時代の流れを掴みスマッシュヒットとなったクルマたち

 今では個性の時代で価値観や好みも分散して、ひとつのクルマに人気が集中するというのはあまりなくなってきたが、その昔はいろいろとあった。トヨタ、日産、ホンダと紹介してきたが、今回はマツダをはじめとしたその他のメーカーを見てみよう。そもそもマツダ、スバル、スズキあたりになると、メーカー規模が小さいだけにたくさんはないが、それでもヒット作はいくつかある。

1)マツダ・ファミリア

 FRの小型車として登場しつつ、それまでの三輪自動車、軽自動車メーカーからの脱却のきっかけともなったのが、ファミリア。ロータリーを積んだり、レースでも活躍するなど、それなりにヒットしていたが、大ヒットとなったのが1980年に登場した5代目で、初めてのFFとなったモデルでもある。

 FF2ボックスという世界的な新時代感、直線基調のクリーンなデザインなどが受けた理由だが、なかでも赤いファミリアは、サーファー、そして陸サーファーにも人気が出た。なぜ赤かは不明だが。ちなみに赤ばかりが今では話題になるが、当時は青などもよく見かけたもので、大ヒットを受けて第1回のカー・オブ・ザ・イヤー大賞車に輝いている。

2)スズキ・初代アルト

 47万円でお馴染みの初代アルト。ポイントは実質は乗用を想定しつつも、後席を固定するなどして商用扱い、つまりボンバンにしたこと。助手席側のカギ穴がないなど、徹底的にコストを削減して47万円を実現しつつ、商用車だから税金も安いということで大ヒット。オカーちゃんの足グルマとして大いに支持された。

王者カローラを上まわったモデルも

3)スズキ・ワゴンR

 それまで、軽といえば、アルトのようなセダンタイプや、軽トラ&軽バンだったのが、いわゆるミニバンスタイルで登場したのは1993年当時としてもビックリな出来事だった。

 ただ、ホンダのステップバンがすでに形にしていたので、真似したという声もあったが、バカ売れ。当時の王者、カローラの販売台数を上まわったこともあった。

4)スバル・レガシィ・ツーリングワゴン

 文句なしのステーションワゴンの王者。1989年に登場した初代は、バブルはもちろん、RVブーム、そしてアウトドアブームにも乗って大ヒット。クルマ自体も、それまでバンベースの乗用車しかなかったのが、ワゴン専用設計としていたのが画期的で出来もよかった。

 富士重工(当時)を倒産の危機から救ってくれた立役者でもある。当時、ワゴンの専門誌『アクティブビークル』をめくりながら、広報マンがレガシィが紹介されているページを付せんを付けるのが楽しみといっていたのを覚えている。ちなみに毎号1/3ぐらいがレガシィの記事だったからそりゃ喜ぶよな、だ。

5)いすゞ・ジェミニ

 ファミリアもそうだったが、FFというのは1980年代、先進であり、小型車において画期的な革新的技術だった。おかげで車内が広く取れたりしたのだが、いすゞのジェミニも同じく、1985年に登場した2代目はFFジェミニとして大ヒット。

 ペパーミントグリーンなどのポップなボディ話題になった。さらに街の遊撃手のコピーで、パリの街や地下鉄のホームを自由自在にドリフトしたりして走りまくるCMも大いに話題になって、販売を後押し。ちなみに映画007のスタント担当、レミー・ジュリアンが運転を担当している。今でもYouTubeで見られるのでぜひ。