7月4日、ようやくJ1リーグが再開しました。観客がいない試合の中でも熱戦が繰り広げられていましたが、僕の目を一番引いたのはスタンドの様子でした。

各クラブは様々な工夫をしてスタンドを埋めていました。見事なコレオグラフィーが作られたところもありましたし、心暖まるいろいろな物が置かれて寂しさを補っていた会場もありました。

僕も現役時代に自分の段幕を掲げてもらっていたのを思い出します。アップでピッチに入るときや試合中、自分の名前が書いてある幕を見てうれしかったですし、励みにもなっていました。今回、選手個人の名前の幕が出してあることは、多分なかったと思うのですが、それでもいろいろな装飾は選手を奮い立たせてくれたのではないかと思います。

いつもはたくさんのファン・サポーターのみなさんの手でスタンドを飾っているのでしょうが、現在はクラブスタッフが準備するしかありません。ですから今回のような演出をするのはすごい手間と時間がかかったのではないかと思います。

今回、選手はスタジアムを飾るのにどれくらいの手間がかかるのか、身近なスタッフが行っていたことで詳しく知ったでしょう。またいつも鳴り響いている声援がないだけで、どんなに難しい雰囲気になるのかもわかったと思います。

そしてそこに込められたファン・サポーターの方々の思いを選手は痛いほど感じたはずです。今までは当たり前のように、華やかに彩られたスタジアムでたくさんの声援を浴びながらプレーしていたかもしれません。でもそれは当たり前のことではないし、ファン・サポーターのみなさんがどれだけクラブやチームを支えていたかということを、みんな深く知ったはずです。

来週からは少しずつ観客を入れた試合開催になっていくと思います。ですが、そこでもなお、声がスタジアムに響くことはありません。それでも選手はこれまで以上にファン・サポーターのみなさんの力を感じ、感謝の気持ちを持って、ありがたさを噛みしめながらプレーするだろうと確信しています。