4月上旬、自宅マンションから出てきた榊英雄監督。記者の姿を見ると、急いで自転車に飛び乗り、走り去っていった

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 明らかになりつつある日本映画界のゆがんだ体質。発端は、榊英雄監督の非道な行為の報道だった。3月10日に発売された『週刊文春』で、4人の女優が榊監督に性行為を強要されたと告発。

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「強い立場を利用して肉体関係を迫り、暗がりに連れ込んで暴力を振るったとも。所属事務所を通じて謝罪コメントを発表しましたが、スタッフや観客に謝ることを優先して、被害女性は後回しでした」(スポーツ紙記者)

榊監督は意気地がいないタイプ

 撮影ずみだった映画『蜜月』の公開は中止となり、所属事務所は榊との契約を解除した。

「榊さんは若いころ、京都の『太秦映画村』にいたことがあります。昔の太秦では、大御所俳優や監督に対する枕営業の噂があったので“いつか自分も”と思っていたんじゃないかな。何本か映画を撮ったけど、監督としての評価はそれほど高くない。自分では大物気取りみたいだけど、今回の件で4月に公開予定だった映画『ハザードランプ』も“お蔵入り”になりました」(映画ライター)

 報道から約1か月が過ぎた4月上旬、榊の住む都内マンションを訪ねた。同じマンションで暮らす住人の1人によると、入り口の郵便受けから《榊》の名前が消されたという。報道を受けて、ひっそりと暮らしているようだ。彼の人となりについても尋ねると、意外にも評判は悪くない。

「すごくいい人ですよ。16年ほど前に、次の物件を探す“仮住まい”のつもりで引っ越してきたみたいですが、近所にすっかり溶け込んで、ずっと住んでいます。マンション内にある花壇のパンジーに水をあげてくれたり、雪かきを率先してやってくれたり。子どもが生まれてからは、近所の子どもたちと遊んでくれるし、天気が悪い日には学校まで一緒に送ってくれます」

 親切だが、情けない姿を見せることもあった。同じマンションの別の住人が語る。

「榊さん一家が住む部屋の下にクレーマーみたいな人が住んでいて、近隣にひどい嫌がらせをしていたんです。それでも榊さんの奥さんは毅然とした対応をしていたのですが、榊さんはその陰に隠れて見ているだけ。意気地がないんです。だから今回の被害者への対応も、彼らしいとはいえますね。会見などを開いて、直接、謝ったりするような度胸はないんでしょう」

 住人の中には“気持ち悪い”“同じマンションに住みたくない”と、榊への嫌悪感をあらわにする人もいたそう。それでもマンションの管理組合の役員をしているという住人の1人は、こう明かす。

「同じマンションに住んでいるよしみだし、なんとかしてあげたいと思って、ほかの住人とも話をして、榊さんに手紙を書いたんです。そうしたら、彼の地元の名産だという“五島うどん”の乾麺をレジ袋に入れて持ってきましたよ。やせ細って、憔悴しきっていたから私は“榊さんの味方だよ”と伝えたら“ありがとうございます”って、泣いて謝っていましたね」

記者を指さして「警察呼びますよ!」

 しかし『週刊文春』は翌週の発売号で、新たに4人の女優の告発を続報。事態は深刻の度を増す。

「さすがに打つ手はないと思い“ここまできたら復帰は無理だし、弁護士に依頼して、ちゃんと謝罪会見をしてから、やり直さなきゃ”と言ったら“自分もそう考えていますが、会見はちょっと……”って。

 蚊の鳴くような声で“死にたい”とも言っていた。奥さんはネットの配信番組で“夫婦関係にケジメをつけようかなと思ってはいる”と話した直後にいなくなりました。いま榊さんは長女と暮らしています。次女は見かけないので、奥さんが連れていったのかな」(同・住人、以下同)

 何よりも心配なのは、子どもたちのことだという。

「つらいでしょうけど、長女は父親のそばにいてあげているんじゃないかな。でも、彼には甘さがあって、報道があった後も、まだ復帰したいという気持ちが見てとれる。泣いていたときも、どこかそんな気持ちがあったと思います。かわいそうな部分もあるけれど、これ以上の保身に走るのはやめたほうがいい」

 しばらくすると榊本人がマンションの外に出てきた。『週刊女性』に話をしてくれていた住人の1人が彼に声をかける。

「ちょうど記者さんがいるし、被害者に謝罪を伝えるチャンスだよ」

 しかし、当の榊は「子どもを迎えに行くので」とだけ言い残し、その場から去っていった。ほどなくして戻ってきた榊は、記者に指をさすと、「警察、呼びますよ!」

 と言い放ち、部屋に入った。

 翌日、再び榊のマンションを訪ねると、部屋から出てきたのは榊の妻だった。

「シンガー・ソングライターの橘いずみさんで、ストイックな歌詞から“女・尾崎豊”と呼ばれたこともありました。'05年に榊さんと結婚。'20年からは芸名を『和』にして、音楽活動をしています」(音楽ライター)

 今の心境と今後について聞いてみると、

「私はもう、関係ないですから」

─関係がないとは、榊監督とは離婚したのか?

「いえ、まだ何も」

 それ以上は、何を聞いても無言。携帯電話を取り出し、どこかに電話をかけ続けるだけで、記者の問いかけに答えることはなかった。

「俺はモテるんだ」と豪語

 この前日の夜、榊は記者に話をしてくれたマンション住人たちのもとを訪れて“マスコミに話さないでくれ”“僕にも人権がある”と訴えていたという。

 住人のうちの1人が呆れたように『週刊女性』に語る。

「彼が被害者に対して、ちゃんと謝罪する最後のチャンスだと思ったのに……。あれでは、いつまでたっても本人の口から謝罪なんてありませんよ。弁護士がいるとも言っていたけれど、本当に雇っているのかも疑問です。榊さんは人権って言うけれど、被害者の人権はどうなるの? 警察に通報したいのは被害者の女性たちなのでは?」

 榊の妻に対しても落胆を隠さない住人もいた。

「いずみさんは芸能界が長いし、女性の気持ちがわかるかなと思っていたのに……。離婚するみたいなにおわせを語って、世間に同情を引こうとして、結局は離婚しない」

 かつて晴れた日には、ベランダに干した布団を妻がパンパンと叩く音が聞こえていたが、報道があってから、その音は聞こえず、ひっそりとしているという。

 榊が契約を解除された所属事務所に、今も橘は所属している。一連の報道を受けて、夫婦の今後について問い合わせると、

「別居はしていません。離婚も今のところはしていません。ただし、家族のことなので、詳しくはわかりません」

 榊が今後、会見などを開く予定があるか聞くと、

「榊さんは3月26日に退社しており、わかりません」

 とのことだった。このまま自らの口で説明することなく、被害女性への謝罪もしないつもりなのか。

「榊さんは若いときから強烈な自信家で“俺はモテるんだ”と、周りに吹聴していました。今回の報道で、彼のそんな一面を思い出しました。自分中心の考えでおごりがあるから、女性に対してあんな振る舞いができるんでしょうね」(榊を知る女優)

 妻との“ケジメの話”は、被害者への謝罪と説明の責任を果たしてからだろう。