「町勢振興費なんて項目はほかの自治体にないんです。1度に9万円以上支出しているケースもあった。こんな、税金を使ってのやりたい放題は許せませんよ」

 こう憤るのは、福岡県田川郡大任町で、永原譲二町長(68)の辞職を求めている次谷隆澄・大任副議長だ。

 2022年2月、次谷副議長が永原町長の接待交際費などを情報公開請求したところ、開示されたのは「町勢振興費」という見たこともない項目だった。

 その内訳を見ると、

・2017年度 33万6734円
・2018年度 57万4518円
・2019年度 50万5246円
・2020年度 19万6424円
・2021年度 8万7186円

 で、合計が170万108円。2017年7月12日には、1度に9万4652円という支出もあった。

「コロナ禍のため、2020年、2021年は少し額が低いけど、毎年50〜60万円のお金が出ている。何に使っているのか尋ねても、役場の総務課は『わかりません』『領収書はありません』というわけです。

 しかも、永原町長は、2021年9月に、情報公開条例を改正している。情報公開請求権を町内在住者に限定した上、『1年以上住所を有する』という条件まで付け加えたのです。2021年6月ごろから、マスコミが情報公開請求をし始めたので、町長自ら提案して改正案を通したんです。世の中の流れに完全に逆行していますよね」

 開示された項目には、香典代、生花代という項目もあった。

【香典代の内訳】合計237万円

・2017年、51万円(51件)
・2018年、57万円(57件)
・2019年、52万円(52件)
・2020年、38万円(38件)
・2021年、39万円(39件)

【生花代の内訳】合計71万8000円

・2017年、18万9000円(7件)
・2018年、16万2000円(6件)
・2019年、11万円(4件)
・2020年、14万5000円(5件)
・2021年、11万2000円(2件)

「香典代を月に何十万も出しているんですが、ほかの自治体と比べたら異常な額です。通常の自治体であればネットで送り先がわかるようになっていますが、大任町では、どこに出したのかわからない。

 町長本人が出しているのか、送り先は大任町民なのか、その詳細がわからないわけです。本人が現地に行ってなかったら公職選挙法違反ですからね。

 町役場では電気をつけなかったりクーラー使わなかったり節約させておいて、自分はわけのわからないものに年間何十万円も使っている。

 使わなくてはいけないお金ならわかりますよ。でも、そうでないなら納得できません。税金を自分のお金のように使うのは許せません」

 次谷副議長は、6月の町議会でこの問題を追及していくという。永原町政は、5期17年にわたる長期政権。その “独裁” を疑問視する声も高まっている。