レーザーカッターで切り出した機織り機で手織り体験「作るための道具を作る」という時代の幕開け
ただ、作品やプロトタイプを作るとういった「ものづくり」以外にも注目したいのが、
「作るためのツール」を作れる、
というムーブメントだ。
今回、筆者が参加したワークショップは、
「レーザーカッターで作った機織り機で手織り体験ができる」
というもの。
この6月にリニューアルオープンしたファブラボ品川が開催するイベントだ。

レーザーカッターで切った機織り
◎手織り体験
縦糸と横糸を交互に重ねていく「織りもの」は、ごく簡単な仕掛けのものから複雑な機構からなる自動織機まで、世界中にさまざまな製法がある。
一番プリミティブなものが、縦糸を一定間隔おきに張って横糸を通し、その裏表で織りを重ねていくという手法だろう。
これは卓上の編み機としても多くの製品が出回っている。
一般の人や初心者でもわかりやすく、再現もしやすい。ダンボールで手作り編み機を作る方法を解説するブログなどもあるほどだ。
ファブラボ品川が製作した機織り機もその1つ。
ファブラボ山口でデータ化されたパーツを元に作っている。
ちなみに、「レーザー加工機で機織り機を作ろう」ワークショップは7月中旬に行われている。
今回のワークショップでは、そこで切り出した機織りでコースターを作ろうというもの。

機織り機のパーツを切り抜いた後
当日は講師の小山みささん(itoshigoto)の指導の元、さまざまな糸を選びながら織っていく。
途中で横糸の種類を変えることで模様を作る。このあたりは、多くの人が知っている編み物と同じ要領だ。糸の張りの強さ、切れ目、つなぎ方の処理など、やはり講師の先生に直接聞けるのはありがたい。

機織りの工程1

機織りの工程2

機織りの工程3

機織りの工程4

機織りの工程5
小一時間ほどで、10cm四方の布片ができ上がる。
端の輪になっている部分を切って結んでもいいし、あえて、そのままの状態でタペストリー的なもので完成としてもいい。布バッグやシャツ、ワンピースの飾りポケットにしてもかわいい。

完成した!フラッグ風にしてみた
◎作るための道具を作る
今回参加して感じたことは、作るのはおもしろい。
そこに「道具」があれば作れるということ。
たとえば、編み物は棒編みなり、かぎ針なり、を使うことで"作る人"は一定数いる。
つまり道具があることで、新たに始める人が現れるから「道具」は廃れないのだ。
そう考えると道具は、ものづくりにおいて重要な要素だ。
今は使う人がいないために作られなくなった道具というのも多くある。
しかし、3Dプリンターやレーザーカッターなどデジタルファブのツールによって、今はそれを再現できるようになったのだ。
3Dプリンターが既存企業の持つ特許の期限切れで、家庭や小さなスペース向けに普及版が登場し始めたのが約10年前。当時から言われていたように、3Dプリンター用のデータさえあれば、たいてい何でも出力できる。このことから、銃や武器の違法な製造を助長するなど危険視される側面も確かにある。
直近でも、アメリカでの3Dプリンターを使った拳銃製造方法の公開差し止めのニュースがあった。危険な使用はもちろん問題だし、市民を守るために法律で規制する必要はあるだろう。
しかし、今は失われてしまった作るための「道具」を再現できるメリットは大きい。
道具を再現することで、それを作る人が増えていくというポジティブな可能性があるからだ。
これは、"自分が欲しいものを自分で作れる"ということ以上に有益なのではないかと思う。
最後になってしまったが、ファブラボ品川は今年オープンしたばかりのまだ新しいファブラボだ。ファブラボ(FabLab)は、3Dプリンターやレーザーカッター、カッティングマシンなどの工作機械を備えた、パーソナルファブリケーションのための施設およびコミュニティである。
その考え方に賛同するなど、いつくかの条件を満たすことで誰でも設立し、運営することができ、日本の各地で広がっている。
ファブラボ品川は品川区中延にあり、作業療法士の林園子さんがディレクターとして運営に当たっている。
林さんが3Dプリンターでのものづくりにハマったのは、ペットボトルのキャップを開けやすくするペットボトルオープナーを作ったことから。そこからファブラボ品川を立ち上げるまで1年とかかっていないという。
ファブラボ品川は、特に「作るための道具を作る」ことに大きな軸があるコミュニティだ。
ハンダごてやハサミなどを使うのが難しい場合に助けになるような、いわゆる治具的なものを製作したり、情報を公開したり、さまざまなワークショップを開催している。

・ファブラボ品川
大内孝子
