しており、ID.シリーズが続々登場する影で、最新のゴルフ8はいまひとつ伸び代が感じられないことも事実。

 対照的に3シリーズは、後輪駆動のパワートレインはそのままに、スタイリングやインテリアは時代に合わせて柔軟に変えているし、プラグインハイブリッドも追加しつつ、どの世代でも「駆けぬける歓び」を体感させてくれるのはさすがだ。

 もうひとつ、テスラも上げておきたい。クルマ好きからはネガな評価も多いが、駆動用バッテリーをフロアに薄く敷き詰め、前後にモーターを置いた4WDというパッケージングは、その後ポルシェ・タイカンや日産アリアなど、多くの電気自動車に影響を与えた。

 自動車らしさを残しながらモダンに仕立てたデザイン、大きなモニターで多くのインターフェースを操るインテリアもまた、取り入れる車種が多い。

 プライドの高い欧州ブランドは絶対に認めたくないだろうが、タイカンやメルセデス・ベンツEQSなど、高性能でプレミアムな電気自動車というカテゴリーを作り上げたのもまたテスラだ。電動化の流れが続く限り、今後も名前が挙がることだろう。